広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
世界電池に腐った金柑
謙遜な貧乏籤の男
違いを再び目にすることに
患難とか処刑とか
南らしい真逆のイントネーションで
両親を選ぶ時自分が入ることになる胎を
#poetry #rock musician
今年も赤いチェックの半纏をクローゼットから出した。
肩にかけるだけでも温かい。
今年はよく雪が降る。
空もどんよりで暗い。
将来は暖かい所に住みたいと小さいころから思っていたけれどそれに拍車をかける。
そうでなくても未曽有の2020年だった。
明日が必ず今日のように来るとは限らないということを思い出させてくれる。
色んな人の人生が変わった。
そして、これからもきっといつもより早い速さで変わっていくのだろうと思う。
年末、不燃物のごみ袋、可燃物のごみ袋がベランダにたくさん並んだ。
使い古したキッチン用品、着なくなった洋服、不要になった書物・・・・・。
すっかりこぎれいになった部屋を見渡すとすっきりした気分になった。
ごみを収集場である場所まで運ぶとすでにたくさんのごみ袋で埋まっていた。
みんな同じだなぁとなんだか嬉しくなった。
普段顔を合わすこともない、隣に誰が住んでるか分からない集合住宅でも、ここでは間接的にみんなきちんと生きていることが分かる。
年末にきれいに部屋を整え、元日を清い心で迎える。
明るい未来を信じて。
今年は何十年かぶりに「おせち」というものをお店に頼んだ。
わたしの2020年最後のミッションは大寒波が来ると言われる31日に歩いて30分程のお店からおせちを持って帰ってくること。
この文章が載るころにはそんなおせちを食べているのかな。
小さい頃は何事にもきちんとしていた祖母が1つ1つ手作りで何日も前から作っていた。
黒豆、かずのこ、だし巻き卵、煮物・・・・・・。
お正月が過ぎても残っているそれらを見てぶつぶつ文句も言っていたけれど。
そんな思い出も今では大分忘れてしまった。
自分の人生が大分進んだということなのだろうか。
それならばこれからどんな日々を紡いでいこうか。
悩んだところで答えは出ない。
「今」を生きてみようと思う。
みなさんにとって良い1年になりますように。
男女の間で何かあった
少女は傷を負い
血を流しながら夜の町をよろよろと歩く
倒れてしまう
少女はこの辺りの住人だが
道行く人はだれも少女を知らなかった
少女もだれも知らなかった
汚い靴底が鼻先をかすめザクザクと軍靴のように歩きすぎる
星を見ていた
ぐしゃり
ブーツのかかとに嫌な感触があり
私は少女の顔面を踏んだ
少女の頭部がアスファルトの割れ目に斜めにめりこむ
翌朝。
大人たちが数人集まり、足跡だらけの少女に土をかける
私も 大きなシャベルでかけている
土が入り、大きく見開いた少女の目から涙がこぼれる
もう 空は見えない
コンクリートを流して固め、舗装が終わった
大人たちはそれから別の家に行き、倉庫の下の土をかきだし、
家出に失敗した少年をそこに突っ込みコンクリートのふたをした
若者を埋める町 足の悪い老人が押し車を押しながらたくさんの買物を
運んでいる 食べきれないほどの食料を運んでいる
髪を染め、あちこちに穴を開けてピアスをし、タトゥーを入れ、化粧をし、
化粧をし、化粧をし、
何度も何度も鏡を見てやり直し、それでようやく外に出た
少しだけ楽しい時間があり やがて傷つき
倒れ、道に寝てまっすぐに星空を見た
毎晩スマホの画面で見ていたゼウスとエウロペのロマンスを見ていた
アスファルトの下に 少年少女たちの青春が埋まる
彼らは年取ってから掘り出されはじめて深く呼吸をし町を見まわし
曲った足でよろめきながらも、かつて血を流してさまよった道を
新しい若者を踏んづけながら 生きるために
歩く
つぎはぎだらけの舗装道に朝日が射す
道はいつも少し温かい
猫が日向ぼっこをしている
私はときどき足を止め 道端の草花の写真を撮ったりもする
(12月某日、西小岩で)
morning
we visited the grave of my mother-in-law
I thought I would go to Sengen Shrine to pray, but I didn’t
because we didn’t have the amulet last year
at the station building
I accompany a woman to buy shoes
then
the woman
because she says she will meet her friends
with moco
I returned by car
go home
I called Mr. Sone
Mr. Sone was stranded in Tokyo
he said he would send me Mr. Hara’s calendar
looks fine
was glad
in the afternoon
buy enoki mushrooms at the supermarket
by the way
I came to see the sea
windy
rabbit was bouncing in the sea
I didn’t bring Moko because it’s cold
there was a cloud above the peninsula
there was no angler in the seaside park
once
someday
・
