北千住で
会津田島行きの列車に乗った
列車から
青空に白い雲が浮かんでいるのをみた
白い雲はそこにあった
白い雲はいつまでもそこにあった
ぼたるさんの墓石には
薔薇と秋桜の花が彫られていた
ぼたるさんの花が薔薇で
わたしの花は秋桜と奥さんは笑っていった
北千住で
会津田島行きの列車に乗った
列車から
青空に白い雲が浮かんでいるのをみた
白い雲はそこにあった
白い雲はいつまでもそこにあった
ぼたるさんの墓石には
薔薇と秋桜の花が彫られていた
ぼたるさんの花が薔薇で
わたしの花は秋桜と奥さんは笑っていった
部屋の机の上には
がらくたがあります
若いころ長崎で買ったキリストの陶製の置物
アフリカ展で買った石の魚の彫物
温泉の射的の的だった裸婦の人形
セメントの地蔵
子どもが公園でひろってきた石ころ
がらくたは
机の上で見ていました
わたしも見ていました
あまり
なかったな
あまり
考えていなかったな
波が
あれほどの大きさになるとは
ヒトビトが
あれほどの大きな波に流されるとは
原子炉が
あれほどの大きな波をかぶり爆発するとは
わたしたちのサイズを超えるものを
わたしたちのサイズを超えるものを
休日には
波を見ています
休日には
いつも波を見ています
いつまでも
打ちよせる波を見ています
荒れた日も
凪いだ日もそこにいます
そこに
ヒトビトはいます
ヒトビトのまぼろしはいます
ぼたるさんもいます
手を振りました
手を振っていました
何も言えませんでした
何も言いませんでした
荒井くんから
ラ・モンテ・ヤングを借りた
最近はラ・モンテ・ヤングを聴いている
よく調整されたピアノで
直線を描きそれを
辿れ
火をおこせ
蝶をはなて
他者の悲しみの
むこうに
ラ・モンテ・ヤングを聴いている
ラ・モンテ・ヤングを聴いている
港の空色の水面のしたに
テトラポットの崩れて沈んでいるのをみた
確かに
今朝
崩れて
水の底に折れた手を伸ばしていた
かつて
浴室で鰐も見た
推測できない
推測できない
わたしでないものの境界は水底にあるだろう
大風のあとに
テトラポットは崩れていた
深夜に
グールドを聴いている
バッハの協奏曲ニ短調BWV974
第2楽章アダージョを
グールドが呻いてます
グールドは微かに呻いています
渇きがありました
渇きはありました
浜辺を
歩きました
夕方にモコと浜辺を歩きました
夕方の浜辺をモコと歩きました
あのおじさんと
あわないな
あの白髭の漁師のおじさんと
最近あわない
海浜公園の岸壁から
のべ竿に糸をたらして
手づくりの浮きでメジナを釣ってた
わざわざ単純な仕掛けにして
ねらってた
楽しみは純化すると透明になる
透明なつりびとになる
かもめや
千鳥
磯ヒヨドリの
声を聴いたことあるかい
ハクセキレイと話したことあるかい
あれはズキンときた
ズキンズキンときた
野生だね
野生の声だね
野生の世界にはね
いるね
たしかにいるね
ズキンとね
ズキンズキンとね
ヒタヒタヒタヒタとね