旅館バス

 

サトミ セキ

 
 

楽しいパーティーは終わった。見知らぬ七歳の少年、四歳の女の子の兄妹を人気の無い暗いバス停に送ってゆく。小さなバス停のそばに古い木の電信柱が立っていた。わたしがホストなのかもしれなかった。
誰も乗っていないバスがやってきた。窓越しの彼らに手を振ったとたん、真夜中の街角という街角から人が湧いて、バスは次第に大きく膨らんでゆく。柔らかいバスは人混みの中でまだ出発できない。
バス会社の人なのか、腰までヒゲを垂らした中年女が「あの人たちにギブ⚫️△◯◯Xをしてください」とマイクを片手に言う。三年前に死んだはずの夫はさっと立ち上がり、彼らの元へ駆け寄った。「ギブなんとかって何」というわたしの問いにも答えず、夫はだれかれかまわず惜しみなくハグしている。わたしがギブ⚫️△◯◯Xをしないからなのだろうか、まだバスは出発しない。
子供はどうしているかしら。狭いバス、のはずだった。ステップを上がると入り口で履物を脱がされた。バスの中には廊下が通り、両側が共同部屋、部屋の入り口には木目が黒光りしている。引き戸はあるわ、布団はあるわ。
そうだ、わたしは旅館バスに乗っていたのだ。四歳の女の子をぎゅっと抱きしめると、「今どこ」と長い睫をぱっちり開いた。半分寝かけた子供の匂いが、オレンジの花の匂いになった。
「起きたらおうちに着いてるからね」北極地方の子守唄を歌ってやると、あっと言う間にかわいく寝入った。しめしめ、わたしも寝るよ。わたしの布団の半分をひきよせ夫が寝ようとしたから、「ちょっと、布団が寒い」と口尖らせると、夫は「わかったよぅ」と素直に姿を消した。
七歳の男の子はちょっと見ぬ間に西洋梨か蟹に変身していた。西洋梨のようなころんとしたからだに頭と二本爪がついて、にこにこ笑いながら甲高い声で話すのだった。再びあらわれた夫は、「俺は子供に好かれるもんね」と自信たっぷりに男の子と話し、ついでに男の子が寝ていた布団で寝始める。
蟹少年はカサカサ音を立てながら、妹の顔に横歩きで近づいていった。妹が「いやーん」と固い甲殻類の感触をいやがったので、「人がいやがることはやめなさいね」とわたしは説教してみた。蟹は自分の足をぱっくり分解して、廊下の入り口に巨大な鍵のように置いたりしている。
いったいバスはもうどの国まで行ったろう。引き戸を開いてバスの外に出ると、既視感ある小さなバス停が目の前にしんとあり、電信柱の上で、白く夜が開け始める。人も車も通らない広々とした暁の大通りで、運転手はのんびりと煙草を吸っていた。
「バスを出すのはヤダね」
「このバスはどこへ行くの」
「はあ、あんたは生徒に人気あるロダン先生だね」
「ロダン先生ってだれ」
「いったい、どこへ行きたいのさ」
我が身を見下ろすと彫刻用作業着の白衣を着ていて、わたしは美術教師らしかった。みんなが眠るバスに戻ろうとして、さっきバスから下りた時までは見慣れた広場の角だったのに、今は紅い髪と碧眼の人々が行き交う地下鉄構内を歩いている。足早に追い越した見覚えのある運転手に、あ、ちょっと、と呼びかけたら、地下鉄の中は靴の陳列室になった。
先が昆虫の触覚のように尖った長い靴。足を入れることができず、上に足を置くだけの靴。面白いから履いてみようか、と思うけれども透明な鍵付きケースの中に入っており、試着できない。中南米から来た足首がついたサボがごろりと無造作にころがっている。
聞き覚えのない子供たちの声に呼ばれる。ロダン先生と呼びかけられたのではないかと思い、はあい、と返事をしてわたしは後ろを振り向いた。

 

 

 

いと、はじまりの

 

薦田 愛

 
 

