萩原健次郎
外貌。異邦。除外されたものという眼があって、それを大切にしている。
だから、なぜ京都の天皇の別荘である離宮のそばに住んでいるのか、
その事実に弾かれている。
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弾かれている心地とは、自由度が試されているひとつの位置だと感じている。
どのように寂しがっていても、カラスが一匹なんだか、手持無沙汰にまどろんでいても、
それに付き添うこともまったく勝手なのだ。
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紅花の裏側を覗く。裏側は表側と同じ明かな誇りの言葉を発している。
光りや色を求めているようで、そうした発想とは無縁で、そこで風に晒している。
ただ、形を。
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西からの斜光が、優しいと感ずる晩夏の微風の、
台風が迷妄してやってくるそんな予兆の、吹かれている誰彼の一人として
この橋の上から次の橋と前の橋を懐かしむ人でもある。
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ぽつぽつと雑草が咲いている。花をつけずに咲いている。
陽が刺している。それを草は、喜んでいる。風が強く吹いて、茎が折れそうになって陽が刺している。斜光に。
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誰かが住んでいる。おそらく誰かと住んでいる。そういう在り処がずっと連なっている。何十年、何百人、何千人。
そこに毎日毎日、西日の斜光が降っている。さいわいにも。
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見えているのに、その向こうへはまっすぐ歩いていけない。
歩いていこうとすると、水にはまり、石に躓き、ただ、身体じゅうが砕けていく。
夢の中では、いくらでもまっすぐ歩けるのに。
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外貌を撫でているにすぎないが、それでいい。眼で撫でるのはそんなに簡単ではない。
弾かれて、除外されているが故の、自由なおこない。批難されながらも撫でる、
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徒行。