また旅だより 05

 

尾仲浩二

 
 

吉野は思いのほか遠く冬の陽はすぐに山の陰に隠れてしまった。
どこまで続くのか不安になりながら川沿いの長い商店街を歩く。
人どおりはなく店もほとんど閉まっている。
すっかり凍えてしまったし写真は暗くてもう写らない。
とっぷりと暮れた頃ようやく道は終わりになった。
急ぎ足で駅に戻ると一軒だけ食堂が開いていた。
鍋焼きうどんでビールの年の瀬。

2018年12月25日 奈良県吉野町にて