一九六六年、昭和なら四十一年ごろのこと。
埼玉県川口市
つまり
キューポラの町のはずれ
ふたつの川にはさまれた工場街の一角の
三階建て集合住宅
社宅へ越してなんかげつ
推定四歳半の女児すなわち
わたくし

あおいにおいたたみのうえ
よこずわりにすわって
ほそくとがった
これは
つまようじ
とがってないほうにぎざぎざ
そこに
きゅっとするんだ
むすぶ
白いのやぴんくきいろいのも
りょうてをひろげたよりもっと
ながいほそいそれ
しつけいとっていうのよって
まま、の
てのなかにあるたば
まま
まま、に
ちょうだいといった
「まま、ちょうだい」と

ぺらっとうらっかえせば
まっしろの
ちらしっていうのを
ぬうの
ぬののかわり
ぬうのは、ね
まま、のまね
ままは、ね
ようさいし

あぶないからさわっちゃだめって
ままは
とがってほそぉいぎんいろの
はり、をいっぽん
ふえるとのはりやまからぬくと
あたまのところ
めがひとつ、じゃなくて
ちいちゃくあいた
あな
あなへとおす
いと、を
ななめにきって
くちにくわえて
しとっとさせてきゅるん
ねじってほそらせる
ほぉらほそぉくなったいとのさきが
すいっ
すいっとちいちゃな
とんねるをいま
とおってく
それは
ままのまじっく

つつっとはしるみたい
はり
まっすぐ
それにまぁるく
くれよんみたいな
ちゃこでかいたみちも
めじるしやもようのないところも
ぬののおもてうら
くぐってはおりかえし
すすんではもどり
はりのねもとにきゅきゅっとまきつけ
ふしにするんだ
かたくかたぁく

そんな
ままのまね

しつけ糸と爪楊枝と折込みチラシ
糸と針と布地の代わり
これとこれ、ともたらされたのではなく
こんなふうにと教えられたのではなく
推定四歳半の女児が
どうしてだかたどりついた
ままごと

ままごとのむこう
ままは

いたのまにみしん
ぐんぐんふみこむぺだるの
いったりきたり
みるみるおりてくるぬの? きじ? その
かたっぽうのはじがくるっ
くるるっとたたまれ
しつけいとじゃない
もっともっとずっとあっちまで
おわらないいとで
みしんのうえぎゅるんとゆれる
いとまきにまかれた
いとで
ぬっていく
ぬう
まっすぐまぁっすぐ
ままのまじっく
それは

編むよりも織るよりも
縫うことの好きな女の子
それはわたくしではなく
まますなわちわが母
一九五〇年、昭和でいえば二十五年ごろのこと。
たぶん
香川県観音寺
それとも善通寺
海にちかいちいさな町の中学生は
日曜日
お弁当を提げて先生の家へ行く
ミシンを借りに
まあたらしい生地なんかじゃない
ふるい浴衣をほどいて洗って裁ちあとをつないだ布に
折りしわ残る紙でつくった型紙をあて
ブラウスの前身頃、後ろ身頃
襟に袖

それが最初のいちまい?
ままの
ううん
かぶりをふる母
もっとまえよ
小学生の時から
ぬってた
ブラウスだけじゃなく
スカートも?
ワンピースも?
授業じゃなくてね
好きだったし得意だったから

おさいほう好きなんでしょ
よかったらいらっしゃいって
うれしかった
どきどきしながら
次の日曜日もでかけた
どうぞっていわれたろうか
たたきに靴をぬいだとき
うつむいて
ひきむすんでいた口からふうっと息がもれた
きっと
日の傾くまでいっしんにミシンをふむ
おさげの中学生
洋裁師への道はもう始まっていた

本科師範科デザイン科
三年行ったんだってね
これが出てきたのよって母は
ある日
洋裁学校の修了書を広げる
デザイン画は苦手って前に言ってたね
型紙は起こすけどやっぱり
デザインするより縫うのが好き
だから
もくもくと縫えればよかった
子どものスカートや
社宅の奥さんたちのワンピース
時どき町なかの洋裁品店だったか
工賃表を買ってたしかめてたね
スカートいくら ワンピースいくら婦人物コートいくらと
示されたリスト
それより少なくしかもらわなかった
十年二十年着ても傷まない
出来栄えもあたりまえという矜持を
そっと縫い込み

