私鉄

 

廿楽順治

 
 

夢には
京成線しかでてこない

いくところがもう決まっているからだ
雨がふっていて

駅から
高速道路の下をくぐりぬける

さびしい商店街の奥に
食堂がある

そこでだれかと酒をのむ
「生きていたころと何もかわりない」

そう話すひとは「わたし」らしい
京成線は音がしないので

朝までのんでいても
じぶんからはけして目がさめない

「駅なんて
おれたちにあったかなあ」

その会話も
(二回目だ)
死んでいたころと何もかわらない

 

 

 

西暦2024年8月18日の夜から19日の朝にみた夢

 

佐々木 眞

 
 

巴里の3つ星レストランへ行ったら、爺のくせに若者の顔をしたアラン・ドロンが、レストランじゅうにつるしたイカめがけてライフル銃を撃ちまくっているのだが、こいつが百発百中なので、店長もボーイも「イカス、イカス、イカス、セ・レ・レガンス・ド・ロム・モデルヌゥ」とフランス国歌のように歌いながら拍手喝采している。

 

 

 

liaison officer

 

工藤冬里

 
 

二つしかないゆえに
行き来する

行き来することそのものに意味はない

二つしかないということが重要なのだ

どちらに属するかを曖昧にするために
行き来の運動がクローズアップされているが

行き来はそのままに分かれ目を通過し続けて

失うのだ

 

 

#poetry #rock musician