Still Alive On The Eighth Day

 

狩野雅之

 
 

「過去の真のイメージは、ちらりとしかあらわれぬ。一回かぎり、さっとひらめくイメージとしてしか、過去は捉えられない。認識を可能とする一瞬をのがしたら、もうおしまいなのだ」(野村修訳「歴史哲学テーゼ」)

 


On The First Day

 


On The Second Day

 


On The Third Day

 


On The Forth Day

 


On The Fifth Day

 


On The Sixth Day

 


On The Seventh Day

 

 

 

What’s your business here, Elijah? *

 

日曜には

投票にいった

投票率は
48%だった

半分以下の民意は
民意か

残りの民意はどこか

投票の

帰りは
ゆっくり歩いた

“世界は邪悪な者の配下にある”

“創が深くなりづづけている”
“創が深くなりづづけている”

午後には

街の画廊で
ちばえんさんの女の裸の絵を受け取った

帰りに

餃子を摘み
ビールを飲み

水曜文庫に寄った

そこで間宮緑さんに会った

間宮さん
きれいな瞳をしていた

間宮さん
静かだった

小説を書いているといった

選挙も
詩も

小説も

終わったところからはじまる

エリ、エリ、レマ、サバクタニ **

叫ぶ

そこから
はじまる

エリ、エリ、レマ、サバクタニ **
エリ、エリ、レマ、サバクタニ **

月曜の夜に

ここで
詩を書いている

 

*工藤冬里 詩「分断の詩学」からの引用
**マタイによる福音書第27章第46節より 「 Eli,Eli,la’ma sa-bach-tha’ni? 」

 

 

 

分断の詩学

 

工藤冬里

 
 

病んでいるのでトイレに籠っていた
雨粒の付いた髪の毛が揺れる
一度切られた桐もまた伸びた
でも水をかけられているのはバオバブの木
二十年で言葉も変わってしまった
選挙当日
二十年で言葉も変わってしまった
世界は邪悪な者の配下にあるので
議会制民主主義など役に立たない
電子機器に気を散らされ
選挙当日
不法の者を未分化のままにして
選挙当日
分断の詩学
選挙当日
柔らげる努力はした
切断面は衝上断層を見るようで
選挙当日
差異ではなく切断面の看板を眺める
「衝上断層」
断層をとくと眺める
中生代が新生代を衝き上げている
まだ進化を信じているような人に何を言っても無駄だ
選挙当日
人の棲まない場所になる
選挙当日
助六型のトヨタシエンタの目が増えた令和
小スプーン一杯の表面のDNAで全ての思い出は生きているから
順ちゃんにはまた会えるよ
目は少し小さくなってるだろうけど
歌集 標野は作ってあげたかったな
つぎつぎに声がする
クリミナルのひとりだ
選挙当日
子どもは大人とは全く違う別の動物だ
美学にしたのには訳がある
近づく人を信頼できなくなるんだろ
選挙当日
「全部おまえのせいだ」
選挙当日
「これは二人だけの秘密だよ」
選挙当日
「きみの言うことなんかだれも信じてくれないよ」
選挙当日
「好きだったらこういうことをするんだ」
選挙当日
幸福の扉が閉じられたと思ってたら
別の扉が開く
桐のように
選挙当日
またボーダーを着てるのか
選挙当日
温められた菓子にはグッときたと思います
(What’s your business here, Elijah?)
ボーダーを着たパゾリーニ組の座員
選挙当日
創が深くなりづづけている

 

 

 

ミロより優しく、ゴッホより激しく、ピカソより純真

 

佐々木 眞

 
 

ミロより優しく、ゴッホより激しく、ピカソより純真
私は、そんな絵を描く人たちを知っています。

それは、ミロさんよりおつむが弱くて、ゴッホさんより気が弱くて、ピカソさんより間違いなく貧しい人たち。

そのほとんどが、家族や親切な人たちの助けなしでは生きていけないような、世間のひとさまと争うことさえできない弱い弱い人たち。

まあこういってはなんですが、落ちこぼれのような人たちなんですが、
それでも
ミロより優しく、ゴッホより激しく、ピカソより純真
そんな絵を描く人たちなんですね。

ミロより優しく、ゴッホより激しく、ピカソより純真
そんな絵。そして、そんな人たち。
ああ、私にもそんな詩が書けたらいいのになあ。

 
 

 

 

last song ending

 

原田淳子

 
 

 

雨粒に光
暗闇はまぶしいって、はじめて知った

光の速さで
願いごとをかけるまもなく
雨は流れ星になった

与えられた問いは単純で
扉は開いてるはずなのに
ふくざつに絡みあってしまった鳥籠のなかで
雲の影がかたちをかえた

望んだものは与えられた
願いを投げたところとは違う角度から

おまえは自分の掌しかみえてないね
おまえの背中をみてごらんとでもいうように

生は死にぶらさがり
死は生にさかあがり

生まれてはじめてのことばをおもいだしている

誕生は月食

願いは純化して
雨粒が鳥籠を砕く

暗闇がまぶしい

 

