二〇二〇

 

工藤冬里

 
 

現実がスペクタクルを超えていくのできみは映画を観ている暇がない
監督になろうとしてエフェクトをかけ、目を潰す
主役になろうとしてレジの釣り銭を誤魔化す
レッドカーペットを歩く筈が国際テロ組織認定される
蒼いマスクの女の子たちをカメラは追え動くな死ね蘇れ
薊を捧げるアビガエル
溺れるノアと書く株価
立ち飲みレジスタンス無惨
帝国軍は釣り銭集計改竄に手を染める
歌合戦マイスタージンガーZ
都市の背て何?レジに立つレジスタンス
レッツダンス

 

 

 

#poetry #rock musician

この日常とこの分断

 

工藤冬里

 
 

荒廃したみどりを住まいにしているみなさん

対象

方法
動機
が重要で
特に
動機
が重要で
それは
普段
天網恢恢のこの日常から
推し量られます
この日常です

さてこの日常は
分断とどのような関係にありますか

理論的には
時間が無いなら分断も幻です

でもこの分断です

クーデターはありません
空白00でもこの分断です

いばらとあざみの日常で
燃える剣を背後にして
このうすぐもりの荒地で
この分断を焼きなさい

 

 

 

#poetry #rock musician

Assassin

 

工藤冬里

 
 

一番離れて
傾いたまま
右翼がとうとう
雲の晴れ間の
月のように
冬至Assassin
怒れる男達は今は非常にソフトである
一方
井出に棲んでいる飛べない語彙鷺は左翼を失っている
渡りをしないと
僕らはどうなる
✖️一〇
たいへんなことが起きる
一番離れて
傾いたまま

 

 

 

#poetry #rock musician

奴隷

 

工藤冬里

 
 

傅くこととか言って死んだ
字のきれいな奴隷
黄金町の川沿いで
八級
七級
六級
五級
四級
三級
二級
一級
初段
二段
三段
四段
五段
六段
七段
八段
九段
免許皆伝
その日に約三千人が加わった

弁当に燕が
茗荷のように

フード被って撒き足して去る

今日が地球上で最後の日

 

 

 

#poetry #rock musician

Stollen und currywurst

 

工藤冬里

 
 

閉架に今は読まれなくなったハンブルクのB級グルメCurrywurstに関しての小説※がひっそりと背を見せており僕は仕事帰りに買いに走ったがそれはそうと
燃やさなければならない
白壁の黴にプルシャン・ブルーの浸透があるなら
家ごと燃やさなければならない
出産が「死ぬ人」を産むことである間は
轢かれた猫のように
バイクから投げ出された
夕刻の厳粛の
脇をすり抜けていく
クリーヴルストがないのだから
シュトーレンを食べたって無駄だ
男の子は三三日、女の子なら六六日、
祖先の犯罪を想ってひきこもらなければならなかった
女が悪いのではなく
女が
近いのだ
原罪シュトーレン首都連合の現在に

 

※「カレーソーセージをめぐるレーナの物語」
ウーヴェ・ティム (著), 浅井 晶子 (訳)

 

 

 

#poetry #rock musician

「文春オンライン」によると、禿げを偽って結婚した男がカツラを見破られ離婚された。さて、ところで、マスクをしてフードを被っていたら一人の子供に「おばさん」と呼ばれた。わたしはその子供におばさんと間違われた。その子供はわたしをおばさんと宣言した。

 

工藤冬里

 
 

さて
ところで。
わたしに対する治療は存在しない
わたしに対しては隔離だけが存在する
わたしに医者は存在しない
宣言する者だけが存在する
病は汚れだからだ
汚れているか汚れていないかの判断と宣言だけが存在する
禿げは汚れではない
父は最晩年に頭の天辺が少し禿げてきていた
誰も何も言わなかった
さて
ところで。
病は無くなる
禿げも
たぶん無くなる
さて
ところで、

 

 

 

#poetry #rock musician

世話することが仕事だった

 

工藤冬里

 
 

世話することが仕事だった
世話の必要な羊を世話するために
食べない羊を飼い始めた
給料をもらうことが仕事なのではない
世話することが与えられた仕事だった
飼うことそのものが仕事だった
飼うために飼った
きみがペットを飼っているとしたら
それがきみの仕事なのだ

草むしりは仕事ではない
野菜作りは虚しい労力の浪費であった
地面は石ころだらけで
川の氾濫もなかった
それは草も生えないその達成は今日の労働に似ていた
労働の結果は火花に似ている
着火はするが燃え上がることはない
一二月一六日的空を 心はしていた

 

 

 

#poetry #rock musician

1956と1958の厳然たる違いについて

 

工藤冬里

 
 

デイビー デイビー・クロケット
素敵ないい男
スタートダッシュで出遅れる
三つで熊を倒す
僕は四歳
万世一系の系図を憶える
二つ以上数えられない人たちが国を作る
三つ目は数えられない人たちの
政党
だだっ広い荒野
どこまで行っても離される
僕は四歳で倦怠を知る
デイビー デイービクロケット
真逆のいい男
時間とは熱の不可逆性との闘い
私は自らの体温でなんとかそれを乗り切った

 

 

 

#poetry #rock musician

muted organ

 

工藤冬里

 
 

矢が刺さる
私たちに矢が刺さる
蜂の巣のように口をあんぐり開けている間に
子供たちは飛んで行ってしまうのだ
夫は無口で
娘は勝気
夫は死んで
BUMPの追っかけをやめた娘と
こぞって屋根に上ってしまう
腐った音を食べ続けてレコード屋になるよりはマシか
ダーツに数人プールに数人
マスクしてhangingaround
ミュートして参加する
ミュートして参加するビジネス
ミュートして参加する家族
てにをはのおかしい緑のバス
Ⅰ-Ⅴ-Ⅳの無いクープラン

 

 

 

#poetry #rock musician

雑魚天

 

工藤冬里

 
 

いずれにしても服のまま運び出され
区別することの必要性を教えられながら
服のまま焼かれただろう
一度だけわざと
というのが成立しない世界を教えられながら
アビフ動画もbanされていくのだろう
国々のプラットフォームを述語とする糾弾は前菜に過ぎない
我々の国などは雑魚の中の雑魚、ジャコ天にされたその他大勢なのである

 

 

 

#poetry #rock musician