a spirit level

 

工藤冬里

 
 

目を屡叩せて白人のインドはヒンド 
易経の越境 
死​と​契約​を​結び墓​と​協定​を​交わし​た 
鮫の激流​が​通り過ぎる時も元の森の湿原まで​は​来​ない 
月六ペンス副は​うそ​を​避難​所​とし偽り​の中​に​身​を​隠し​た​の​で 
悪阻の原に試さ​れ​た​石​を​植える 
百十の王の綱を張りここで一句

正しさの水平器を置く頻度

雹​が​偽り​の​避難​所​を​一掃し水​が​分離派建築​を​押し流す
インドアヒンディーシャーマンの死​と​の​契約​は​解消​さ​れ墓​と​の​協定​は​無効​に​なる 
下口の鮭の代わりに鮫の激流​が​通り過ぎる​時​押しつぶさ​れる墓川の
一度閉じた眼は開くことはなかった 
家族を守る大義など下流に流され 
石を剥がすと元森のお爺さんが饐えた菊のようになって 
白くポキポキしていた
齶田の乳頭温泉郷で 
死んだ人に再会する 
ミシンの影 
正しさの水平器を置く頻度

 

 

 

#poetry #rock musician

凍てつくあたたかい夜明け前

 

工藤冬里

 
 

起伏の中に嵌め込まれた白の像が輝き
風景は初期の油絵のように塗られている
詣でる人らの中のペパーミントのジャンパーが
ザクロの川を渡る
机が鋭角に描かれる
机にナッツの袋が重たい
結婚式のようなネクタイをして
ひたすら待つ
カーテンは重力に従って時間のように垂れているが
過去形の夫の癌は治らない
根こそぎ解決するえらい人たちはなぜセーラー服のようなマントを着ているのだろう
一兆円を超える金銀銅が寄付されたが
鰓はそのまま
今まで食べたサーモンたちの下顎のことを考える
頭が痛い
目を閉じるとフラフープが見える
半泥子の「あけぼの」のようだ
燃える黒い心臓
凍てつくあたたかい夜明け前だ

 

 

 

#poetry #rock musician

法廷

 

工藤冬里

 
 

判決前から有罪と決まっている生を
法廷に運ぶ
何でこんなことのために生きてきたのだろう
ハグをはぐらかして今生の別れ
デモからの古典的なしょっぴかれ方ではなく
仕組まれ押し入られ拘束されるという劇が刷り込まれるが
未来がないとしたらその時にはもう死んでいるのだ
時間を消すことで生きようとしている右翼らは
自分がすでに存在していないことにさえ気付かないまま
時間ではなく出来事に組み込まれていく
古典的時間に生きる左翼らは
時間がすでに存在していないことにさえ気づかぬまま
出来事にではなく存在しない未来へと立ち消えてゆく
法廷は存在しない
法廷とはすでに結審した何かだからだ
そして尚且つ生きねばならぬというテーゼだけが
体に与えられているのだ
逃げ道としての死が封じられ
犬猫を放っておけない類の情の時代となるだろう
身体は餌代で破綻したゴミ屋敷となるだろう
海よ法廷を飲み込めと彼らは叫ぶだろう
川よトラウマを流せと彼らは叫ぶだろう
山よ地下基地を覆えと彼らは叫ぶだろう
そして死刑が宣告されるのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

Groundhog’s Day

 

工藤冬里

 
 

真っ昼間のビルの間(ルビは”ま”)にハープが置かれ
耐えかねて鳴り出すケシの未熟果の傷
みんな難民ギャー
カニグローバリズムギャー
ロ被虐ギャグ数珠メッセンジャーズ
フーチーグーチーとスーチンプーチン
チャイ南端のチャイナちゃいまんねん
ヤンミャーとマンミャー 南京錠で軟禁玉簾
民主主義の進展が愛国主義を生み出し独裁となる歴史は各国で実証済みであるが今回のこれは三寒四温下の春の分断である
立春分断党万歳
春に春に追われし花も散る
私たちは春から憎まれ分断されるべきである

 

 

 

#poetry #rock musician

vingt-cinq ans, Sion

 

工藤冬里

 
 

自虐的で愛のない悪霊が纏っている正しさのマントの その綻びからさびしく糸を抜いているような寒さ

合衆国の#トレンドに日本のアニメが昇り 強いられていく緊張

転調を強いられていくアニソンのように活性化してないと淘汰される戦時下の身体性

戦闘モードの放棄を忌み嫌う烏骨鶏舞踏家の末路

以前は身体のことなどに構っているのは反動であり バリケード内では思想の正しさの方が重要であると先輩活動家に教わったものだが「歩行より舞踏」などと叫んでいるうちに失った歩行

今までに殺されたすべての人たちの血について責任がある娼婦の愛人を殺して悲しむ政治家

(no symbolism please
と二五才のユダヤ人ルーが言った)

エジプトで西瓜を食べていた自分を愛する認知療法
あなたが自分を責め続けるのは許されるつもりがないからよ
羽が生える羽が生える羽が生える
過去をどうするのか
無かったことにするのと美化するのとどう違うのか
自分を許し責めるその三寒四温の寒暖の度合い

 

 

 

#poetry #rock musician

近所の仲間の論法

 

工藤冬里

 
 

近所の仲間が落ちぶれて畑を手放したり
包丁を持って押しかけたり
結婚したり
弾劾裁判を待ったりしているなら
近所の仲間は
近所の仲間というだけで
きょうだいである
たしかに同じ苗字も多い
皆で石を投げる
東温市の近所の仲間よ
そうやって正しいことを言い続けよ
欠けたところを隠すために

完全な正しさはきみたちが描写できるものではない
それは〇〇のようだ、という言い方でしか表現できない
故に詩ではない
自在で柔軟な戦車だ
その修辞は以下の構造をしている

「コレクターと寒さは似ている
コレクターは集めるだけで
寒さは

寒いだけだ

 

 

 

#poetry #rock musician

代行

 

工藤冬里

 
 

人生がまだあると思っている頃の金の使い方には宵越しの云々の荒さがあるが
人生がもうないと思うようになると早く済ませなさい的の焦りからある面さらに荒くなる
貨幣は死者のアーカイブのために取り置かれているマイナス茶碗であり
貸した金も資産に含める銀行の絡繰はジュビリーによってしか解決できないニ人スキーの分裂病を生んだ
かれの跳躍は即ち下降であり上下増減何れも銀行の資産となる
貸せば貸すほど円トロピーは増大するから
我らの不景気は換金できるマイナス果実の生る木であり
スナック歓呼鳥が苦しめば苦しむほど頭取は喜ぶ
それで私は池の端にパブを作った
リヤガーデンにベンチ付きテーブルを組み
労働者階級のムスッとした娘を立たせて
ビターのサーバーを並べた
宣伝はせず
上下する田舎道のために
若手の代行要員も用意したのだ

 

 

 

#poetry #rock musician