村岡由梨第2詩集「一本足の少女」を読んで歌える

 

佐々木 眞

 
 

血を流しながら書き綴られた村岡由梨の第2詩集は、読めば血が出る22篇だ。
私は、この真率で、真情溢れる、痛切な詩行を読みながら、改めて詩とは何かと考えていた。

最初に浮かんだ考えは、詩とは「見守りボッド」のようなものではないか、というまことに幼稚なものである。

病ゆえに絶えざる自殺願望に取り付かれ、陸橋を渡りながら、何もかもを、愛する家族さえも見捨てて、硬い車道に身を投げようと思う作者を、詩は、「跳べ」とも言わず、「止めよ」とも言いわず、黙ってじっと見つめている。

その時、詩はまるで天体をぐるぐる経めぐりながら、地上に蠢く微細な存在、生きとし生ける森羅万象を、ことごとく把握しながら、じっと見つめている。
見守っている。

詩はもとより、人間と同じく無力で、そもそも無用の存在であるが、人間がそこにあって、心身に刻み付けられる体験する喜怒哀楽をしかと見届け、激しく流動する事態を、一時的に棚上げして、半永久的に保存することもできるのである。

なぜ詩を書くのか?と問われた谷川俊太郎は、「書いてくれという注文があるからです」とユーモラスに答えたが、村岡由梨は、「私が詩を書くのは、まっとうな人間になりたいからです」(「No.46」より)と、まっすぐに答えている。

詩を書くことによって、まっとうな人間になることはできないかもしれないが、 まっとうな人間になりたいという願いを、詩は、そして天は、嘉して受け止めてくれるだろう。

まっとうな人間になりたいと祈り続ける人を、
詩は、そして天は、
ずうっと優しく見守り続けてくれるだろう。

 

 

 

肩こり ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 115     yuko さんへ

さとう三千魚

 
 

疲れてるの
かな

どうなのかな

ろう梅が咲いてた
花が

香ってた
夢を忘れていた

夢が
ある

肩にある
夢をほぐす

 
 

***memo.

2024年11月23日(土)、
静岡一箱古本市の日に、水曜文庫での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第31回で作った115個めの即詩です。

タイトル ” 肩こり ”
好きな花 ” ろう梅 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

海 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 114     kanako さんへ

さとう三千魚

 
 

コスモスと
聞いて

秋桜と書くこと
知らない

子がいた

おじさん
詩を書くの

笑う子がいた

その子に
いつか

ほんとの海を
見せてあげたい

海も詩も
生きているんだ

 
 

***memo.

2024年11月23日(土)、
静岡一箱古本市の日に、水曜文庫での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第31回で作った114個めの即詩です。

タイトル ” 海 ”
好きな花 ” 秋桜 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

Minsk agreements

 

工藤冬里

 
 

あと二日か・・
数えない日を数えて
そこまでを野放図に生きる
XLサイズを羽織る
光の鱗が玉蜀黍なので
復讐のフラッシュバックは捻り潰される
実感のない期間をどう過ごすか
Twitterだけが参考になるが
どちらの壁にも触れてはならない
不幸を願う敵の言葉が
衣服のように敵を覆いますように

 

 

 

#poetry #rock musician

頭痛 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 113     miyuki さんへ

さとう三千魚

 
 

いたいです

好きなこと
毎日

続けても
いたいです

花が
好きです

背高泡立草の
お茶を

飲みます
ゆっくり眠ろう

朝まで
眠ろう

 
 

***memo.

2024年11月23日(土)、
静岡一箱古本市の日に、水曜文庫での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第31回で作った113個めの即詩です。

タイトル ” 頭痛 ”
好きな花 ” セイタカアワダチソウ ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

あざやか ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 112     shiho さんへ

さとう三千魚

 
 

秋の
庭の

垣根の
咲いていた

ピンクの花弁のなかに

黄色の
花芯を

抱いていた

さざんかの
花の

咲いていた

朝に目覚めた
夢をみてた

 
 

***memo.

2024年11月23日(土)、
静岡一箱古本市の日に、水曜文庫での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第31回で作った112個めの即詩です。

タイトル ” あざやか ”
好きな花 ” サザンカ ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

まいにち ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 111     moe さんへ

さとう三千魚

 
 

いちにちが
繋がっている

夜が終わり
朝には

咲いている

青い
青い

朝顔
咲いている

まいにち
まいにち

咲いている

 
 

***memo.

2024年11月23日(土)、
静岡一箱古本市の日に、水曜文庫での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第31回で作った111個めの即詩です。

タイトル ” まいにち ”
好きな花 ” 朝顔 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

小さな ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 110     megu さんへ

さとう三千魚

 
 

みちばたに
いる

わたしも
いる

かたすみの
ちいさな

ピンクの
ヒメツルソバ

咲いてる

まるく
咲いている

 
 

***memo.

2024年11月23日(土)、
静岡一箱古本市の日に、水曜文庫での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第31回で作った110個めの即詩です。

タイトル ” 小さな ”
好きな花 ” ヒメツルソバ ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

これから ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 109     shiho さんへ

さとう三千魚

 
 

れんげの花

摘んで
あなたと

生きたい

れんげを
味噌汁にいれて

あなたと
暮らしたい

あなたに
れんげの花を

あげたい

 
 

***memo.

2024年11月23日(土)、
静岡一箱古本市の日に、水曜文庫での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第31回で作った109個めの即詩です。

タイトル ” これから ”
好きな花 ” れんげ ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life