千年眼鏡

 

工藤冬里

 
 

今日のあけがた
まつりの熾火はまだくすぶっていたが
さむさのなか期待してうろうろしていた
組内のヤクインたちが起きてきて(ずるいな)協議しているようだった
ここで暴力装置と自治会が系統を別にしていることが明らかになったのをあらためて感じる
ケーサツを呼べ
はまだ生きていた
反逆禁止条例は直接的には暴力装置とかんけいはなく
長の前で「うん」と言ったからといってどうなるものでもないのだ
罪状は大抵の場合突き上げによる
だからもうなにも応えなくていい
仕組まれた事件を扱う長はうらみや嫉妬まで見通しているものだし
なおかつ恩赦の餅撒きまで持つのが支配の生政治というものだ
ヤクインは薬院に集まり鯔背なまつりの死者のハレに衆の焦点を持って行った
まつりの死者はべつの満月のまつりをすでに昨晩用意していた
目の前にあった飲食物を回して与(アヅカ)るメモリアル、という簡素なカウンターであった
暴力装置は作動した
あざけりや唾をかけることはこんどは代理の暴力装置の仕事だった
罪状のパロディを演じるのは共生の実感がないからこそ出来る、虐殺に従順な軍の特色だ
群衆の代理としての暴力装置は個々人には冷たく、棒杭を運ばせられるなどしてとばっちりを受ける者もいた
長が訴訟の裏を見通しているのと同じように、群衆はゴルゴ13のように背面を取られないためにだけ想像力を用いる
まつりの死者はじぶんのまつりの中にいるが群衆はかれらのまつりの中で裏へ、裏へと情動をマネジメントするので
雷の声を聞いてもその解釈に於いてつねにずれていく
えりという語が発せられているのに聞き間違いを耳に強いてまで裏を取って意識決定をずらせてゆくのだ
それは消防団的なリーダーたちへの付和雷同という消極的な側面もあるが
苛められて来たゆえの防御反応でもある
昼なのに闇が垂れこめている
奥の奥に通じるとされていた幕が裂けてやっと裏がえしていたものが現実だったと知る兵隊もいる
動態視力としてのカメラは引かれまつりの外の大勢の女たちが映し出される
roll it on him!
読者よ想像力を働かせなさい
支配の複雑さと虐待のトラウマから来ているのかもしれないが
本当の場面に遭遇した時いつものように裏を想ってしまうならば
人の子を殺してしまうのだということを。

花の季節に閉じこもって花の写真を見ている
忙しくしていれば乗り越えられると信じて
欠落を見続けている
だが今日は見てやる
ちらとでも見てやる
花の永遠を
見たら爆発する
去年との違いを見てやる
おう 書き言葉 書き言葉
詩の役割語よ
腹を立てていた
自分に対してだけじゃない
ほとんどすべてのものに
そばにいる
画面にない手を見る
猫を見ていると
種の違いよりも
個体差の方が本質的であるように思える
千年眼鏡を外すと
聖霊なきシュールの彼方
ここまで画像整理に励んでいるということは
ほんとうに死者からのアルシーヴを実践しているということだ
平たく言えば今年からはサクラもガン見しようとせず既に死んだつもりになっているということだ
happy passoverなどというGIFが散見されることからすれば
地上性の開き直りの世俗は天に達している
すなわち滅ぼされる
きみはガクモンにヨリドコロを見てはいけない
天にも地にも居場所はない
緑の濃いとりわけにちゃらけた写真があった
セイタカアワダチソウの黄色が見えた
耳鳴りの中痙攣しながら自分で自分の肩を抱いて寝なさい

 

 

 
#poetry #rock musician

千年花月

 

工藤冬里

 
 

ユダの声色で
腑の出た魚
トリチウムの様(やう)に捨てられた旧神は剥(ムク)れる

千年花月

薄つぺらい写真で出来上がつてゐる菊人形状の身体から満月を剥がし
その欠落について補填するのなんの
減収のはなびらで装ひ
理由のある唯一の札を引くやうに
現実と永遠を重ねる
オートバイは失恋を吠え
罪のレセプターに給油する
その愛はリッター何兆円ですか
何かわるいことをしたのではないが質(むかはり)になつてねこの視線にまで入り込んだ
生き返らせるには写真アルシーヴの配列を変へるだけでいい
サイズでも作成日時でもなく人は名前で並べ
パオの中で火が燃え
ねこは内側に揺蕩(たゆた)ふ
外で繋がれてゐた人間はウヰルスのついた無酵母の煎餅様(やう)を食べた
とりわけ白茶けた一葉が抜き取られた
決して到達しない花月に向けて

