dark house

 

工藤冬里

 
 

災厄と混ぜ合わせて逃げ切ろうとする暗い馬が多い
腹を揉んでいたら悲しくなり
白い馬を呑んだ
逃げ馬が大井から逃げて
羽で道路が塞がっている
爆弾巻き付けペガサスは
JALのロゴを毟り取り
穴と砂利のwastesとなった茅場町の萱鼠の
総武線に対してさえいつも
黒眼勝ちの真顔でありとある失敗と紛失に関し
落とし物センターへの祈りのように開いている
白目の多いのが人間の特長だが
健気に対してはまなこ荒れの御節の黒豆
逃げ切ろうとして

 

 

 

#poetry #rock musician

首の痛み

 

工藤冬里

 
 

写真の女性はかなりの確率で体の暖房全部切って街角に立ち尽くし、俯いて携帯画面を見ている
首を吊れば体温と気温が一緒になって S字の頸椎も直線になるがその代わりに十世代前の非嫡出子の記憶を無理に放流するので結婚はせずに消滅した方が良いのだといった挽歌の蛇行が痛みの三日月湖を作っている

 

 

 

#poetry #rock musician

二〇二〇

 

工藤冬里

 
 

現実がスペクタクルを超えていくのできみは映画を観ている暇がない
監督になろうとしてエフェクトをかけ、目を潰す
主役になろうとしてレジの釣り銭を誤魔化す
レッドカーペットを歩く筈が国際テロ組織認定される
蒼いマスクの女の子たちをカメラは追え動くな死ね蘇れ
薊を捧げるアビガエル
溺れるノアと書く株価
立ち飲みレジスタンス無惨
帝国軍は釣り銭集計改竄に手を染める
歌合戦マイスタージンガーZ
都市の背て何?レジに立つレジスタンス
レッツダンス

 

 

 

#poetry #rock musician

この日常とこの分断

 

工藤冬里

 
 

荒廃したみどりを住まいにしているみなさん

対象

方法
動機
が重要で
特に
動機
が重要で
それは
普段
天網恢恢のこの日常から
推し量られます
この日常です

さてこの日常は
分断とどのような関係にありますか

理論的には
時間が無いなら分断も幻です

でもこの分断です

クーデターはありません
空白00でもこの分断です

いばらとあざみの日常で
燃える剣を背後にして
このうすぐもりの荒地で
この分断を焼きなさい

 

 

 

#poetry #rock musician

Assassin

 

工藤冬里

 
 

一番離れて
傾いたまま
右翼がとうとう
雲の晴れ間の
月のように
冬至Assassin
怒れる男達は今は非常にソフトである
一方
井出に棲んでいる飛べない語彙鷺は左翼を失っている
渡りをしないと
僕らはどうなる
✖️一〇
たいへんなことが起きる
一番離れて
傾いたまま

 

 

 

#poetry #rock musician

奴隷

 

工藤冬里

 
 

傅くこととか言って死んだ
字のきれいな奴隷
黄金町の川沿いで
八級
七級
六級
五級
四級
三級
二級
一級
初段
二段
三段
四段
五段
六段
七段
八段
九段
免許皆伝
その日に約三千人が加わった

弁当に燕が
茗荷のように

フード被って撒き足して去る

今日が地球上で最後の日

 

 

 

#poetry #rock musician

Stollen und currywurst

 

工藤冬里

 
 

閉架に今は読まれなくなったハンブルクのB級グルメCurrywurstに関しての小説※がひっそりと背を見せており僕は仕事帰りに買いに走ったがそれはそうと
燃やさなければならない
白壁の黴にプルシャン・ブルーの浸透があるなら
家ごと燃やさなければならない
出産が「死ぬ人」を産むことである間は
轢かれた猫のように
バイクから投げ出された
夕刻の厳粛の
脇をすり抜けていく
クリーヴルストがないのだから
シュトーレンを食べたって無駄だ
男の子は三三日、女の子なら六六日、
祖先の犯罪を想ってひきこもらなければならなかった
女が悪いのではなく
女が
近いのだ
原罪シュトーレン首都連合の現在に

 

※「カレーソーセージをめぐるレーナの物語」
ウーヴェ・ティム (著), 浅井 晶子 (訳)

 

 

 

#poetry #rock musician

「文春オンライン」によると、禿げを偽って結婚した男がカツラを見破られ離婚された。さて、ところで、マスクをしてフードを被っていたら一人の子供に「おばさん」と呼ばれた。わたしはその子供におばさんと間違われた。その子供はわたしをおばさんと宣言した。

 

工藤冬里

 
 

さて
ところで。
わたしに対する治療は存在しない
わたしに対しては隔離だけが存在する
わたしに医者は存在しない
宣言する者だけが存在する
病は汚れだからだ
汚れているか汚れていないかの判断と宣言だけが存在する
禿げは汚れではない
父は最晩年に頭の天辺が少し禿げてきていた
誰も何も言わなかった
さて
ところで。
病は無くなる
禿げも
たぶん無くなる
さて
ところで、

 

 

 

#poetry #rock musician