違反者

 

工藤冬里

 
 

免許センターに行った
ナビに頼らずに行った
都営の応募の、灰色のC層を予想した
途中吉藤の、
借りようと思っていた窯場を過ぎた
朴の木のある
東京弁の女だった
五〇〇〇円くらいだったら陶芸教室に入ってもいいわよ
あの頃は金が無かった
セブンに寄った
時間はあると思った
そこであっさり命を落とした
そうしたら三種類の電線が面白く見えた
しかし矢張りバッドラックに引き返した
マスクを買うのは生まれて二度目であった
まさぐった
掃除婦が同じマスクをしていた
倫理がなければ詩を生きても意味はない
非常に分厚くワックスが塗られている

飴のようだ

 

https://twitter.com/_YukioHakagawa/status/1331374568351559680/photo/1

 

 

 

#poetry #rock musician

海面近くのバブルや前世紀末の非線形の展開の速さを知らずに海底で引き摺られていた痕跡のように

 

工藤冬里

 
 

線形がないことが線形なのではないか
複雑系が単純の裏皮なのではないか
曖昧な過去が愛の熱の標野なのではないか
時間が存在しないことが時間なのではないか
自己形成を完了し脳の中で思い出は
過去から順番に平然と並んで
いじめられたことは覚えてないと言う
楽しい思い出しかないと言う
海面近くのバブルや前世紀末の非線形の展開の速さを知らずに海底で引き摺られていた痕跡のように

 

 

 

#poetry #rock musician

クラスター

 

工藤冬里

 
 

最後の日々に偽りは一定の役割を果たす
集まることができるからだ
二番町の会員制スナック真野に発生したクラスターは
下半身のないzoom勅語のカウンターをもたらし
心のどこかで同調してしまう紫のネオンの
一一月はとりわけ
鷺の往来烈しく路肩に横たわるハクビシンらの
trustworthy
ボリビアのラパスで家政婦をしているエマは
透けて揺れる葉っぱ以上のものを見た
つぶらな形の頭の中に光りは仕舞われていった
戦争に深くかかわり合っていたことは明らかです
祈願の両翼型は無意味である
わたしは聞いていない
再び暴力行為の正当化について
良い人なんだけどバビロンの娼婦を誤解しているから
すり潰してサラ地にする
真砂土を撒いて
真砂土を撒いて
好転させる
老齢や事故で死ぬことはなくなりますし
trustworthy
平和な時を活用して軍事力を強化するアサ王に対して加藤典洋ならなんと言うだろうか
免疫力と言い換えればどうだろうか
見えない軍事力とは常に最終兵器でなければならず
未来があってはならない
それは見えない一つの石飛礫でなければならない
それは言語を準備することだ
言語が石礫なのだ
見えるハト派と
見えないタカ派を撃つ
木造の枠組を下から見上げ
尻を暖める
想像力とリサーチで
思い違いをしないように
全ての人から憎まれることになるとリナちゃんも言っているではないか
いつまでも退けられる

 

 

 

#poetry #rock musician

健気さがない場合
zoomの背景設定は意味を成さない

 

工藤冬里

 
 

bamdcamp
https://torikudo.bandcamp.com/track/zoom

 

健気さがない場合
zoomの背景設定は意味を成さない
生まれる前からやっている
生まれる前からやっている動画にマージせよ

生まれる前からやってるバー
生まれる前から張ってるフロンティア
生まれる前から流れてる動画

健気なバー
健気なフロンティア
健気な動画

 

 

 

#poetry #rock musician

塩釉の砥部

 

工藤冬里

 
 

 

父の遺品まで全部焼いてしまった後しょうがなく炭を買い足しに行った帰りマスクせずにローソンに入ってカツ丼みたいなやつと和歌山ラーメンというのを買って車で食べた
恭子さんが聞いたら卒倒しそうな最低の土方の食事である
温度が上がらないので他のことはどうでもよかった
軈て煙突がぬけて白い火が吹き上がった

 

 

 

#poetry #rock musician

熱力学の第二法則

 

工藤冬里

 
 

二番町の焼けたくるきちのことを書こうと思ったけれども
まだ騙す人が沢山立っている戦後で
柳の下にずらりと並んだ屋台の
砂糖でくっきりさせた敗戦の甘味が
棚引いて
棚引いて
無いはずの時間が
曖昧な近い過去の
熱量の落差ゆえの現在となって
かめそばの上で削節が踊る
抗争の北京町
組員皆殺しの夢を見ながら
湯割りで調節する熱量

 

 

 

#poetry #rock musician

intervened

 

工藤冬里

 
 

新しいローソンがトラックを五台停めて浮かび上がっている
ラジオからは魔王が流れています
攻撃にさらされている
シューベルトのように

わたしは失敗している
動画をスローのスクリューにすると
勝手に明かりが点い たりする

やばい
やばい
やばい

父が音を立てて見回る
ランドリーはばかでかい

顔を
消去してゆく
センターラインを超え
身動きを取れなくしてゆく
目玉
携帯がびーびー震える

僕はあの温泉が嫌いだ
菌がいっぱいで

ファーター!
ファーター!
魔王が見える!

それはおまえに隙があるからだよ
たかのこの湯はちんころの湯だよ
黄信号が点滅する吹雪の道で
音を立てて見回る

くめの湯に向かうよ
BOSSの自販機があるから
地球だと分かるよ

 

 

 

#poetry #rock musician

倉敷

 

工藤冬里

 
 

リーヴァイス
は奥の奥の影。
長い鞘が残酷に揺れる
プラモデルの箱のように
山間の家々に暗さをもたらす
四角く切った屋根から落ちた子供のために脂肪を捧げる
赤白青の的の描かれた家の漆喰の外壁に向かって
薪の上に並べたウェディングドレス
穴の開いた樋からは鯨脂の白が流れ落ちる
次から次と病気になって
ヅカファンでアルフィーの坂崎が好きなトリコロールの真由美が
ヅカファンでアルフィーの高見沢が好きだった倉紡の元同僚に書く手紙に脂肪が吸い取られていく
落下地点を的にして潜らせる針の

 

 

 

#poetry #rock musician

郵便配達夫を追いかける

 

工藤冬里

 
 

私とは
出されてしまった手紙
封をされて
呼吸している
紙でも肉は切れる
開封されてしまったら髄まで断たれる
骨を継ぐのはセメント
樽の中でランガージュが回っている
血と骨
言葉とセメント
血も言葉で継げるか
ウイルスで刻印された血は開封前の赤紙
食事のたびに欠ける歯の
軽さに苦しむ
禁止された黒白鍵盤の
陰鬱な漆喰土塀の街並みを
ランガージュが走り回る
歯並びは土佐電鉄のように
「ごめん」と「いの」を行き来する

 

 

 

#poetry #rock musician