ある種のマリン・ブルーを敷き詰めた部屋で
法律用語こそが最上等リアルだつた
それを知ることはそれを愛すること
その乖離に竦(スク)み
生き返つたねこの視線を骨組みとした天蓋の白を以て
いぬの目に降る花月に揺蕩へ

 

 

 
#poetry #rock musician

千年ランチ

 

工藤冬里

 
 

音楽の中世化が必然であったのであれば思想もまた中世化しなければならない
必要なのは超越ではなく退却なのだ

栄光を示すと言う
これまで二回示したしこれからも示すと言う
目に見えないけれど声を出すことが栄光を現すことになるらしい
じゃあぼくは声を出し続けていてしかも目に見えるからずっと栄光を表していることになるけど
そうならないのは全てを反映させていないからか
その欠落の周りに欲望が生じているのか

演劇の一部として使って際立たせるというのが音楽を活ける方法だったが、詩に花道はあるか。

非対称が際立ちすぎてはいけない
自力で飛べないならリーダーになってはいけない
変哲ない木立の写真に
絡まった見えない羊を探せば
鉄格子越しのきみの顔が見えるだろう
羊頭からのその折り返しは変身しない隊員のようだ
スマートではあってもヒーローではない
コロナ怪獣対策の隊員はTVの中で
令和に昭和を滑り込ませている
お兄さんキャラがドブ板に白黒で立ち上がる
御同輩!と紙一重の電化羽根
パンシロンのバンカーは禁令下の駐在地で妻のランチを
首を切られた白鳥のように
詩を活ける室町にする
頬痩けたスーパーマンの力強くげっそりして
アメリカでも中国でもない
灰色のキャラメルごと飛ぶ宇宙船のなかの静止画像の地染め前の伏糊感
おお 立体よ
バナナのように直立しマカダミアの顳顬を持つ
一九六ニ年から西暦しか使わなくなった韓国に昭和はあったか
生き残る人に共通していたのは

掃除機の空洞を思い浮かべてみる
コロナじゃないよ花粉だよ
と抗弁している仮想の現実を
受け入れているかどうかだ
画面を見るとゆうちゃんて一家の中心なんだね
髪の分け目の用水路が上に延びて
今は令和だ
あらゆるGIFがあるように思える中で
欠落のみに注目しよう
英語にはないニュアンスは集められて
仕分けられぬまま
春のゴミ屋敷に
菜花として生え
生首として活けられる
天には無い光景として
生花は切られ
タイで絞められ
鯛は不躾に活け締められるから
称賛しないなら弟子にならないで済むと
花の下で論語教師の落としたUSBの
早口のワクチンのデータを届ける
光る柿の芽を早く食べなきゃ
大艱難が始まってしまうが
アーカイブは花瓶に活けられなければならない
選ばれることはミュージシャンの願いや努力にではなく憐みのあるコロナにかかっている
授業がストップして学力の差が出ることを心肺している
選ばれることと選ばれていないことの界面はない
アゴニストとアンタゴニストの汐に晒されるが
その内面は孤児レセプターのリガンドとして
高潔さを捨てずに歩む

アルシーヴに忙しすぎて見れない(ラ抜きすいません)と過ぎ越して
今年もやはり桜を見ることは出来なかったと桜の下でホカ弁のランチを食べながら思う
いつかきっと花を見れる(ラ抜きすいません)日が来る、
というのは決して充足することのない対象aであり
今年も花見なのに花の欠落を見るということになる

人の写真がアルシーヴに這入り込んでくる
見えない道徳律を守れないのだから見えないコロナから身を守るなどということはできない

いつ死ぬかわからないのに引き落とし契約などできない

 

 

 
#poetry #rock musician

千年安全剃刀

 

工藤冬里

 
 

