白髪の人

 

工藤冬里

 

そんな世界の終わりも
LINEのスタンプで知らされるのだろうか
ひとりのままでいるのはよくない
名前を付けている間に気付いた
そのスタンプをまだ使っている
躑躅が奥に嵌め込まれ
瞳は暗く引っ込む
浅いつながりが分からないので
靱帯のない内臓は揺れている
立ち位置が分からないのに
白髪がぼおっと立っている
癌がこちらを向いている
文革のように水溜まりに輪が出来ている
いけない いけない
母音を端折っては
その名前をまだ使っている
評判が含まれている子音の靱帯
白髪の変色する悲劇
オイルのない気管の故障の音に射抜かれ
三つの石鹸の置かれた
外部にはみ出した構造
透明な幅広の草
綿花を飾って
顔を抱き締めた
ポエーシスは閉じている
窓のない外
宍色(肌色言い換え)やピンクに蜘蛛の巣は合う
フロントガラスを伝う雨
内部は開かれ外部は閉じている
きっと体に来る
詩どころではない
遠ざかる軽トラに雨が触れる
ハンドルのように三つに分かれている
コンクリの電柱は真直ぐに立っている
白や青の車は往来している
躑躅は奥まっている
裏のない躑躅が奥まっている
切られた幹から細い枝が出ているのを
絵と勘違いしている
介助のおばさんの声がする
雨は

(びゃあびゃあ)降っている
雨は激しく焼杉の壁を打つ
縫いぐるみは綿で出来ている
屑入れはない
SUZUKIのロゴがスワスティカのように見える
池はそのままであってはいけない
川は間違っている
場所が分からなくなる
雨が降っているのは分かる
白髪は立っている

 

 

 

#poetry #rock musician

岸のない川

 

工藤冬里

 
 

家族を創ろうと思って造ったのに死に別れるのはなぜか
テザリングのために俺たちは斜めに向き合い
英数字を読み上げた
晴れやかなものを犠牲にして
銃のように空洞はすぐに腐敗して
見分けが付かなくなる
どんな武器も役に立たない
光の残影が赤い線となっている
詩を終わらせようとしてこの店に来た
昔の学校のようだ

 

 

 

#poetry #rock musician

 

工藤冬里

 
 

目薬を差した翌朝
失敗した祈りを終えた黄色の人の目を見ている
桜の目は愛していない者にも届く五芒
男性形なのに母
主語が何回も出てくる悪文のように
銀河の私小説は五芒を引き寄せた桜の顔であった
父でも母でもないものに今年も届かなかった
動物の番を救いたいのなら人間も、と大木は察した
終戦のために手放さなければならない3つのものは力、立場、名声であった
父でも母でもないならそれは究極のLGBTQだ
そう察して、、、

 

 

 

#poetry #rock musician

intervene

 

工藤冬里

 
 

気絶‼︎ひとり傷
駒を動かす
菌を含めて全俺が
自然を目で追う
そのマグ‼︎
石ころ‼︎土‼︎
黄頁デニム
アプリに抱っこされる
カメムシが車に入っている
カメムシ型ハッシュタグを開けるとメモに未来の自分に対するメッセージが入っていた


写真:スズキヒロアツ

 

 

 

#poetry #rock musician

二足歩行のブルース

 

工藤冬里

 
 

俺は腹に何かを詰め込んで彷徨っているゆうれいにすぎない
見上げる一様にうすあかい夜空に月は見えず
単発の大喜利で歩を進めているだけだ
祈ればいいんだという声が聞こえ
未来の俺は祈っているが
それは遠い過去のようだ
分断がそこまで来ていて
本は最強決定戦のみとなった
嘘くさいだろ、嘘くさいだろ、という横風を受けながら
踵に集中している

 
シオン

とうとうふたりだけになってしまった
きみどりと茶色だから古生代ぽいのだろう
その木からシオンに線を引いて
心臓を経由させると
いくつかの電波は情を点滅させる
黄みどりと緑と茶の混じった全体は日没に向けて暗くなってゆく
親子の情を基本に据えた世界が今日も暮れようとしている
従順によって今では可能になった
シオン霞ヶ関で働いている
グローバリズムに植え付けた願望?
暮れていった 暮れていった
日本が最初に暮れていった

 

 

 

#poetry #rock musician

雨さん人さん

 

工藤冬里

 
 

