広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
今日も
見ていた
波は打ち寄せていた
小雨のなかを
しらす漁の船が出ていた
ふたつの船に
網を渡してしらすを掬いあげる
しらすは
生きているとき
透明な
鰯の子だ
帰りに
セリアで
空色の食器洗いのスポンジと
ピンクのマイクロファイバーの布巾を買ってきた
部屋では
リュビモフの弾く平均律を聴いている
広瀬さんから
メールが届いていた
今夜も飲むかもしれない
昨日も
駅ナカの店で
詩人たちと芋のお湯わりをのんだのだった
#poetry #no poetry,no life
俺は腹に何かを詰め込んで彷徨っているゆうれいにすぎない
見上げる一様にうすあかい夜空に月は見えず
単発の大喜利で歩を進めているだけだ
祈ればいいんだという声が聞こえ
未来の俺は祈っているが
それは遠い過去のようだ
分断がそこまで来ていて
本は最強決定戦のみとなった
嘘くさいだろ、嘘くさいだろ、という横風を受けながら
踵に集中している
シオン
とうとうふたりだけになってしまった
きみどりと茶色だから古生代ぽいのだろう
その木からシオンに線を引いて
心臓を経由させると
いくつかの電波は情を点滅させる
黄みどりと緑と茶の混じった全体は日没に向けて暗くなってゆく
親子の情を基本に据えた世界が今日も暮れようとしている
従順によって今では可能になった
シオン霞ヶ関で働いている
グローバリズムに植え付けた願望?
暮れていった 暮れていった
日本が最初に暮れていった
#poetry #rock musician
コミヤミヤの目探す
キュヨロキュヨロ
こかずとんの手伸びる
ゴゥウルゴゥウル
掴めない
でも、いる
通りすぎていく
体全体撫でていく
今は
暑さ真っ盛り7月半ば
赤ちゃんの体温高い
赤ちゃん汗っかき
暑くて暑くて
口歪んでふぃぇーっふぃぇってなっちゃいそう
そうだ、確か戸棚にあったはずの
商店街のお祭りでもらった団扇
あったあった
爆発しそうなコミヤミヤとこかずとんの上空から
ホゥオッホゥオッーーッ、ホゥオッホゥオッーーッ
力いっぱい扇げば
コミヤミヤこかずとん一瞬静止
見えない掴めない
けど汗で濡れた髪の毛
ひやっと蹴散らしていく
真っ赤になった頬っぺ
ひやっと引っぱたいていく
探した目ひやっとなぶられる
伸ばした腕ひやっとはたかれる
捕まえられないのに
圧力がある
ひやっと圧力
お腹からくる
腋からくる
腿からくる
ひやっとくる
何だかわからないけれど圧力ある奴が
コミヤミヤとこかずとんの肌から熱を奪い去っていく
これでもか
ひやっひやっと奪った先に
えふっえふっ
笑ってる
かずとんパパが手にしたうっすいひらひらしたモノが
宙をジグザグに踊る
圧力ある奴がひやっと飛んでくる
そいつ、誰?
探しても伸ばしても確かめられないけど
そいつ、いる
ひやっと遊んでくれる
こかずとんもコミヤミヤも口あんぐり開けて
確かめられないそいつの飛来、喜んでる
かずとんパパ、ちょっと腕が疲れてきたけど頑張るぞ
ホゥオッホゥオッーーッ、ホゥオッホゥオッーーッ
暑さ真っ盛りひやっと7月