Now he took a walk, now he enjoyed fishing *
朝
義母の墓に墓参した
帰りに浅間さんにお参りに行こうと思ったが
去年のお守りを持っていなかったので
駅ビルで
女が靴を買うのに付き添い
それから
女は
友だちと会うというので
モコと
車で帰った
帰って
曽根さんに電話した
曽根さんは東京に足止めされていた
原さんの
カレンダーを送ってくれると言った
元気そうで
うれしかった
午後に
スーパーでえのき茸を買い
ついでに
海を見にきた
風が強く
海にはうさぎが跳ねていた
寒いのでモコは連れてこなかった
半島の上には雲があった
海浜公園に
釣り人はひとりもいなかった
かつて
いつか
・
彼はある時には散歩をし、またある時には釣りを楽しんだ *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
ユウキは恐るべき
マジックテープ使いである
ズボンの裾上げは当たり前
カーテンの丈つめにきっちり測ってアイロンがけ
色合いもぴったりのそれを無駄なく貼る
手際はむろん慣れたもの
ところが
ダブルベッドのベッドヘッドの
2㎝あるかないかの厚みに
ちょこんと置かれた目覚まし時計が
いつの間にか接着されている
ましてやリモコン
柱にエアコンの
食卓の脚にテレビの
リモコンが
接着されている
マジックテープってこんなふうに使うものだったのか
「散らかるのは許さないぞ
空0世界に秩序をもたらすのだ」
いやいや世界といえばカオスでしょ
混沌こそいのちのみなもと
すなわち豊かで可能性に満ちているってこと
秩序なんて何ほどのものだっていうの
だってあなた
束縛されたくないって
何ものも自由であるべきだって
言ってたじゃない
「あるべき場所におさまらなければ
空0混沌なんて混乱なんて
空0許しがたいものなのだ」
まいったなあ
わが家にとんでもない独裁者が出現したよ
齢重ねてふりかえるに
忘れ物なくし物机まわりの物の堆積
ノートをとった授業の結論ゆくえふめい
これはどうやら昨今いわれるところのADHDというそれではないかと
思い当たったわたしは
ねえそのうち
私の背中にもマジックテープをくっつけて
柱に接着するんじゃないの
言うとややあってユウキは
「そうだね
空0それもいいかもね」
って
いやいや違うでしょ
忘れ物なくし物授業の結論ゆくえふめいの
私だけれど
どうしてこれでけっこう地図がよめる女であるので
迷子にはならないんだから
接着定位置ぎめなんて
必要ないんだからっ
と
にらむのをわらっている
ユウキが立っていったあとの
食卓の上に
リモコン
あのまま行ったら
どうなってたかわかったもんじゃない
三角の
斜面だけに生きて
香川の雑煮の餡は泥井戸に
もしコロナがなければ
死んでいたかもしれない
坑に下って
僕から僕を引き剥がすために
コロナが興ったと
言えなくもない
そうすると
とんだとばっちり
ということになりますか
みなさん人類には
掘れば水が出たかもしれないが
掘る前に川となり
井戸から飲む前に出発した
そんな風にして
三八年僕に付いていった
#poetry #rock musician
early morning
headed to the beach
the sky on the mountainside of the peninsula was bright
on the mountain
the light appeared
the golden light pierced the beach and the people on the ground
On the beach
there are people
they were praying
with a woman and moco
we prayed together
many people’s faces came to me
it was a secret act
it was something I can’t talk about
go home
I drank beer
I ate ozoni
afternoon
To Akita’s sister
I called
my sister said she was with a cat
because she couldn’t go out because of a snowstorm
・
He explained it at length *
早朝に
浜辺に
向かった
半島の山なみの山際の空は明るかった
山の上に
光はあらわれた
黄金の光が浜辺や地上の人びとをつらぬいた
浜辺には
人がいて
彼らは
祈っていた
女とモコと
手をあわせた
たくさんの人の顔が浮かんだ
それは
秘密の行為だった
それは語れないことだった
帰って
ビールを飲んだ
お雑煮を食べた
午後
秋田の姉に
電話した
吹雪で外に出られないので猫とふたりでいると姉はいっていた
・
彼はそれを詳しく説明した *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
なんで立って歌わないんだ
いつの間にか大きくなって
これじゃ町で会っても分からないなあ
そうか辛抱するだけじゃなくて
お茶を入れてあげたり
今はそこだね
まあいいか
立って歌え
土地の境界ずらすな
ギンと罅割れ
包丁持って
蕎麦植える
高千穂と闘って
三百万の宿営を掻き分けて
山羊捨てに行く
蟹の甲羅年跨いで繋がって
コーヒーミルで蕎麦挽く
そっか辛抱するだけじゃなくて
お茶を入れてあげたり
#poetry #rock musician