Fishing is not in my line.
釣りは得意ではない。 *

 

さとう三千魚

 
 

before dawn

from the cove next to the marina
I launched a small boat

with a small engine

tip of a breakwater
near the freighter route

I lowered the anchor

hanging fishing line

the sea was calm
drank beer

before noon
breeze

I was blown by the wind

the pine forest on the shore was shaking

the waves were undulating and shining

after the earthquake
why did you die

your smile was cute

small boat
I sold it

Fishing is not in my line *

 

 

夜明け前

マリーナの横の入江から
小舟を出した

小さなエンジンを積んで

離岸堤の突端

貨物船の
航路の近く

アンカーを降ろした

糸を垂らした

凪いでいた
ビールを飲んだ

昼前には
風がでて

風に吹かれていた

岸の松林が揺れていた

波がうねうねして光っていた

地震の後で
君はどうして死んだ

のか

笑顔がかわいかった

小舟は
売ってしまったよ

釣りは得意ではない *

 

 

*twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

台風十号と政権交代

 

工藤冬里

 
 

私の体は日本のようだ
ったが
それも今日でやめよう
スパンと切り替えゴキブリの鈍光
復活しない猫と共に
遠方凝視法で皿ヶ嶺の山の端を見よう
ソーシャルメディアを 使うことで寂しさが増す
必要以上でも以下でもなく
人間だった頃の自己評価のまま
猫になってみよう
雨は時々バラバラと打ち付けるが
月さえ見えている
凶風で家は揺れているが
私は死んでもいい状態だ

 

 

 

#poetry #rock musician

遇うために

 

駿河昌樹

 
 

自由詩のかたちを使うのは

短いから

 
それだけのこと

そうして
なんの説得もしない
ことば並べを
ちょっと
やってみる

ちょっと

説得だけじゃなくて
なにも描かない

なら
もっとよい

むずかしいよ

ことばは
すぐに
描いたふりをしちゃう

すべては
音も想起させず
文字も脱ぎ捨てた
そんな
ことばたちに
いつか
遇う
ために

 

 

 

暴風に 揺るる蓑虫 明日を待つ

 

一条美由紀

 
 


海がある。海の行き着く先に違う国がある。
空がある。空を超えると未知の世界が広がっている。
でもここに居よう。
私はここに在る。
ここでできることは何かと考えよう。
そして最後は
透明な意識となって全てを忘れよう。

 


純粋無垢の醜さには我慢ならない
ガラスの椅子に座るその身体は美しい
剥がれていく肌の痛みは、他の誰かに委ねたままだ。

 


今度生まれる時は、
魂は二つ欲しいな。