俺っち、三年続けで詩集を出すっすっす。

 

鈴木志郎康

 
 

俺っち、
ここに三年続けて、
詩集を出すっちゃ。
八十を過ぎても、
いっぱい
詩が書けたっちゃ。
俺っち
嬉しいっちゃ。
ウォッ、ホッホ、
ホッ、ホッ。

詩集って、
詩が印刷された
紙の束だっちゃ。
書物だっちゃ、
物だっちゃ。
物体だっちゃ。
欲望を掻き立てるっちゃ。
自分が書いた詩が
物になるっちゃ。
空気の振動が立ち昇ってくる
物体になるってっこっちゃ。
手に取ると、
グッとくる。
ヤッタアとくる。
ああ、その達成感が、
堪らないっちゃ。
ウォッ、ホッホ、
ホッ、ホッ。

この詩集ちう物体は、
人の手に渡るっちゃ。
肝心要のこっちゃ。
詩を書いたご当人が
詩人と呼ばれる、
世の中の
主人公になるってこっちゃ。
ところがどっこい、
世の中の人は、
ヒーローとは認めてくれないっちゃ。
せいぜい、
認めてくれるのは
知人か友人か家族だけっちゃ。
それでも、
いいっちゃ。
この世に、
言葉が立ち昇る、
詩集ちう物体を、
残せるっちゃ。
この世には、
物体だけが、
残るっちゃ。
ウォッ、ホッホ、
ホッホ、ホッホ。