 

 

あきれて物も言えない 02

 

ピコ・大東洋ミランドラ

 
 


作画 ピコ・大東洋ミランドラ画伯

 
 

海の日なのだ

 

今日は海の日だったのかな。

この港町にも、
参院選の宣伝カーが回ってくるようになった。

候補者の名前が連呼される声は、
やかましいが、今回はやかましいとは言えない場合なのかな。

参院選の争点は、Y!ニュースの88,045人が回答したアンケート結果を見ると、
1)経済政策 33.2% 2)社会保障 26.3% 3)憲法改正 17.8% 4)外交・安全保障 9.6% 5)働き方 2.5% 6)子育て 2.4% 7)原発・エネルギー 2.2%
となっています。

選挙民の関心は、直近の自己メリットということなのでしょうか?
各政党は選挙民の自己メリットに訴えてくるのでしょう。

優先するべき「働き方」や「子育て」、「原発問題」、「憲法」など人間の基本的な問題が後回しになっている。

そう言えば、「経済で勝つ!」というコピーのポスターが数年前の町々には貼られていた。
それでその政党は勝ったのだった。その政党の選挙参謀は人々の自己メリットへの傾斜を見据えていて勝利したのだったろう。

人々は直近の自己メリットを生きている。

さて、海の日なのだ。
海には、魚たちやフナムシたち、亀たち、海豚たち、鯨たち、カモメたち、海鳥たち、貝たち、ゴカイたち、などなどなどがいる。

今朝の「天声人語」には島崎藤村の詩「椰子の実」が引用されていた。
<名も知らぬ遠き島より/流れ寄る椰子の実一つ/故郷(ふるさと)の岸を離れて/汝(なれ)はそも波に幾月(いくつき)>

新聞には引用されていませんが、詩はやがて<我もまた渚を枕/孤身(ひとりみ)の/浮寝の旅ぞ>と藤村の心情が歌われる。

しかし最近は、椰子の実よりもプラスチックの洗剤容器、レジ袋、サンダル、ペットボトルなどが、浜辺には打ち寄せているのだろう。嵐の後などは浜辺にうずたかく堆積しています。
わが港町の浜辺だけじゃない。どこの浜辺でも似たようなものでしょう。

海は繋がってますからね、国を超えて繋がっている。

今朝の「天声人語」では、2050年には海に捨てられるプラスチックが世界中の魚の総重量を上回るという試算が述べられています。

海には、あまり自己メリットはないから、捨てちゃえ、ということでしょうか。
わが港町の突堤にも土曜、日曜にはたくさんの釣り人たちが集まります。
子どもを連れて釣りにきている若い夫婦もいます。
それで土日の休みが終わると突堤はゴミだらけになるんです。
そのゴミを常連の釣親爺たちが月曜日に片付けていたりしてるんですね。

わたしも以前は遊漁船に乗って釣りをしました。
それでコンビニ弁当やカップラーメンを食べたりしますと最後に船頭さんがゴミを集めて、
海にポイと捨てたりするのを見てしまうんです。

もう何も言えません。

たまたまわたしたちヒトに生まれちゃったのです。
ちょっとした遺伝子の組み合わせでヒトではなくわたしたちゴンズイやコノシロ、サヨリ、キュウセン、オジサンであったかもしれない。フナムシであったかもしれない。

一度、真夏の海に一人でボートで浮かんでいて、ウルメイワシの大群の上に浮かんでいたことがあります。

海がウルメイワシの背中で真っ黒になるんです。
サビキの仕掛けを海中に下ろすとウルメイワシはいくらでも釣れちゃうんです。
それでその海中をよく見ると無数のプランクトンが泳いでいるのです。
ウルメイワシの大群はそのプランクトンに集まっていたのでしょう。

海は生命のスープなのだと思ったのを覚えています。

 

作画解説 さとう三千魚

 

 

 

塀 180928, 181001.

 

広瀬 勉

 
 


25:180928 東京・杉並 阿佐谷南

 


26:181001 東京・杉並 阿佐谷北

 


27:181001 東京・杉並 阿佐谷北

 


28:181001 東京・杉並 本天沼

 


29:181001 東京・杉並 井草

 


30:181001 東京・杉並 井草

 


31:181001 東京・杉並 井草

 


32:181001 東京・練馬 南田中

 

 

 

どんな声色も眉もフィットしない雨の日の *

 

雨だね

雨の日には
君は

雨を見ているのかい

黙って地面に落ちて消える
雨は

消える

できれば
その唇のアヒル

やめて
ほしい

雨だね
jolie hollandを聴いてる

“愛からほど遠く” *
“ほど遠く” *

君は歌ってる
君は笑ってる

同情 共感 連帯 愛情

それらから
離れて

君は笑ってる
君は笑ってる
君は笑ってる
君は笑ってる
君は笑ってる

地上には貨幣が渦巻いている

君は

それらから
離れて

“革命からほど遠く” *

歌ってる
天に落ちていく

 

*工藤冬里 詩「The abuser」から引用