雑魚天

 

工藤冬里

 
 

いずれにしても服のまま運び出され
区別することの必要性を教えられながら
服のまま焼かれただろう
一度だけわざと
というのが成立しない世界を教えられながら
アビフ動画もbanされていくのだろう
国々のプラットフォームを述語とする糾弾は前菜に過ぎない
我々の国などは雑魚の中の雑魚、ジャコ天にされたその他大勢なのである

 

 

 

#poetry #rock musician

last great wilderness

 

工藤冬里

 
 

三〇〇万のための水を補聴器で 掬う
泉は一二 、椰子の木が七本あったがそれが何になるだろう
親が死んだとは言わなかった
層が二つあって
どうしようもない荒野まで来ていた
この、死亡欄上の畏怖の念を起こさせる荒野
四〇年で全て入れ替わった
その間、水はずっとあったのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

記憶に残るわんこ

 

工藤冬里

 
 

脳の中で記憶は垂直に沈んでいる
それを現在という
水の少ない球の中で
過去と呼ばれるものが現在と連結しているが
それは現在における過去なのであって
出来事と出来事の間の熱量の差に過ぎない
未来は出来事としての熱量が高い場合はこちらに流れてくる
それを希望と呼ぶ
未来を凝視しなければならない
ねえ、あん時二十歳だったのがもう四十歳だもんねえ
ずっと立ってるわんこがいたねえ
心は水だが脳は電気だ
出来事を繋ぐ橋で瀬戸内海を渡る
フェリーはとうに難波している

 

 

 

#poetry #rock musician

羅紗緬プラごみ焼却子

 

工藤冬里

 
 

環境は二の次だ
それを第一義にしてポシャったのが善意を吸い上げた一〇年代の悪霊の花傘の総括ではなかったか
絞られているのは国家の一点のみである
マグマの坦々緬は汁無し特赤の一点張でゴアの胸は安っぽく光る青い羅紗である
化学的事故や疫病を神にした報いで多国籍軍は繋ぎとしての沈下を予告される
希望だ
私は安全に住むpslm16:9が
七〇人訳では希望を持って生きるact2:26に変わっているが
それがどうした
似たようなものだ
おでんの味は煮ている時ではなく冷める時に染み込むのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

鬼滅の刃

 

工藤冬里

 
 

肩幅のないちぐはぐの後、役者みたいな
奥まって霞んだ目なのでメンタルに影響出た
奥まった緑青の
芒化した枯泡立草の原の向こう
託された最後の一葉の前景を曇らせ
難破する視線
左右に轟音行き交う冬の草刈りの不自然
ホラーの監督は皆馬鹿だ
算盤を覗くと暗黒
偽の情報が左から出て窓を塞いでしまった
どうすれば逃れられるかシンプルに考えよう
出口は全て非常口
こんな顔でいいんだろうか
ある分野に関してはよく知っている
それにしてももう飼ってはいけない
死ぬから

今は近くにしかない
自分が時間
空地が時間
自分は他者に対する回路を適用した概念の反映
人を愛するように自分を愛するように人を愛する
時間は人類が使うためにある
脳はニューロン同士を繋ぐシナプスに残された過去の痕跡の集まり
未来の痕跡が存在しないのは過去のエントロピーが低いから

egg on 唆す
ぴったりのタイミングで
貰った
緊張
小声で
震えながら
消え失せる
繰り返し読む
力が低エントロピーの果てから
逆流する
コロナは治っても肺炎が残って
力の無さの中で
自殺したデリダ
アルツの介護でパニックを発症した
いろんな人と発症した
声をかけて
希望を持って生きる
内から時間が湧き上がる
誰が設計したかは
冷める過程で染み込む
地上の事柄ではなく

 

 

 

#poetry #rock musician

冬の旅

 

工藤冬里

 
 

猫は真剣に聞いているように見える
避難する人たち

深夜、城から城、コンビニからコンビニ
暖を取る時は激辛の化調の液体
エジプトからエジプト、

イタリアでは移動が禁じられた
この町には異様な歯軋りの男とゲーム中異様な笑い声を発する男が居るので深夜喫茶は使えなかった

京都に移住してはいけない
あそこはもうじき草叢になる

城から城、コンビニからコンビニ、
化調から化調、エジプトからエジプト、

 

 

 

#poetry #rock musician

斜体の生活

 

工藤冬里

 
 

一日に何回かシニタイと口を突くのだけれども
録音出来たとしても嘘くさい台詞で
嘘くさいと思われるだろうなと思いながら聞いている
自分は首が痛く
余命もあと僅かである
詩に鯛 肢煮たい 市にタイ
人のセンスの無さを嗤うだけで
半世紀過ぎてしまった
自分はといえば
愛でるものが無くなって
目の前のコーポリーナの壁に貼り付けられたコーポリーナという斜めった字体を見ている
我が生はフォントのイタリック体に若かず
と見栄を切ってみるが
暖房を切った車体は寒さがいや増して咳が出始めるので
斜面を降りて
僕はいつも窓から帰るのである

 

 

 

#poetry #rock musician

百葉箱

 

工藤冬里

 
 

アンダーグラウンドは常に正しい

フーコーによれば少数派が常に正しい

大統領選で言えば敗けたように見える方が正しい

日本で言えば与党連合は必ず正しくない

当然常に正しいアンダーグラウンドが消滅して正しさは見失われたように見えたが
中国に飛び火していたことを知ると
世界が一定の正しさを担保として動いていることは明らかだ