まま、ママ、
ミシンの糸って二本、針も二本なんだね
家庭科の課題はついに一度も手伝ってもらわなかったけど
それはあなたに似て器用だったからではない
それでよかった
家にミシンがあるから
ボビンの入れ方はすんなりわかったよ
でも
迷いのない速さですすむ
まま、ママの縫い方には追いつかない
洋裁師にはかなわないよ
娘は縫うことをつづけなかった

二本の糸
二本の針が行き交って縫いあげてゆく
からだをつつむもの
ものをいれるふくろ
自分のと娘のと
二着のウェディングドレスを縫った
ふくれ織の白
裾を引く長さの一着を縫いあげた四畳半で
父は細身の母をかかえて声をあげた
ぼくの花嫁さん、と(*)
針は折れ糸は尽き
父はいなくなっても
縫いつづけた母
けれど
夕方になると黒っぽいものは見えにくくてねと
わらって手を止めた
六十歳少し前のことだったか。
たぶん

そして傘寿の春
この春
浴槽の上で乾かされていた
いちまいの布
水を通した生地、スカートを縫うのだと
久しぶりに型紙を取ったときくうれしさ
洋裁師だもの
自分の身は好みのかたち好みの色好みの風合いでつつむ
まま、ママ、そうだね、そうだよ
それがわが母

おっくうでね
型紙起こすのもね
でも、起こしたんでしょと問う娘には
計り知れない何か
暮れる春
立ち上がる夏
思ったよりかたくってねという生地はまだ
母の身体をつつまないまま

 

 

*昭和三十五年の五月のある日、二月から一緒に住むようになった日吉のアパートの四畳半で、わたしは自分のウェディングドレスを縫っていました。質素なものでした。いなかでの結婚式を目前に、それが仕上がったとき、あなたは早く着せたがりました。
気取って、ミシンの椅子の上に立ったわたしに、あなたは照れもせず無邪気に歓声をあげました。
「ワァー、ぼくの花嫁さん!」
いいながら、わたしを軽々と持ちあげて椅子からおろしました。*

空空空空空空空0*薦田英子『いのち ひたむきに』(一九八五年刊)終章「此岸より」

 

 

 

友と呼べる存在がいることの奇跡

 

みわ はるか

 

 

「あー元気だった??髪切ったよねー??」
「切った切ったー。そっちも切ったでしょー!」
こんな会話から久しぶりの大学の友人との食事が始まった。
社会人になって4年目。
こうして今でも定期的に会えることにふと感動することがある。
地元から近い大学を選んだことが正解だったと思える瞬間だ。
彼女とはもう8年目の付き合いになる。
彼女はすらりとした体型でスタイルがいい。
白いパンツスタイルがよく似合う。
わたしより少し背が高く、肩まで伸ばした黒髪に緩いパーマをあてている。
それがとってもよく似合っている。
化粧も気を抜くことなく細部まで完璧だ。
身に付けている時計や鞄も品がある。
美人だ。
でもどこかふんわり抜けている部分があって、男性は放っておかないだろう。
わたしのつまらないだろう話や愚痴もいつもきちんと最後まで聞いてくれる。
自慢の友人だ。

お互い20代も後半に突入して、もっぱら仕事の話と恋愛話で盛り上がる。
大学時代に思い描いていた社会とはどこか違う現実世界をなんとか受け入れ飲み込んでいる。
思い通りに進まない人生をお互い嘆き、ときに笑い飛ばす。
そうでもしないと何か見えない大きなものに吸い込まれてしまうから。
近い境遇に生きる者どうし共有し乗りきっていく。
ときにお酒の力を借りて。