彼は川の地方の雇われたかみそり、と呼ばれていた
どすのメッキーとか
京成サブ
みたいなものだ
(ずっと咳してる奴がいるな)
悪が悪を挫くという
白竜みたいな図式が
イニシエからあったのだ
(ずっと咳してる奴がいるな)
いまや悪い奴らの方が真剣だ、とは「ソシアリズム」の台詞だが、
時代はさらに進んで善人も悪人もともにコロナの婚宴に招待される道ゆきとなった
(ずっと咳してる奴がいるな)
彼の真剣さが意味をなさず
十部族の(真剣な)曖昧さも意味をなさなくなったのがこの春だ
(ずっと咳してる奴がいるな)
春はコロナを見ておらず
コロナは春を見ていなかった
(ずっと咳してる奴がいるな)
おれはアーカイブ化に勤しんでいて
春にもあらずコロナにもあらず
大他者になり得ぬそれらを通して
小文字の欲望を形成することなどしなかった
最後の春はそのように換骨堕胎されて過ぎる
(ずっと咳してる奴がいるな)
春の手の中で石のように硬く
コロナの手の中で粘土のように柔らかい
でもあと一周走り忘れています、
と顳顬の光る平面によって構成されている多面体としての頭部が語る
人種の違いよりもパーツのアフォーダンスのようなものが際立つ
(ずっと咳してる奴がいるな)
経験とは後追いの電影であり
知っていたが見るまでは思い出せない記憶だ
(それにしてもずっと咳してる奴がいるな)

 

 

 
#poetry #rock musician

千年カット

 

工藤冬里

 
 

わたくしとはひとつのうち捨てられたアルシーヴである

戦火のなか詩どころではない、ではなく、だから詩しかない、とジジェクは書いたが、
この災厄のなかで詩よりも上に来るのが写真のアルシーヴであるような場合、ひとは墓所を購入したことになる

生まれた村を出ぬまま
庭の柿の下を掘り進んだ
渡り歩くのは山窩や家船だけであり
ライブツアーなど考えも及ばなかった
恋愛のために、さらにはそのあざむきのために、生きているのは数日のように感じられた
スクリューの轟音のなかで掘り進み
四人の妻は地の溶鉱炉に達した
ネガティブな情報は最小限にとどめられ
母より大きい娘が
アルシーヴの轟音のなかで解決策に注目しやる気を教えていく
二人の黒い影がアフリカンシンセ風に揺れている
どんな人であろうとシンコペーションを拒否した歌で耳から教え
目の見えない人には後ろから話しかけてはいけない
鍛冶屋の親しみやすさと散髪屋の気遣いは
詩の轟音のなかで
以前のようには啄めないまま
この災厄を経て
千年の間カットされる
端女の時間割は白紙に戻す
スクリューのテクノロジーはハリー・スミスが
コンテンツの統合は天使が請け負う
最後の日に神殿で
アルシーヴ化をdisられる
写真群はギゼン者の外面に降りかかる
一円玉が内面に落ちる音を聞くために
電子的に人を呼び寄せる
石はとてつもなく大きいが
轟音のなかで崩される
種に食い込む外側

 

 

 
#poetry #rock musician

千円カット

 

工藤冬里

 
 

床屋の日常などない
黒髪も白髪も
共に落ち
吹かれるか吸われるか
籾殻のように跡形もなく
かつておれが坐っていた日常は
高さを調整されて
静止している

動脈静脈の絡み合いで
やっと直立していた
観葉植物の猿人は
マンドレイクという名で
令和姫とレイチェルはスーパーで彼を根こそぎ争奪し合い
お蔭で地球は空洞になってしまった
ジルパとビルハは軽くなった腹を撫で回し
GIFにもされなかった自分たちの気楽を啜った
ジルパもビルハも
借り腹の絡み合いの紐を
立体にしたのだ
それをカットしたのはおれだった

かつておれが坐っていた日常は
いまや正しさを調整されて
絡み合いながら静止している

 

 

 
#poetry #rock musician

 

工藤冬里

 
 

最後の日に
disった
素麺は
フックだけ残して
降りかかる
刺さる
神社は無くなる
黄色に白の腹

頂以外
大きすぎて
人だかりする
懐の翳
コロナ離婚の輪の
泡(アブク)としての
額のない
耳鳴りのなかで
「五輪終です

外側も清めず
内側も清めない
そんなことまで自分で決めた
雨に滲むピンク

あなた、ぶちとまだらの羊,焦げ茶色の若い雄羊,まだらとぶちの雌ヤギ
一人称のあなたがたの袖を掴んで
「一緒に行かせてください
「別にしてください
袖をつかんで「いかせて欲しい
「別々に住む人を探しているんです
国民が絡むと一人を複数系で呼ぶ
外側も飲み内側も飲む
なら容赦されない
他の人より沢山クッキーを食べるわたしに
別の家に住むことを
それがねー
いい感じなのー
とか勧めたりはしない
人に知らせたりしない
同好会を立ち上げたりしない
わたしも間違いをさせたくないからいいねしない
いわれを問わない
あなたはかつて素麺の言葉をフックに吊るしかけた

