阿部薫はミノが好きだった

 

工藤冬里

 
 

 

藍住にキラ⭐️星という若い夫婦のやっているラーメン屋がありそこには作者が死んだ「喧嘩ラーメン」全巻が揃っている
今日は四巻目を読んだら家系前夜的なものと対決していた
日本人の痴呆はラーメンの糖質から来る、と医者の本にあった
うどんなら機械的に「肉うどん、」としか注文できない肉体労働者達はだから圧倒的に正しい
なるべく麺以外の繊維質と蛋白質から食べるようにして
それでもとうとう麺に箸を付け始めて近づけた顔から突如死にたい、と口を突いて、周りに聞こえなかったか不安になり乍らも、今のこの死にたいは絶対録音できないだろうななどと思いながら食べた
店の裏手に回ると草の中に見事に半球のお玉杓子と柄杓、雷文のラーメン鉢が打ち捨てられていた
阿部薫はミノが好きだった
と今度は音声無しで思った
Bluetoothで聴いていたDUOと題された昔の自分の音源の、ふわふわと捩れたサックスが平田薫という人ではなかったかと考えたからだろう。
ミノは上胃である
何かの小説にギムナジウムでの無味乾燥な学問という描写のために牛の四つの胃のラテン語を暗記させられている場面があったが
音は
ふわふわのガムみたいなホルモンではなくて上ミノでなければならなかった

 

 

 

#poetry #rock musician

聴き漏らして命を落とす男

 

工藤冬里

 
 

見ることのヘマ
聴くことのデマ
見て触って従うママ
よりもdeep listeningして思い描くシェーマ
ジャーゴンをTV言葉に翻案していくネカマ
ハラワタからつつく音声記号はサンマ
秋の刀だとか明石家さんまだとかを断ち切り
意味の腑を掴め
シニフィアン連鎖はオヤジギャグじゃないぜ
聴き漏らして命を落とす男にアクマ
詩の大使はマグマ
人を襲うクマ
煮炊きする土間
傷を増やして喧嘩独楽
郡上は春駒
音凪は天満
帯を直しながら階段上るチーママ
スマホ禁止の車
急に神聖なものにチェンジした奥の間
台湾の右に波照間
走航は
メラトニン不足の赦されぬまま

 

 

 

#poetry #rock musician

見るように聴け

 

工藤冬里

 
 

一日朝は素焼の火を止めてから三五〇円の有馬と同じ金泉という、タオルがまっかになるぬるい露天に一時間くらい浸かっていてそれは須坂辺りの、浴槽が溶けて鍾乳洞みたいになってる公衆浴場とかを少し思い出させるので結構好きである
それから無料のマッサージ機に、首周り主体に、スマホ見る時俯いてちゃダメだよみなさん、20分くらいかかってから出たのだが、その時あったまったお陰で紺のパーカーを忘れたのだ。温泉に電話して分かった

※反省ちゃん
周縁になるほど時間が早く過ぎ、中心に時間はない、と言えるが同じように物も
こうして見えなくなるのだから
物はない、と言える
イチョウ葉で物がよく見えるようになったと思うなら、自分は見るように聴け
聴くことが見えるものより上に来なければならない
私たちは字を見ているのではない、聞いているのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

服を失くす

 

工藤冬里

 
 