SNSに投稿される写真や文面は幸せに満ちたものばかりだ。
本当はそうでない時間の方が長いにも関わらず。
そうでない部分を隠して、見つからないように振る舞う。
それはきっと誰もに備わる本能なんだと思う。
けれども、そうでない部分をわたしは彼女には打ち明けられる。
聞いてもらいたいと思える。
彼女はそんな友人のうちの一人だ。
頻繁には会えないけれどチャンスがあればスケジュールを調整する。
笑っている写真の中に写っている自分だけが本当の自分でないことを理解してくれる存在だから。

桜はあっという間に散ってしまったけれど、そのあとに残る深い緑の葉はどこか頼もしい。
力強く幹にくっついている。
これからまた暑い暑い夏がやってくる。
そのころにでもまた会えたらいいなともくろんでいる。

 

 

 

友と呼べる存在がいることの奇跡

 

みわ はるか

 
 

「あー元気だった??髪切ったよねー??」
「切った切ったー。そっちも切ったでしょー!」
こんな会話から久しぶりの大学の友人との食事が始まった。
社会人になって4年目。
こうして今でも定期的に会えることにふと感動することがある。
地元から近い大学を選んだことが正解だったと思える瞬間だ。
彼女とはもう8年目の付き合いになる。
彼女はすらりとした体型でスタイルがいい。
白いパンツスタイルがよく似合う。
わたしより少し背が高く、肩まで伸ばした黒髪に緩いパーマをあてている。
それがとってもよく似合っている。
化粧も気を抜くことなく細部まで完璧だ。
身に付けている時計や鞄も品がある。
美人だ。
でもどこかふんわり抜けている部分があって、男性は放っておかないだろう。
わたしのつまらないだろう話や愚痴もいつもきちんと最後まで聞いてくれる。
自慢の友人だ。

お互い20代も後半に突入して、もっぱら仕事の話と恋愛話で盛り上がる。
大学時代に思い描いていた社会とはどこか違う現実世界をなんとか受け入れ飲み込んでいる。
思い通りに進まない人生をお互い嘆き、ときに笑い飛ばす。
そうでもしないと何か見えない大きなものに吸い込まれてしまうから。
近い境遇に生きる者どうし共有し乗りきっていく。
ときにお酒の力を借りて。

SNSに投稿される写真や文面は幸せに満ちたものばかりだ。
本当はそうでない時間の方が長いにも関わらず。
そうでない部分を隠して、見つからないように振る舞う。
それはきっと誰もに備わる本能なんだと思う。
けれども、そうでない部分をわたしは彼女には打ち明けられる。
聞いてもらいたいと思える。
彼女はそんな友人のうちの一人だ。
頻繁には会えないけれどチャンスがあればスケジュールを調整する。
笑っている写真の中に写っている自分だけが本当の自分でないことを理解してくれる存在だから。

桜はあっという間に散ってしまったけれど、そのあとに残る深い緑の葉はどこか頼もしい。
力強く幹にくっついている。
これからまた暑い暑い夏がやってくる。
そのころにでもまた会えたらいいなともくろんでいる。

 

 

 

mountain 山

 

おはよ
燕たちは

チキチキと鳴いて

障子を開けると
西の山が青く連なっている

昨日
海辺のプールから

鳶や燕たちの
飛ぶのを見ていた

空があり
空の向こうに空があった

もう
庭の白木蓮の花も

君子蘭も
散ってしまった

青葉が繁っている

 

 

 

蛙の卵管、もしくはたくさんの目について……

 

長田典子

 
 

frog’s fallopian tubes(蛙の卵管)
フェイスブックに
唐突にポストされた言葉を掬い取る
初めてのエイ語の詩は
タイトルから始まった

You know? Frog’s eggs are eyes.
(知ってる?蛙の卵は目)

Eggs are always looking at you in the water.
(卵はいつも水の中からあなたを見てる)

そうだった
幼い頃
田圃の隅に
とぐろを巻く透明な卵塊をよく見た
無数の黒い目を見かけるたびに
ものすごく恐ろしかった

エイ語に四苦八苦して
内容は単純そのもの
卵から孵った蛙の兄弟たちがみな水から出ていき
自分は干からびて空に行く
やがて空で兄弟たちと再会し
春に再びfrog’s fallopian tubeから生まれ出るというお話
循環するお話

きょう
Creative Writingの授業で
マーク先生は
とてもよい詩だ、と褒めた後で
実はまったくわからないのだ
輪廻転生ということが……
キリスト教では
死は完全に終わってしまうことだから
穏やかに微笑みながら言った

I understand you but I believe reincarnation because I’m affected by Buddhism.