いわれを問われるはよい。問われるままに、こたえる都であったから。笠をぬぎ、膝へ伏せて答えた。重ねて北條と。かどごとに笠を伏せ、南北に大路をくぐりぬけた。都と姓名の、そのいわれを問われるままに。

だがいわれを問われるはよくない。問われるままには、こたええぬ都であったから。笠をぬぎ、膝へ伏せて答えなかった。重ねて北條と。あなたはかどごとに笠を伏せ、南北に大路をくぐりぬけられなかった。都と姓名の、そのいわれを問われるままに、こたえることはΠνεῦμα ἅγιον(Pnevma ágion)に逆らうことだった。
ほめないならあなたのためになる
ほめられるあなたもほめるわたしもさいごまでΠιστός(pistos)を保たなければならないことを理解している
数が増えているということは
心配する必要はない
疾患のために信じていることもあるからだ
集計には選ばれたと思い込んでいるあなたの数も含まれている
残っているあなたの数は分からない
給食センターのバイトに遅れて来たのに一万もらったあなたの
ぶちとまだらの羊,焦げ茶色の若い雄羊,まだらとぶちの雌ヤギ
あなたが都にいくことの
いわれを問うてはならない

 

 

 
#poetry #rock musician

ふたつの詩のある風景

 

工藤冬里

 
 

最後に一言いいですかあ▶は新聞読めるだろうからきっとコロナのことだったと思う▶最初から言ってくれればわざわざ自分がやらなくてもよかったのに▶ほんとは知ってたんでしょ▶と

eighteen▶and dreaming

東の人は分からないだろうけどjoyfullに黒豆茶がなくなったのは許せない▶代わりにドリンクバーにはピーチティーというのが入っているがそんなの飲まないよ▶徹夜してる人種には黒豆茶の優しさが必要なんだ▶ファミレスのホームレス▶スレを立てたらフェミにはマジレス▶psfはプロレス▶太ったロックンコレステローラー▶ニールヤングはホープレス▶スペイン人かゴンザレス▶日航レスキュー坂本九▶下着はなんとシームレス▶レスザンゼロのキャッシュレス

歌のラインより高い音程の伴奏には三味線の音色が自在で特権的である▶耳は声と弦を同時に聴くが我々は弦を無意識に虫の音と同列に置く▶ギターだと二人格を聴くことを強いられることになる▶フォーク野郎のギターが凡庸なのはギター人格を押さえ込もうとするからである

道連れ

NullPo▶guts

ルルは非道い物語だ▶ベルクとしては中の人だから見えないんだろうけど▶まあ殺されて終わるから帳尻は付くが

夢はオールスターだった▶客商売の人の夢には客が出てくるんだろうか▶その人にも毛根があるんだと思うのも気付きと言う乎▶明け方 そんなには寒くなかった▶突然 チビ太はママになりました と口を突いた▶東から素直なメッセージで▶ハーネスではまめに換気して声は使わない▶とあった

hey Zach, is being in Europe no longer able?

春は春とて夜は夜とて単管の▶音色の栄誉に与れば▶師とは呼ばれぬ揚雲雀▶上がり下がりの寒暖を▶鳴かず飛ばずの興行の▶見えぬ掟に震えつつ▶筆舌尽くしてWiFiの▶見えるウィルスに乗せましょう▶見える電波に乗せましょう

ウィル・スミス▶ミス・ウィルス

〽︎神戸 泣いて どうなるのか▶感染された我身が みじめになるだけ▶神戸 船の灯うつす▶濁り水の中に 靴を投げ落す▶そして ひとつが 終わり▶そして ひとつが 生まれ▶夢の続き 見せてくれる▶宿主 捜すのよ▶〽︎神戸 呼んで感染る店か▶傷ついた免疫系が みにくくなるだけ▶神戸 無理に足を運び▶眼についた名もない 花を踏みにじる▶
そして ひとつが 終わり▶そして クラスターが 生まれ▶誰か うまい 嘘のつける▶バンドマン 捜すのよ