ポートランドでスモールバンドと自嘲するチャーリーブラウンみたいな男の家に泊まり
寒いと言うとフード付きの青いジャケットをくれた
洗濯すると縮んだけれどずっと着ていた
またポートランドに行った時返そうと思ってわざわざ持っていったけど
彼は現れなかった
それでまた日本に持って帰って着ていた
ポートランドではコラボしたスーザン・チャンチオロにも祖母の帯を持っていってやったのにNYに行ってて礼もなくてがっかりした
それはいいとしてとにかくその青い服を失くした
ヨークシャーの青いセーターも飴屋さんとやってた頃まではよく来ていてアー写にも使ったけれど軽トラの荷台に積んでいたらどこかに飛んで行ってしまった
それと同じくらい大事な服だった
数日前、母が父の形見の黒いフード付きのジャケットを着ろといって呉れてそれを着ていたので、青いジャケットを失くしたことに数日気付かなかった
自分はどこで何をしていたのか遡って思い出そうとするがこの数日間でさえアーカイブ出来ないと分かった
銀杏の葉のエキスをアメリカから取り寄せて飲んでみたら、末端の血管は活性化はするがミスは変わらず、かえって不幸が活性化するだけだった
先週は
青空の写真をupした
図書館車で仕事中大木さんから電話があった
背広を脱ぎ件のフード付きの青いジャケットを着て作業したと思う
老人喫茶ノアでコーヒーを飲んだ
スタジオホトトギスで鶴さんとただ話して終わった。もしかしたらスタジオかもしれないが、鶴さんから連絡はない
ネットの会合に参加した
夜はうろうろしていた
次の日もカメラ君に頼まれて鶴さんのところでコロナ都々逸を録音した
触れないなら
ただ見つめ合え
ドルチェアーンド
ガッバーナ(ー)
El rey no debe multiplicarse esposas, para que no se desvíe su corazón
道後に向かう車の中からゴミ収集車の写真をupした
コンビニのwifiで会合に参加した
ネットで作業していた
ジョン川平氏の放送協会の番組を聞いた
久万豚太郎で辛すぎるカレーラーメンを食べて心底がっかりした
その後轆轤したから服は汚れた筈である
相模原のホワイト餃子萬金の写真をupした
ネットで2012‐2019の詩を編集する作業をしていた
コロナ音頭が送られてきたのでupした
2012-2019をアップデートした
zoomの会合に参加した
素焼窯入れしたので服は汚れた筈である
元祖ベジポタと幟のある大街道のバスのラーメン屋に服が汚れたまま行き、その後ネカフェのマッサージ機にかかった
そこでyoutubeで高く評価した動画をまとめてupしてみた
ドルチェアンドガッバーナは高いんだね
一番安くて7000円だって
ちなみに高く評価した動画というのは
Joy Again – Winter Snakes
Hot Gossip – Break Me into Little Pieces
香水 / 瑛人 (Official Music Video)
Just Regular People
自販機
Yesterday Yes A Day (Bande originale du film “Madame Claude”)
BJ SNOWDEN IN CANADA
Maher Shalal Hash Baz@近江八幡酒游舘 2005/4/3 2nd stage
Xinlisupreme – Kyoro 2
Jean Claude Vannier – Habitants de Bécon les Bruyères
Infelices Bicharracos, debut en vivo
Roland Kayn – Simultan
Oneohtrix Point Never – Black Snow
TRABANT Víg M. Kígyó
tori kudo “job2011”
Xinlisupreme – All You Need Is Love Was Not True
わしかてずーっと一緒に居りたかったわ
という歌をサトコさんに教えてもらって聞いた
窯焚いてるから暇なんだよ
SAYONARA Baby
青空の写真をupした
会合に参加した
図書館車で井内、西谷方面を回った
ちなみに西谷は風の谷のモデルと言われている 
昔久米の温泉の近くにあった店が潰れたラーメン屋に居抜きで入っていた
服はそこかもしれない、と思う
夜中2012‐2019をアップデートした
朝引き続き2012‐2019をアップデートした
釉掛けを始めるが終わらず
カッパを着て図書館車で小学校に行った 雨 
仕事着には着替えずあっさり元味というのを食べたので服はそこかもしれない、と思う
そのあとそのまま窯入れを始める
父の服をもらった ということはその時点で青いジャケットは着ていなかったのではないか
親の服はセンチメンタル・ヴァリューというより中学の頃の強迫神経症と繋がるので大事というのとはまた違う
会議を傍聴する
窯入れを続ける
夜中過ぎて火を入れる
ポンコピピンで俳人と会う
青空と電線の写真をupする
だんだん現在形になってきたな
金湯に浸かりマッサージ機にかかる
一興であっさり元味
ビル・ウェルズの新作を聞く
礼子仕事
さよならベイべの歌詞をコピーしてコードを探す
招き猫でカラオケについての詩を書く
民酒党という店にみなは行く
家に着いた時車を少しぶつけた気がするが大丈夫だった
セイタカアワダチソウの風呂を入れる
スムージーを作る
イギリスや日本にはまだ王がいる、と意見を述べる
カナリア諸島から緊急のメールあり二〇〇七年のジャパンタイムズのマヘルの記事をチェックする
カフェで訊くが服はないと言われる
図書館車で小学校に行った
死にかけの猫に会う あんな悲惨な猫は初めて見た
食べ物を持っていったがもう食べなかった
トランプ劣勢
今ココ

