走ってきた
今朝も
川辺の柵にもたれて
ところどころ
やすんで
走ってきた
海辺の病院まできた
子どもの頃
夏に
川を流れていった
裸で
流れていった
顔が太陽に焼かれて
青空をみてた
流れていった
いつか
どこかに
行き着くだろう
海辺の病院は
義母が
入院していた
たくさんの老人たちが
ベッドの上にいた
呻いていた
ヒトは
いつか
行き着くだろう
昨日
この国の首相がニヤリと笑うのをテレビでみた
そこじゃないと思った
昼過ぎに
焼津の蕎麦屋で
よもぎ蕎麦を食べた
風が流れていった
蕎麦屋では
手ひねりの粘土細工を買った
くじらと
オットセイと
馬のつらだった
それから
紺染の綿の褌も買った
いつか
流れていこう
裸に
褌をして
流れていこう