そして埼玉

着々と進む花見の準備

マックの店長やってる夢みた

はなれ瞽女おりん▶ピック▶を▶ニックに▶ぴくっ▶憎い

くるしみぼろぼろ▶くるしみほかほか▶くるしみふわふわ▶くるしみしゃきしゃき▶くるしみはぐはぐ▶くるしみギィーンギィーン▶ビールをストロングゼロに変えるようにかなしみはくるしみに変わったのだ▶くるしみによって認知の進行を防ぐ

ロックダウン

アーカイブ化に沈潜し春を軽んじる

耳障りなプロコフィエフは終わりの時になお稼働するATMのようだ

夢見たものは ひとつの幸福▶だとか▶〈私には 何が ある?〈私には 何が ある?▶だとか▶誦じているが▶〈それが何になるのか▶深夜のファミレスで▶不味いカフェオレを飲んでいるおれ

A列車のテーマの繋ぎ目は地下鉄のドアの開閉だということにやっと気付いた▶ということはハーレムの手前の各駅に対応している筈だ

即興をあるべき位置に置く、とか言い続けてきたわけだがこれでやっとわかっただろう一番大事なのは音楽でも自分でもないということが

ビーツなら栽培してもいいかな

小学生まで「これまでの人生を振り返って」などという作文を書いて自らのアーカイブ化に勤しんでいる

今頃は長野の盆地の夜景が綺麗だろうな

朝一番早いのは▶寝てない屋のおじさん

闇はシームレスなので闇だらけという用法は当たらない▶それに対して光は光源の数だけ存在しうる▶闇は打ち勝つことができない

安全は平和とセットの二番手で目立たなかったのがここに来て平和より先に浮上してきた▶戦争する力はなくなるので終わりは安全だ平和だという宣言から始まる▶安全は平和より上に来るということに気付かなかったのは氷河期の狭間で安寧を貪っていたからであろう▶ここに来て玉置浩二が浮上してきた▶安全バンドてのもいたな渋谷屋根裏で▶絶対安全剃刀という漫画もあった▶今やジジェクもウェルベックも残雪もアイラも「安全」という本を書いている筈だ▶鉄コン筋クリートのシロもクロをあんしんあんしんと宥める代わりにあんぜんあんぜんと言うようになる▶人間が結束して何かに立ち向かおうとするとき人類は滅びる▶映画を観るということはその反対のプロパガンダに晒され身体にそれを刷り込まれるに任せるということだからウィルスと一緒である▶アナーキズムは平和のみに、アンチナタリズムは安全のみに対して考え出されたカウンターでしかない

突然のあつまれとびだせどうぶつの森会議に唐突な胸肉のアップ
下付きの顎の鮭に生まれた方が良かった
どの子も可愛いは嘘ね
英語の発語の愉楽は即興では出来ない
問題は毛深い
法的に納車し廃車にする残酷な春を
輸送の菜畑に賭ける
正当性は得てしてこの平野部を覆う故に
人の傘は小さすぎる
小さい傘が百円皿に張られて
キッズはココアを舐める
溶血の空はみどりの聚楽壁に映り出て
鎖付き眼鏡は幾度も死を乗り越える
黒い鞍馬天狗が六本木ヒルズのように聳え立って
前屈みの俳優は雪達磨型のアイコンを呼び寄せる
梯子を上り下りする水のやり取り
成り行きで工事する粘土の庭
広い天蓋を張れるなら
殺意は無縁のままだ
はだらのほどろのまだらが火のついてないストーブから立ち昇る
家に来る豹がコロナに罹る
クラスターはエメラルドの空のなかで溶血する
灯油を買えず氷を買うエスキモー
道路の写真の灰色を眺め続けてアーカイブを完成させる
胸肉がそんなに分厚く取れる鶏って一体どれくらいの大きさなんだ
鮭だったら良かった
下顎を突き出して高潔さを捨てず海を泳ぐ
積算で支える赤いメンテナンス
秘蔵の笑顔の灰色写真を眺め続ける
善意をダウンロードして敵意をアップロードする
誓うことができないラクダが
フィットネスクラブで体調を崩した
気取って泳ぐ太平洋
泳ぐ能力は否定しようがない
イクラは何の子ですか
鮭の子なのであれば何故イクラ丼はサーモン丼より高いのですか