 

 

 

#poetry #rock musician

わしかてずっと一緒におりたかったわ

 

工藤冬里

 
 

社会学者がサカナクションの新宝島を 唄った
その前は真心ブラザーズの拝啓ジョンレノンだった
それから知らない女の子がボニーピンクのヘブンズキッチンを 唄った
僕はマスクをしていた
同じ女の子が細野晴臣の恋は桃色を 唄った
ポンコピピンのマスターが誰がために戦うというサイボーグ009のアニソンを唄い上げた
死の荒野というところを極限まで引き伸ばした。
社会学者が蘇州夜曲を唄った
ポンコピピンのミホさんが椎名林檎ヴァージョンの木綿のハンカチーフを 唄った
知らない女の子がエゴラッピンの嘴にチェリーを 唄った
ポンコピピンのマスターが愛の讃歌を唄った
社会学者が頻繁にキーを変えながら平沢進の白虎野を唄った
ミホさんが椎名林檎の茜さす帰路照らされどを唄った
僕が歌ったのはこんな歌だった
月夜のボタン
月がきれいなので
虫を食べることにした
抵抗して弾けて飛んだボタンは月になった

光になれば月は見えず
虫のように真っ白になって歩いていた
月を見るためには虫を食べなければならな

変わらなければならない
月になってはいけない
今夜のきみは空のメダルのようで コートの中はひとの形はしているが 凍結されたカードのように空っぽだ 月を見ず 花を見ず メダルのようなボタンになって 拾われぬまま
照らされず 虫を食べるようになることなど思いもかけ ないのだ ボタンの血を飲み月の肉を食べることがそ んなにいやなら 2トントラックがバックするから 心をひねりつぶせばいい�花を見ず 強姦され�月を見ず 強姦され ぺしゃんこになった二次元の光 ひとはいつか虫を食べるようになると ぼくは今夜は思っているんだ
それからポンコピピンのマスターが美空ひばりの乱れ髪を唄った
そのあと社会学者が椎名林檎の罪と罰を唄った
ミホさんが平松愛理の部屋とTシャツと私を 唄った
知らない女の子が相対性理論の地獄先生を 唄った
ポンコピピンのマスターが新造人間キャシャーンを 唄った
社会学者がベルバラの薔薇は美しく散るを唄った
ミホさんがCHARAの優しい気持ちを 唄った
知らない女の子がとんちんかんちん一休さんを 唄った
社会学者がミシェルガンエレファントのバードメンを 唄った
ミホさんがタイムマシンにお願いを唄った
ポンコピピンのマスターがオーバーザレインボーを唄った
知らない女の子とポンコピピンのマスターが が初めてのチュウを 唄った
社会学者と知らないヒロシとミユキの男が女のラブゲームを唄った
知らない女の子は永井真理子のミラクルガールを唄った
社会学者が三国志ラブテーマを 唄った
知らない男がブルーハーツの1000のバイオリンを 唄った
ミホさんが歌舞伎町の女王を唄った
ポンコピピンのマスターが獣は裸になりたがるを歌った
社会学者がイエモンのJAMを 唄った
外は冷たい風
街は矛盾の雨

 

 

 

#poetry #rock musician

コロナのように際限のない土壺移り

 

工藤冬里

 
 

