西の山をみる
今朝も
目覚めて
机の前の窓をあけて
西の山をみている
山の上の空は
少し
明るいが
その上に暗い灰色の雲がいる
今朝は
鳥も鳴かない
高速道路の騒音が聞こえる
雨になるのか
尾形亀之助にそんな詩があった
遠近法には
消失点があるのだという
若い時
宇宙の地平線ということを思った
宇宙が光速以上で拡大しているとしたら
そこには宇宙の地平線があり
その先はみえない
だけど
その地平線からこちらをみたら
消えていくわたしがいる
消えていくわたしたちがいる
消えていく地平線をみて
それで
このままでいいんだと思った
いまも
西の山をみている
山の向こうに
いまは
いない人たちがいる
* 工藤冬里の詩「(電信柱が)」からの引用