監視拒否より安全を選択する時に人間社会は終わる▶戦争などでは世界は終わらない▶安全によって終わるのだ

いろいろと考えたことはすべて無駄に終わるだろう

こども電話相談室を流していたらブラックホールでは点も潰れている、と聞こえてきた▶点が潰れるということは抽象概念が潰れるということだからそりゃすごいなと思った

幻影が見えるまで起きていると恐怖心から本心に立ち返ったと誤解することがある

泣きの寂(サビ)にストンと落ちるマイナーの
窓枠から眺める春の写真
どの春も同じだった
取り返しがつかなかった
菜の花は咲く前に
蕗の薹は伸びる前に
柿の芽は太る前に
採らなければならなかった
眺めせし間に世は過ぎた
区切られた枠の期間を黒いカーテンが仕切った
その枠の中で倅に説明しようとして
光合成の頭を磨り潰す
白犬連れた二人
白いミニバン
フレームの中の動画の道に
注入され続ける桃花
道作りの倅に死なれた
損失に
補填され続けるペースト
同じ写真を削除し続けると
どの春も悔しかった
チューブは悔悟を出し切って
今年も炎が芽吹いた
擬古典様式を装って
教えようとする春休みの垂直抗力
願わくば花の下にて春死なむあの如月の望月のコロナ
網戸の声がにちゃにちゃして
化調で育った焼きそばの記憶のような確からしさ
そう、蓋を取り、
水に証印を押す
これはコックピットのように鮮やかだ
色のない旗が振られ
濃い落ち着きと重量と
エフェクトのない竹林の静止
わたしの羽搏きさえも捕らえられた
招待の鉄の甲羅が張り伸ばされるのは胸か頭か
最早地上でこのフレームを見る気は失せる
風は何処から再び生まれるのか知らないのであれば
風を問うてはならない、とは逆北條だ
いわれを問われる→ぬはよい。問われるままに、こたえる→ぬ都であったから。笠をぬぎ、膝へ伏せて答えた。重ねて北條と。
石原には城の石しか見えなかったのだ
このテントの垂直抗力
早く脱ぎ捨てたいわけではないが
別の服を着て命にのみ込まれたい
赤い薄い手を拡げ
知り得ぬ空を

 

 

 

 

工藤冬里

 
 

証明写真の背景に寒色が入っている
ふたつの人格がエネルギーを掛け流しにしている
瞬間に倫理はない、という着古した欲望の流れ
寒暖の差額のように綱から踏み外し続ける
血は樹木のように枝分かれして
入れ替わるかもしれない顔を形作る
姓が食い止めているのは何の氾濫か
蒸せ返るような苦々しさの小石が紅い
ハグする正しさの井戸を塞ぎ
掘り返して命名する緊張を学べ
シルエットは人質の解放を夢見させている
落語家か梟か識別出来るほど日は伸びて今はしんとしている
有名な俳優に翻訳されていく夜
猫の理解と比べてみる夜の目
染めた髪と白髪の同根の緊張
毛根に光を当てて
自分を描け流す
なんで猫が退屈しなければならないのか
最も大事なことをなぞるなら樹木は折れる
ヤギの白が一七℃で
政権など何の考慮にも値しない
赤縁メガネにピンクの雲が絡まる
答える必要がないことに答える奏法が無駄
折れて斜めになっても伸びるミモザ
猫の叛乱
原因が分からないので暴れているのだ
コンパクトな室町様式の肖像画の直線に猫の哭き声が被さる
ブルドーザーはニカニカする
銀は寒暖に降り注ぐ
生きている人は死んでおり
死んだ人は死んでいる
コロナの人はコロナを生きており
コロナじゃない人はコロナを生きている
今日という日のいらだちを
通過させるのはETCしか使えないスマートIC
全て発掘して陳列させられる格言の疫病
アメリカの形がシルエットになっている
やましい発音としてのあーたとわたいたち
背景色は黄色が良い
創造界のデザインに見られるヒョウ柄
ヒットエンドラン×2
抗癌剤でニット帽
無緑感で散らされる
日本人かどうか区別するのは
パンシロン色のニット帽
老齢ローレライ
シンプソンズの瞼
椅子は猫にoccupied
編笠の風化と共に
黒鍵は指に昇られてゆく
病気と
金欠
老齢
あたいたちとあーた
安普請
どのICから入るか
ツバメ国道で吃る
闘え!コロナウィルス!
昔は一度言ったことは取り消せなかったが
今は指が滑ってストーリィさえ消える
写真術の進歩などない
梅は落ちた
柿芽は食べる
テカる人間価格
ちんちちゅじょで柿の芽は膨らむ
薄汚れた毛皮の不興
和紙の道はコウゾ
雀の居なくなったworld
我ハトのごと翼ありなば
声はギンとハウる(シェールの”Do you believe in life after love?”みたいに)
石切りのように消えてゆけ
自由になって命を軽くするより
正しくなくてもいいので重くする
大抵のアナウンサーはそうではないが
きっとズボンも履いているに違いない
顔が物語っている
私の闇
レッツゴー役立たずと唄っていたが死んだ

