捕虜となった私

 

工藤冬里

 
 

凱旋の辱め
前列からの分断
同じ花でも
死の香り

線の細いピカチュウの描画が
ミスドの包み紙にコラボされているが
油はその線の中で完全な勝利を収めており
線の細さも油からその香りを引き剥がすことはできない

死刑執行を命ぜられた兵士は自殺する

油も線の細さも私を死から引き剥がすことができない
糾弾の雹は直径15.5センチ
部屋に
イカの甲(フネ)の凹みが現れ
3D画面に吸い込まれる
私は自分の舌をかみはじめた

それにしても贅沢な浪費!

 

 

 

また旅だより 16

 

尾仲浩二

 
 

釜山での写真展の休みに巨済という港町へ行った。コジェと発音する。
シーズンがはじまった牡蠣を焼酎と共にたっぷり楽しみ、腹ごなしの散歩。
港に面した公園には豊臣秀吉軍を迎え撃つ英雄たちの像があった。
韓国の友人と並んでその像を眺め、お互いに苦笑いをしていた。

2019年12月9日 韓国巨済にて