正しさはだから正しくなさを補完する機能でしかなく
正しいこと自体が悪であると言っても過言ではない

苦いを甘い、甘いを苦いと言うようになる、と言われていたのはこういうことである

以上

 

 

 

#poetry #rock musician

狂言「けなげ猿」

 

工藤冬里

 
 

長旅をしてきたように見せかけていたのがいつか中身が追いついて一廉の音になっていた
女装と刺青のお陰で低姿勢だったがそれは最期まで変わらなかった
大野一雄のようではなかった
変わらないなかでこのような美しいをどりは見たことがないと思った

Xinlisupreme – All You Need Is Love Was Not True 聴き返してみたが忘れていた
〽わしかてずーっと一緒に居りたかったわ が引き続き鳴っていた
脳は水の少ない球だからどこにでも仕舞えるのだ

能勢さんに京都国際映画祭で八木一夫を扱った映画を作ったから観るようにと勧められて
ギャラリー射手座が出てきたのが懐かしかった
バスの窓から弁当のカラを捨てる八木一夫
八木に嫉妬され潰されたという寺尾恍示のわざと割ってから継いだ作品はありふれていた

山椒を唇に乗せると五〇ヘルツの周波数が記録される
痺れは紛れもなく可聴域のをどりなのだ
変わらないなかで味がありふれていた

米の代わりにブルーチーズを詰めた琵琶湖の鮒鮨の、ブルーチーズだけが(この「が」に馴れるまで十年の漬け込みが必要だった。)売っていたのを土産に買って帰った。
今日食べると言うので寄り道して踏切を超えると、羊を抱くように羊のような犬を抱いて歩く男がいた。白井屋の娘に訊いたらアリアニコ百パーのカルトワインがありますぜと言う。能動的に買いに行く感じで買ったのはこれが生まれてから二本目であった。闇の中で狸を切ってしまったような重味で、こんなものか、と思った。重さとは時間の速さの落差のことである。

熱以外に過去と未来を区別できるものはない
それは熱力学の第二法則であり、焼き物とは過去の熱が移った未来である。
窯焚いてるから暇なんだよ
重さとは隣接する時間の熱のことである
炭を四千いくらで買って扇風機を当てていますがまだ上がりません
塩投入した

一つ星シェフがファミレスでバイトってラーメン発見伝の芹沢サンとどっちが先なんだろうか
特別な未来があるわけではない。特別な曖昧な過去があるだけなのだ。曖昧さがなくなる時過去も未来も消える。
過去と未来があるのは、私たちが馬鹿だからだ。
目の細かい籠を表わすヘブライ語はサルです
「笊(ザル)」じゃないですかこれって
けなげ猿
速度が増すと時間は遅れる
群衆に掃射して一掃するゲームが多すぎる
再び合流しなければ速度を問うことは無意味である
セブンにおでん出てる
離れた場所には、「今」に対応する特別な時間は存在しない
葛根湯と小柴胡湯を併せ呑むと重症化しにくいそうです
あとはビタミンDが良いというから椎茸干したやつとか
調布に空洞 オレはくどう
瞬間に今を問うことには意味がない
高知県美のピアノは今月一〇日に弾くことになっていたので使わせてくれと土下座して頼みましたがおまえらは壊すからだめだと貸してもらえませんでした。舞台自体はネオシチュアシオニスト大木裕之三〇年の集大成となりました。
高知は、準備としては、大木さんがスペクタクルスペクタクルと力説するので、それがテーマとなった。ギー・ドゥボールの著作を読めば、反スペクタクルとは要するにつまんなきゃいい、と要約できる。分離派建築との関連を言えば、要するにつまんない家を作れば良い、となる。ということは「住めば都 A tout oiseau son nid est beau.」てことだ、と思いその看板を作ってステージ上を移動してみた。後で能勢さんにそれを言ったらウケた。宿営毎にバイオリン、三味線、zoⅢ、と使い分けて、中原のノイズ、佐久間の能を起点にして動いた。ピアノがあるとかないとかは別にどうでもよかった。近代は終わっているのだ。
現在は全体には広がらない
現在はない

時間はない
もう輪も矢もない
空間を一直線に進む妄想を捨てるために誕生日を祝わないのだ
海面のバブルや前世紀末の物理学の展開の速さを知らずに海底で引き摺られていた痕跡のように
ロック史とは孤立系からtを抜いて成立させる世界観であるには違いなかった
死ぬ前に”I love you”とかヨウムのアレックス君すごいなー
後釜のヨウムはPTSDやトラウマがあったりしてだめだったそうだ
玉置浩二は小林旭になれるかなあ
〽︎粉雪ーねえ 永遠を前にあまりにはかなく
数学の方が上だな
物理学や哲学よりも
東にひんやりとした星

 

 

 

#poetry #rock musician

語彙詐欺にスピーチ

 

工藤冬里

 
 

人生がまだまだ続くと思ってる奴にいつかの秋晴れに透けた月の栄養のなさを知らせてやりたい
人生がもう続かないと思ってる奴にはいつかの赤色矮星なみに肥大した明け方の月の入りを教えてやりたい
菌が這入ろうとする幻魔大戦の身体には卵子が合鍵を持ったオレオレコロナに騙されないような被災者に寄り添った援助を考えていきたい
帰り道、五日連続で同じ路上に立っているゴイサギに今日もスピーチする
ダルそうに羽撃く彼女の馴れ馴れしい眼がいい

 

 

 

#poetry #rock musician