「はなとゆめ」14 生きる

 

 

悲しみに堪えられないならば

夕暮れに
浜辺にたってみてはどうでしょうか

悲しみは人称を失いました

人称は
失いました

だから
マリア・ユーディナを聴いています

だからマリア・ユーディナの平均律クラヴィーア曲集 第1巻22番を聴いています

西の
山に

日は沈みましたか

青緑の西の山に日は沈みましたか

夕暮れに
燕は

空を
飛んでいますか

悲しみは何処にいきますか
失った悲しみは何処にいきますか

浜辺に佇ち尽くすばかりです
わたしは浜辺に佇ち尽くすばかりです

燕は首をひねりながら鳴きます
燕は電線にとまって首をひねりながら鳴きます

燕たちは夕暮れに子どもたちのために忙しく空を飛んでいます

 

 

 

※この作品は以前「句楽詩区」で発表した作品の改訂版です。