 

 

 

あ、と@ー

 

工藤冬里

 
 

@-
あなたなしで
@-
違いました
奇効 卓効 の 違い の ように
蓬でも摘み
あなたが居て
(絵画の季語を更新したからにはドイグは)
あ、場所がないってことは
ない場所で書けってことか
いよいよだな
すべての連結をばくてりあに代行してもらうさだめの時が到来しました
ぼくはその間泳いでいよう
頭を地球にして
運転なんぞはばくてりやに代行してもらおう
さいぜりあかさいぜりやかも決めてもらおう
そしてぼくは遠い外国に旅に出よう
あ、遠い外国なんてもうないんだった
じゃあ上池の土手を一周しよう
その間に何人死ぬるかな
あ、死ぬるはこっちの方言だったごめん
つい出ちゃってサア
ずっとろくに寝ないで働き続けている
空いた時間は自分の遺品を整理している
僕が死んでもうずいぶん経つので記憶が薄れてきている
人の名前をとうとう一親等くらいまでしか覚えられなかった
ほとんど味噌と納豆を食べていた
彼はオープンカフェが好きだった、という墓碑銘は、もっと行っておきたかった
たなぁというような意味に過ぎない
身体は歯を外に押し出そうとする
子らの歯が浮くのはこのためだ
裏を表に表を裏に
民家なのに自販機置いてる
眠いですさんたまりあ
と象は言って寝ました
自営やフリーターにも援助が出るっていうけど現金くれるんだろうかファミレスで寝てはいけません
横になれたら死んでもいい
あ、わかったストロングゼロ6缶pとか現物支給だと思う
そう理に手紙書いてその配達をいちおく円で請け負おう
音楽はいつも向こう側を流れている
音楽は川ではなく川の向こう側を逆流している
川に釣り糸を垂れても音楽は作れない
作りに行く音楽は川で海の魚を釣り海で死んだ川魚を掬うようなものだ
コロナのせいでしばらく図書館車を止めるという電話が入った
棚の隅で古井由吉か白石一文フェアを設えようと思っていたのに、
そういうことです
と言われた
昔、里見弴やゴーチェの文体について話していた時に角谷が言った、
彫琢のある
という山口弁の言葉の響きがまだ残っている
粋な看守の計らいで
朝マルシェで見たけど東温でもビーツ栽培してるひとが居(を)るんやね
バンドマンは腰にも木綿のバンダナや絹のスカーフを身に付け羅紗の云々
代車?
おれは代車だったのか
@-
あなたなしで
@-
爆睡フライデー
3.11
空白空0フゲロ phygelus
ええ、固めで
薄味にしてください
あとは普通で
(古井由吉遺作を読んでいる)
空白空0ヘルモゲネ hermogene
はーい
(デマスに)ネギイチカタウスです
空白空0デマス demas
はいよ
(フゲロに)薄めでも飲み干したら世界は同じことだ
糸井批判は贖いを薄めるため、
道連れのライブハウス最終兵器彼氏はポアと同じ発想
老人死
見渡すかぎり
サガミハラ
2°Cか
思えばテロは文明であった
文明は恐竜のように滅び
ウィルスは虹運動の果てとしてヒトとの婚姻届を出せるようになる
権利が認められたのだ
前に同じことがあった
労働者から少数民族に移行した後家畜に目を向け最後は単一プランテーション批判に行き着いたエコロジーの、
更にその果ての死後のアルシーブとしてのレピと似ているのだ
その爬虫類顔への流れは、エデンの命名の逆を行った。存在よりも翻訳の方が大事なのだ。逆行の獣姦としてのコロナの顔にこそ反逆者の王冠があった
言語より翻訳の方が上に来るので似姿の失敗はコロナの顔に転写されてゆくのだ
ヒトは瀬戸の花嫁