痰壷
マサチューセッツの農場に住む数学教師ハワード・シュテルツァーはカセットとカセットプレーヤーで音楽移民を作っていた
今まではドローンとテクスチャーが多かったが
ある日痰のように人声を 使いたく思った
ハワードのコロナの死骸
ハワードのハートはマインドをもはや切り離すことができない
ハートはマインドをもはや切り離すことができないゆえに心には愛情欲求動機の他に「考え方」も含まれていることが分かる
理解のないところに感動はない
理解も感動もないこころに煙は立たない
〽︎でも見てよ今の僕を
クズになったあ僕うをお
口から吐くのではない
心から考え方の死骸を吐き出すのだ
聴いたことがないと言うサトコさんに香水を聞かせたら「そう言えば息子が学校でサビが岡山弁の歌が流行ってるって、と仰る。
わしかてずっと一緒におりたかったわ
心には愛情欲求動機考え方性的不道徳恐喝贈収賄が含まれている
悪に関して同じ感覚を持つ鍋
あなた(博多)の中 人々は
ハロウィンパ
レードとルーが歌ってもう三十余年
祝祭のために女が泣くことは忌まわしい
紛れもない悪と看做す
似ても似てなくてももう月明かり
考え方によって大切な人とみなされない
サトコさんが言うには正直な歌詞が良いらしい
わしかてずっと一緒におりたかったわ

 

 

 

#poetry #rock musician

ついにこの容れ物には入らなかった精神

 

工藤冬里

 
 

は骨壺に入っている
コツウォルズに一緒に行ったとか
ほんなこつね
いつかトラムには乗っていた
居た居た居た居た
居たと署名したらその時点の生を再生し続ける
独立宣言や日本国憲法と同じように
全ての書類には神がサインすることが想定されなければその有効性はlaunchされない
骨壺の中に入っているのはマナのレシピと骨訴訟証
山本土壺という篠崎順子にドツボ!!と発語される同輩がいた
晩年は俳句に凝っていた
骨壺に入れる一つの言葉は他の全ての言葉との違いを指し示すだけだが
コロナのように際限のない土壺移り
 

 

 

#poetry #rock musician

簡単な部屋の名付けられていない二色が全てを決定していく

 

工藤冬里

 
 

取りまとめてカラカラと
何の見切り発車か
デスティネーションはとうに過ぎて
スクワットを笑って三十回
時間を売って
デスティネーションに戻ろうと
留守電のようにカラカラと
空のリールのように操業する
針の長短
徒刑まで何マイル
ついにこの容れ物には入らなかった精神

 

 

 

#poetry #rock musician

胃が痛くなりそうな気がする

 

工藤冬里

 
 

白髪はほとんど光
死んだ男との繋ぎ目が黒を潜って顔になる
親達は叫ぶ赤子に戻り
流線は収斂する
シナイの地下水は豊富でなければならない
戦況について
身近な国の国境を越える色がまだ名付けられていない
いよっ大統領
着ることは中身を外に出すこと
パンジー刑事
反故にする
衣服を着せて体の欠点を隠す
頁のカモメ
柿色のコンパネに光が当たり
身分証明に完璧な接着剤
簡単な部屋の
名付けられていない二色が
全てを決定していく

 

 

 

#poetry #rock musician

Situationist
International

 

工藤冬里

 
 

ジジェクの「パンデミック」はその冒頭から間違っている
マグダレーネに言った「我に触れるな」(J20:17)は風船のように空中に昇っていったりはしないから大丈夫だよ、という意味である
ジジェクはここを、相手に触れることの出来ない感染拡大状況に適用する
そしてヘーゲルの若書きを引用し、触れられないなら見つめ合え、とアジテートするのだ
そのあとジジェクは

ここで大木さんから電話が入る
今自分はネオ・シチュアシオニストで、映像は繋ぎ目が大事なのに大手メディアはその微細を分かってない、原発事故やコロナよりSNSの方が問題だと言う。
僕は映像を 観るとは善悪に晒されるということだ、と説明する。
その後

胃が痛くなりそうな気がする

 

 

 

#poetry #rock musician