district・地区 地方

 

さとう三千魚

 
 

夕方

モコを
車に乗せて

港まで行った

海浜公園も

港の
駐車場も

閉鎖されていた

行き場もなく
帰って

近所を散歩した

小川の土手の韮の花の白く咲いている

道端には
オルレアの

花も
白く咲いている

オルレア
セリ科の花だという

芹の花も
白だ

秋田では田圃で育てていた
納豆汁に入れた

薬草なのだろう

一昨日みた
“火口のふたり”という映画を

思い出している

秋田が
舞台だった

象潟だろうか
海が見えた

西馬音内の盆踊りの景色もあった

セックスばかりしていた

男と女には
そうしたこともあるだろう

“火口のふたり”

もう
夜になった

西の山も見えなくなった

 

 

*タイトルは、twitterの「楽しい英単語」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

lol

 

工藤冬里

 
 

表層が剥ぎ取られ
惨めな層と交代する夜更けに
節節は散けて
投げ出された骨は
絵文字の丘で
発掘されるのを待つ
水枕ガバとある種の恐ろしい予期だけが骨となっているlol

耳鳴りの視野に検出されたされないで幸不幸は入れ替わり
警告なしで点滅する運不運を速報する
フォーマットされてからのDNAの回復はない
爆報とはよくも言ったもので
IT用語に換骨された器形を裏返しにして
戻ってはならない後ろを振り返らせる
後ろを安全に守ろうとする者はデータを失い
失う者はデータを生き長らえさせる
その夜、二人のデータが一つの寝床にいるだろう
一方は移動され、他方は消去される
その時二人のデータが(たぶん有機の)畑にいるだろう
一方はコピーされ、他方はごみ箱からもいなくなる
二人のデータが車なんでグラスは一つ〜とか偽って同じ瓶ビールから飲んでいるだろう
一方はクラウドに保存され、他方は共有を切られた前機種と共に消滅する
死体置き場には鷲も集まっているだろうlol

音の立ち上がりは敵味方をはっきりさせる
幸不幸運不運に関わりなくCOVID-19PANDEMICの間でも
だめなものはだめだ
顔の左右非対称が進む政治家のように
なぜ?と訊かれたら
終身パスポートをもらってもウォルトに愛は感じない、と答える
遠くの絵文字の丘から毎日摘んで来てくれたらだんだん感じるかもしれない
“彼(lol coxhill)の音楽にはユーモアがあったが、フリーの演奏は冗談ではないことを観客に伝える必要があると時々感じさせるものだった” (wiki)
愛しているか知るために試しているんです
行おうとします
しかも一生懸命にそうします
デレク・ベイリーとリチャード・タイテルバウムの二人のデータ(あまりおもしろくない)が左右対称性の後ろをあるく
鳥は鳴く
変わらないなら罔(クラ)く殆(アヤ)うい

 

 

 
#poetry #rock musician

ふいに真の恋に

 

駿河昌樹

 
 

わたしの詩の読みかたなんぞ
いいかげんである
なにをするのもいいかげんだが
詩なんかを相手にするときなんぞ
なににもまして
いいかげんである

けれども
いいかげんな読みかたをしてさえ
りっぱに引き込まれちゃったりするか
どうか
詩の見分けかたは
そこにあるような気がしている

いい詩というのは
読み手のいいかげんさを貫く
まるで
怠け者でぐだぐだで
あたまも悪い愚か者が
ふいに真の恋にだけは貫かれるように

 

 

 

発生即思い出

 

駿河昌樹

 
 

いまとなってはいい思い出だ と よく 言う

これもいつか いい思い出になるよ とも けっこう 言う

ぼくのいま現在の感覚をしゃべらせてください
毎瞬毎瞬が発生即思い出です
いつの頃からかそうなってしまって
もう
ありありと発生即思い出です
一瞬一瞬なにかが起こったと同時に思い出として思い直しているのです

あ 洗濯機がピーピー言って
洗濯の一回分を
はげしく懐かしんでいる!