ウィルスからウィルスへ
翻訳していくの
幼い弟
コロナと泣いた
オトコロナだあったら
ないたありせえずうに
父さん母さん大事にしてね
やだコロナ目がない
美女と野獣と思えばいいのよ
もうじき国が目を描き入れるわ
じゃあ行きますと答えるリベカ
夫は立ちション(誤訳)黙想しても感染しない唯一の希望の星だった
希望は絶望
絶望は希望
ウィルスのように増えたので
人間のように増えたのだ
能記所記
肺炎初期
裴氏とカイジ
分断熱38度線維持
はいはhigh
いいえはyeah
ハイヤー理不尽川
李夫人と裴氏
奇天烈コロナリ
モータウン
それは牛の町
ベーブ・ルース
コロナイン南港
裴氏の色やね
一旦バキューン
丹波牛
脳林水産大尽
カフカ保護
株価変身
コロナイダー
カローラコロナソアラの三人
おころのみ焼
なろうなろうコロなろう
あすは肺炎の気になろう
おんころな人は肺を受け継ぐでしょう
おところんところんな
公論な
「殺な」糸井貫二
ころならまんせい
コンコンハクション
コロナロー
コロナあ、と@-
ヨーヨーマ
芙蓉蟹
厚労省
コーロー麺
(いや紅楼夢、かな)
オペラナブッコロナ
神戸のお菓子と言えばコロナンバン
餡ころくださいな
ナンコロ?
6個な
炭火?
コンロな
ころなずむ黄昏
こころなはずむビギン
二人でつつくコロ鍋
絶対出てくるコロナート
放射能:人命保護
テロ:文明保護
コロナ:人類保護
の三層のパイ生地
増えることは減ること
減ることは増えること
うれしいことはかなしいこと
かなしいことはうれしいこと
生きることは死ぬこと
死ぬことは生きること
見えないものは見えるもの
見えるものは見えないもの
昔はトリチウムがそうだった
今はコロナだ
トリチウムは生き物ではない
コロナはばくてりあでちゃんとした生き物だからきみとも結婚できる
セリーヌがまんまと医者になれた論文「ゼンメルヴァイスの生涯と業績」は
手を洗うという行為が見えないものと結びついているという布教に終始しているが
見えないものに対する感受性こそが作家の資質であり
それがフィリピンパブに拡散しに行くことにも繋がっていくのだという怖ろしさを
セリーヌ自身は免れているという仕掛けになっている
聖セリーヌ全集は真っ白な装丁にすべきであった
フィリピンパブに話を戻すが
崖っ淵の豚の群れ以来の道連れの自棄は
サガミハラを経て
拡散の自暴となって目に見えるようになった
何回も繰り返すがこれはポアであり
無意識の陰謀論的人口削減願望のユング的現われであると言える
芸術の優先順位はそのダークサイドに直面しつつも、ピラトの手の洗い方ではなく、セリーヌの白さを持たなければならない
管は避け弦かデジタルにする
マスクして戸は開ける
アルコールがないなら焼酎を噴霧し続ける
急に1℃になった
手にハンマーを持て
という歌がかかっているが
コロナの魂がひとつ
飢えた虎に身を差し出す
きみも死んジャイナ節
全米が死んだ
鎖国して触る鎖骨
骨粗鬆和尚
射殺せよと呼ぶ声が聞こえ
バグワンが沢庵をバクバク
唇にチック
目頭2:50
PayPayペンペン草
一遍遍上人
ふだんはさえない少年・石野あらし。だが、ひとたびゲーム機に向かうとき、その才能が目を覚ます!!
ホケキョと啼いて踵を返す死んだ女房の近視顔
風邪っぽい
栄光
軽んじる
くさみどり
000あるくまね
菜の花はリングの中
眠いのでダンスの軸足がふらつくが
アトリエの埃だと思って光を浴びる、
シーク教徒のターバン
ああ
あなたなしで
ああ