広瀬 勉
1602 : 201012 16:50 東京・杉並 阿佐谷南
#photograph #photographer #concrete block wall
こかずとんは知ることとなった
世界には果てというものがあることを
ずりずり
ずり
ハイ
回る
まだ体を腕で持ち上げられてない
腕ずりずり
足ずりずり
ハイハイまでいかないけど
オムツ入れの箱を壁に見立てての不断のトレーニングが実を結び
コミヤミヤもこかずとんも
ずりハイずりハイずりハイ回り
お昼寝マットを横断横断
広い、広いなあ
今までこんなに広いトコに寝てたのか
泣き声あげてかずとんパパが抱き上げてくれるまで
ずっと天井だけ見て寝てたのか
頭ぐっと持ち上げれば
見よ
眼下には白いふかふかが広がってる
やる気十分のコミヤミヤ
生まれたてのイモムシみたいに元気いっぱい
ずりハイずりハイずりハイ回る
ふかふかにめり込みつつ手足動かせば
おおっ、体が前に進んでく
今まで体と言えば
ぺたっとマットに張りついてるようなもんだった
体が体じゃないみたい
ふっくら顔にっこにこイモムシのコミヤミヤ
ずりずり
ずり
ハイ
ここで悲劇が勃発
コミヤミヤに刺激されたこかずとん
負けじとずりハイずりハイずりハイ回って
白いふかふかかき分けて
進んで進んで進んだ先
突如落っこちた!
たかーい崖から
あらあら、こかずとん
お昼寝マットの外へはみ出てしまったんだ
お昼寝マットの厚さは4センチに満たない
それでもこかずとんにとっては
たかーい崖と同じ
どうやったって這い上がれない
ッギュイエーン、ギュヨェーン
大変大変、すぐ抱き起して
よしよし
広い広いと思っていた世界には
たかーいたかーい崖があった
そこが世界の果てだったー
腕の中で
ようやく涙が収まったこかずとんは
そんな風に感じているだろうね
でもね、こかずとん
お昼寝マットの外にも
世界は果てしなく広がってるんだよ
いつかはわかっても
今は絶対わからない真実
こかずとんが噛みしめている崖の高さを
抱っこしながらかずとんパパも
一緒に噛みしめてあげるよ
何かの間違いだろう
オレの骨壷を母が抱いて
こんなんなっちゃってと涙ぐんでいる
それを見ているオレも泣けてくるが
元気そうな母を見て一安心する
箱の中の確かなカサカサ音
母はまあしょうないたいと呟いて
掃き掃除
どうも生きている心地なく
母に聞いてみたいけど
すでに姿なく
しょうなく箱に戻る
どう言えばいいのか
座間でFENを聴く
うまく聞き取れないことをいいことに
虐殺を命じている
喜んで応じるから
体をなんとかしてほしい
※ フランス語にしてみた
Ce doit être une erreur.
Ma mère serre mon urne funéraire dans ses bras
en murmurant, les larmes aux yeux :
« Mon fils est devenu comme ça, finalement. »
Moi aussi, je pleure en la regardant,
mais je me rassure
de la voir en bonne santé.
Un son sec et certain
vient de la boîte.
Ma mère soupire :
« Bah, on n’y peut rien. C’est la vie. »,
et balaie le sol.
Je ne me sens pas vraiment vivant.
J’aimerais lui demander,
mais elle n’est déjà plus là.
À contre cœur, je retourne dans la boîte.
Je ne sais comment le dire.
À Zama, j’écoute FEN.
Je fais semblant de ne pas comprendre,
quelqu’un y ordonne un massacre.
Je réponds avec joie,
alors, s’il vous plaît —
rendez-moi mon corps.