雨になる朝に

 

君子蘭の花が濡れていた

濃いみどりの葉も
濡れて

ひかって

雨になる朝に

女は
働きにいった

ここにいる

この
おとこは

だれのものでもない

コトバを
さがしている

コトバのなかに
コトバでないものを

さがしてる

たぶんそこには
ないね

それは
外にある

コトバの外にある

雨になる朝に

君子蘭の
オレンジの

花が
濡れてた

濃いみどりの葉も濡れてた
ひかっていた

“沖縄”

“大阪”

“日本”

“自治”

“経済”

“成長”

コトバの外部に
人びとの

沈黙はある
雨になる

ヒトビトの沈黙を聴く
世界の沈黙を聴く

昨日

夕方に出かけていった
サックスソロを聴きにいった

そこには

小鳥がいて
呻いてた

呻きはコトバではない

小鳥は
佇っていた

よちよち

歩いて
いた

小鳥は空のむこうに渡っていった