観音
というのは
音を
観る
のだそうだ
工藤冬里は
音を飲めといった
目で飲むのだろう
子どもの
目玉の
白が
青い
みひらいていた
子どもは目玉で音を飲む
音を観る
ひかりを
忘れ去る
流れ去る
“as an alien among the aliens” *
異邦人の中の異邦人として
流れ去る
夏雲の
白く佇っていた
女は大皿のようにもみえた
* 工藤冬里 詩「an alien」からの引用
観音
というのは
音を
観る
のだそうだ
工藤冬里は
音を飲めといった
目で飲むのだろう
子どもの
目玉の
白が
青い
みひらいていた
子どもは目玉で音を飲む
音を観る
ひかりを
忘れ去る
流れ去る
“as an alien among the aliens” *
異邦人の中の異邦人として
流れ去る
夏雲の
白く佇っていた
女は大皿のようにもみえた
* 工藤冬里 詩「an alien」からの引用
5行程の丁寧な手紙をもらった。
肌触りがいい和紙に書かれていた。
きちんとした筆ペンで綴ってあった。
書くことが好きなので手紙を知人に渡すことはたまにあるけれど、もらうのはものすごく久しぶりだった。
人の手で書かれた文章がこんなにもきれいなんだと不思議な気持ちになった。
頬には意図していないのに一筋の涙がつたった。
瀬戸内海には無数の島がある。
今年はGWが10連休ということで友人と島に行くことにした。
友人は少し変わったところがあって、ずいぶん前から少しでも住人が住んでいない島を探していた。
しかし、住人が少ないということは民宿も少ないということなのでそれは大変な作業であったみたいだ。
なんとか宿をおさえたという島は人口はたったの7人。
必要な時に本島から島に人が来るような所。
民宿はたったの2つで、どちらも家族経営をしているようだった。
わたしたちが泊まったのは海の家を連想させるようなたたずまいで、トイレはボットンの和式だった。
年配の老夫婦が切り盛りしていて、休みの日には娘さん2人が本島から手伝いに来ていた。
人があまりいないので海や砂浜はとてつもなくきれいだった。
海はピカピカ光っていたし、魚が飛び跳ねる姿も散見された。
遠くの方では大きな船が行き来していた。
ジェットスキーで海を自由自在に動き回る若者やおじさんたちはとても楽しそうだった。
大きな貝殻もたくさんあった。
見るもの全てが新鮮だった。
夜ご飯は魚がメインで、お刺身も天麩羅も煮物も、どれをとってもとてつもなくおいしかった。
蚊が出てよく眠れなくて寝不足になったのは残念だったけれど、それはわたしにはたいしたことではなかった。
老夫婦のおじいさんが教えてくれた。
この民宿に今までで一番長く滞在したのは1ヶ月のアベック。
アベックという言葉を理解するのに少し時間がかかったけれど若い二人だったんだなと少しして想像できた。
両親に結婚を反対されてここに来たと言っていたそう。
そのアベック、どうしたんだろう、幸せに暮らしているといいなと思った。
報われないのはやっぱり悲しい。
友人は色んなところに歩いて散策に出かけていた。
人がいないことがこの上なくうれしそうだった。
サングラスをかけて、木の棒をもって、まるで東南アジアで見るような現地の人みたいだった。
食べて、飲んで、岩の上でぐうたら寝ていた。
ナマケモノにも見えた。
でも、とても気持ちよさそうだった。
なんだかわたしまで幸せな気分になった。
GWはあっという間にすぎてしまったけれど、その手紙は大学の卒業証書入れの裏に大切に保管することにした。
曲げないように、しわにならないように、大事に大事に。
言葉は素敵だ。
それをつなげた文章はもっと素敵だ。
心のこもった文章をどうもありがとう。