更地

 

工藤冬里

 
 

病院から直接介護施設に送られ、家は処分されるので
大抵自分の家がもう存在せず、更地になっていることを知らない
センチメンタル・ヴァリューを伴う所有物が何の意味も持たない、というのはそういうことである
認知が入るともはや人間とは見做されず、感傷は更地にされるのである
アロマそのものは開かれているが調合の比率に独占が、つまり見えるものではなくバランスそのものに所有権が宣言されている
陰陽ではなく空想と現実のバランスに関するブレンドが介護施設で調合され、帰る帰ると言い続けるちぐはぐが祈りのように焚かれているのだ

 

 

 

#poetry #rock musician

You should read between the lines when you read the book.
その本を読むときは、行間を読むべきだ。 *

 

さとう三千魚

 
 

this morning

woke up late

I didn’t go for a walk

I offered water, tea and rice to the altar
offering incense sticks

I did the laundry
dried laundry

every day

I’m writing poetry

with Tori Kudo
every day

writing

there is nothing to write
I write that there is nothing

so

with the sea
with Moco
with a woman
with fragrant olive
with hydrangea
with Lapsanastrum
with a stray cat
with an angler

and
writing about no poetry

the lack of poetry means that the whole world is poetry.

I’m writing a poem that I don’t have

You should read between the lines when you read the book *

 
 

今朝

遅く目覚めた

散歩に
行かなかった

仏壇に水とお茶とご飯を供えた
線香を立てた

洗濯をした
洗濯物を干した

毎日

詩を書いている

工藤冬里と
毎日

書いている

書くべきものはない
なにもない

ということを書いている
それで

海と
モコと
女と
金木犀と
紫陽花と
ヤブタビラコと
ノラと
釣り人と

ない詩のことを

書いている
詩がないということはこの世の全部が詩なんだということなんだけど

ない詩を書いている

その本を読むときは、行間を読むべきだ *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life