(わかります。でも、わたしは仏教の影響を受けており生まれ変わりを信じています)
Really? 自分に問い返す

ギンザの
マンションの一室で
占い師から前世の話を聞いたのだった
若い人のようにてきぱき仕事ができなくなって
屈辱感にまみれていた
朝まで眠れない夜が続き
その女性に会いに行ったのだった

You know? At last the water vanished away…vanished away……

(知ってる?とうとう水は無くなった…無くなってしまった……)
You know? I also vanished away.
(知ってる?わたしも無くなってしまった)

最後はニューヨークで学校の先生をしていました
突然、アパートの窓から
つまらなそうに窓の外を見る女性の姿が頭に浮かんだ
ニューヨークに行った方がいいですよ
たくさんの友達に会えます

前世って
本当にあったら楽しい
信じてみたい
自分はアメリカにいた
ニューヨークで生きていた
そう思うと愉快になって気分が明るんだ

ニューヨークに行く計画に

「よくできました」のスタンプをもらった気分だった
その夜は朝までぐっすり眠った

Really? 自分に問い返す

You know? I also vanished away.
(知ってる?わたしも無くなってしまった)
But I became free. Yes. I’m free.)
(でも自由になった わたしは自由だ)

マーク先生はよく言う
自分はエジプト人とポーランド人とアメリカ人の
血が混じってると
誇らしげに

田圃で蛙の卵塊を見かけるたびに走って家に帰った
あの頃
急な坂道を登って山の上の町に行き
そこをさらに横切って東に歩いて
教会のある幼稚園に通った
礼拝の日は入口で神父様の前でひざまづき
パンを口に入れてもらったのだ

マーク先生
I’m sure you notice it.
(あなたは気が付いている)

100キロ以上はある巨体をジャンプさせながら
物語や英単語の説明をするマーク先生
とても尊敬しています
エジプト人とポーランド人とアメリカ人の血が混じっているあなたも
たくさんの目については知っていると思います

By the way, why did you choose “frog’s tube”?

(ところで、なぜあなたは「蛙の卵管」を選んだのですか)
I found the word on the Internet by chance and had inspiration.
(インターネットでこの言葉を偶然に見つけてひらめいたんです)

宇宙はたくさんの捻じれ絡まった蛙の卵塊みたいなものではないでしょうか
I think the universe is a lot of frogspawn which is twisted, entangled.

教会の幼稚園の床にひざまづいて
わたしは毎朝毎昼毎夕祈りました胸で十字を切りました
「天にましますわれらの父よみなのとうとまれんことを
みくにのきたらんことを……アーメン」
幼稚園に行かない朝は
お仏壇にお線香をあげて拝みました
「きょうも一日よろしくお願いします」

This world is composed of a lot of chaos.

(この世はたくさんのカオスで構成されています)
That’s why I imaged frogspawn from its fallopian tube.
(それで、蛙の卵管から卵塊をイメージしました)

That’s a Chinese dessert ingredient!
(それはチュウゴクのデザートの食材だよ)

教室中にどっと笑いが起こった
チュウゴク人もフランス人もカンコク人もイタリア人もニホン人も
みんな笑った
教室が渦になった

You know?
We are moving in the water together.
We are laughing with each other
We begin to swim laughing, laughing, laughing….

(知ってる?
わたしたちは一緒に水の中に出て行った
わたしたちはお互いに笑い合っている
私たちは泳ぎ始める笑いながら笑いながら笑いながら……)

Let’s go to China town tomorrow!
(明日はチャイナタウンに行こう)
frog’s fallopian tubesを食べるのだ

わたしは
たくさんの目も
いっしょに
食べてしまおうと思っています