山崎方代に捧げる歌 30

 

こおろぎが一匹部屋に住みついて昼さえ短いうたをかなでる

 

今朝

義兄は
この世にもどってきた

猫は
散歩にでかけていった

カタユキの雪原を渡っていった
鳥海山は白く佇っていた

仏壇の母にありがとうといった

さよならとも
いった

ひくく台所で呻いた
姉がだまって聴いてた