昔読んだフランシス・ジャムの回復期という詩に含まれていたひかりが、人類史とは6000年の風邪にすぎないというたのしさだったと気付く
なんでもそうだけど、詩が良かったんじゃなくてロック史に引っ掛かるから良かったてことだ
芸術が弾圧されて基盤を失うのも言ってみれば「にがい光」(小林嵯峨)だ
自作の拷問機械で
「彼さん」では伝わらない
バリアの外れた痛み
単語も車の色も効果を為さない
リストアップされた人さん
雨さん人さん
終わりではないと思い込んでいる人さん
磨かれた穀粒
びちゃびちゃ品川駅
鯖色の雨の中、ト音がマヨネーズのチューブのように横たわっている
雨さん人さん

 

 

 

#poetry #rock musician

Piccininaに至る

 

工藤冬里

 
 

異次元エフェクターも毀れて剥き出しの心配を配線する
半田付けされた銀杏葉を写体として
その黄色を非車体として流す
現実界仕様だな
病疾を美容室と聞き間違えてはや6年
覚えずウラの家に至る
ウラニホン
ウラニホン
ウランに惚れるのと
コバルトも掘れる能登
よ! 半導体に敝れた女は能登へ行くのよ!

 
現在、過去、未来
私たちはあり得たかもしれない未来を生きているだけだ
https://video.twimg.com/ext_tw_video/1766454952183144448/pu/vid/avc1/18×12/17xUX6I-Yyxmfh79.mp4?tag=12
過去は脳内にしかないし現在は瞬間的に過去になっていくから未来しかないわけだが、例えばどんなに寒くても風呂場の前で服を脱ぐだろ?だから大事なのは湯の温度とその保証だ。ビデだけあって湯の出ないホテルなんて沢山あった。脱げなくなったらおしまいだ。
未来のライオンが過去を並べ替える
現在は言質を取ることしか出来ない
髪型はお任せで
出来ることをする
花の見かけの無力を観察する
やられたことを思い起こす
そうでなければ4月に羽が生えるだけだ

Piccinina
https://soundcloud.com/lafestadellerane/piccinina-n8?utm_source=clipboard&utm_medium=text&utm_campaign=social_sharing

 

 

 

#poetry #rock musician

日の果て

 

工藤冬里

 
 

線路内で傘を差した女が土筆を採っていた
男も久米土と思える線路脇の泥を裏返した袋で掴んで走って逃げた

移動が思わしくなくなった世界で未だに観光を続ける群れがいると旅の不可能が際立ってくる
シャブ喫茶も値上げして暮らしにくさと移動しにくさが定点を襲う
観測はプルーストが得意としたものである
その男は旅に行けない、と「私」は書く

その男の走り方はよくなかった
歩くほうがまだましだった
日の果ては
近づいてくるものではなく
満ちていくものだからだ
つぎつぎとクリアしてゆく障害走のようなものではない
一歩ごとに地雷を踏んで、と女は呟く

 

 

 

#poetry #rock musician

dégradé

 

工藤冬里

 
 

茎があり花があった
国旗のような花
見たことがある
動画になったブロードウェイ・ブギウギだ
%で報告だと
549万人のうち210数人だから2万6千人に1人、
助けは野獣ではなく別の国から行く

菓子は食べない
正しいところに逃げる
何がいけなかったのだろう
それぞれの魅力的な特性を併せ持っていたが
男女に分けた
どちらの特質も詰まった卵のようだ

持っているぜ
持っているわ

顔を覆え
限界を弁えるほうの慎み(humilityではなくてmodesty)
控え目だけではない蛍光緑
リズムの良いフォークのヒット曲のように
森恒夫のように怯えて
曲がった地層ごと重機は持ち上げた
葉脈の赤いアルト
マットな鉄の爆弾
読み書きできるようになる
思い付きで話さないと腰が痛い
鷹の飛ぶ青白い空
柄が見たことある
白いケチャップ状に溺れている
値切り方を教える
筆ペンの声
筆圧の変化は劇的だ
塩で消毒
勝手に映画を観ている

 

 

 

#poetry #rock musician

24時間無人スイーツ

 

工藤冬里

 
 

愛が気体に似ているのに対して
希望は生き物に似ている
そうこう不適切しているうちに
低い山はさらに低くなって
高い山は低い山よりさらに高く感ぜられた
荒唐無稽の希望が
釣銭無しの24時間無人スイーツ
長引けば長引くほど深まる
喜びましょう
アンチナタリズム?
でもhope in で既に「〇〇を待つ」という意味が含まれています
名詞と動詞は螺旋状に絡み合っています
希望がないと待たない
待たないと希望はない
自覚がないとぼやける
希望に希望を塗る
その生き物は強くなっていくだけ
自分は助けることはできないが
100万年でも待つ価値がある、と思わせる
体内60%水分
忍耐の自覚
自覚がないとぼやける
体内60%水分を24時間無人スイーツで無い釣銭に照らし合わせて
病院を抜け出した生き物

 

 

 

#poetry #rock musician