鈴木志郎康
詩人のさとう三千魚さんに誘われて
三千魚blog「浜風文庫」に詩を書くことになっちまってさ、
テーマはいきなり東京都知事選だ!
あたしの一票は死票になっちゃたんだよね。
ってやんでぃ!
この人と思う候補者がいなくてね、
正直言って、結局、消去法で投票しちゃんだよね。
ってやんでぃ!
二月九日の四十五年振りの大雪の雪道を
雪掻きシャベルを抱えて、
電動車椅子を運転して投票所に行ったのよ。
自動車の轍の跡を辿って走らせたんだけど、
盛り上がった雪につっこんじゃってさ、
麻理が雪掻きシャベルで掻き分けて進んだ
という、
あたしにとっちゃ、
前代未聞の投票行動だったのね。
権力者丸出し顔のあの人が当選して欲しくなかった、
ってことです。
ってやんでぃ!
脱原発じゃんか。
車椅子専用の記入所で
候補者の名前を書いたのですが、
なんか手がうまく動かなくなりまして、
小学生のガチガチの書き字になちゃった。
他人の名前を書くのって
うまく行かないもんです。
ってやんでぃ!
そもそも
消去法で選んじゃったのは、
この人って人がいなかったってこと。
友だちになってもいいやって人がいなかったのね。
ってやんでぃ!
こころん中で、
この選挙は、
単に都知事を選ぶっていうだけじゃなくて、
権力者のあり方の地層ってのが、うーん、
民主主義を多数決で踏みつぶす全体主義の足取りの始めじゃねえか、
とか
個人主義を歴史意識で縛り上げる国家主義が誇らしく腕組みしてるんじゃねえか、
とか
って思えちゃってね、いや、まあ、詩人さん、先走るなよ。
都知事選は現実よ、ゲン、ジ、ツ。
ってやんでぃ!
いやー、思った通りで、
暮らしの安泰が第一ね。
世間様は怖い。
いやいや、わたしの子どものころにゃー
国の安泰ってことで、
鬼畜米英、撃ちてし止まむって、
世間様はみんな同じ顔して、 白い割烹着とカーキ色の国民服で、
万歳しちゃっていたじゃん、
ってやんでぃ!
古くさい体験の繰り言は止めにしな。
時間は止まっちゃくれないよ。
さあさあ
東京の200万の世間様を
お迎えするのは全く違う夢舞台ってところじゃん、
お父さんお母さんおじさんおばさんお兄さんお姉さん
取り戻された國の輝く世界一の東京とやらで
おもてなしの絆で結ばれた手を合わせ
どんな五輪ダンスを踊るのやら、
マスコミに揺さぶられた詩人の杞憂の妄想ってやつですよ。
ってやんでぃ!
逃げるなよ
っと言ってもですね、
あたしゃ車椅子の十年持つかっての身の上ですよ。
ってやんでぃ!
言い訳みたくなっちゃった。
これじゃ駄目じゃん。