avian flu

 

工藤冬里

 
 

妄想は悉く地下の集合的無意識に繋がっていてそのマグマが噴火に利用されてきた
苦しめれば苦しめるほど栄養価が高くなると知っているので地下は迷路になっている
言葉は与えられるがそれはjoy divisionとかcageとか
食べる部位を分類するために付けられているにすぎない
かしわ以外の
立てない飼育檻の柔肉は犠牲にしてはならないのに
地下鶏舎の夢想の噴火としての
大量虐殺が行われている
雄鶏(モノノフ)に時候の挨拶など無用だ
三度鳴いて夜を目覚めさせよと
単刀直入に知らせなければならない

 

 

 

#poetry #rock musician

春水、さざ波

 

原田淳子

 
 

 

白い夢
白い梅

時間とは、幻だったと、
空回りした回転盤が
花の交替を告げる

死というのは
回るレコードが無いということ

遺された者は
宙を滑る針

空虚は、無色の
沈む重さがあって
ことばは逸れてしまう

孤独というのは
与えたい者に
与えられるものがないこと

替わりのレコードが無いということだった
慰められず
顔を白塗りにして
みずから踊ることしかできない

塗り重ねられた灰盤に
真っ赤な林檎をおいた

なぜ人はひとつの心に
ひとつの身体しかないのだろう

髪を
臓器を
命を
ミトコンドリアみたいに
ちぎって分けられたら
光はめぐるのに

林檎なら
蜜までやさしく切りわける
唇まではこんであげる

寂しいときは
わたしの灰を回して
林檎のうたを聴く

蜜の香りがしたなら
回転盤に
さざ波を立て
わたしが遠くで踊っていると

春水が流れつく

湖畔にて
さざ波立つ

 

 

 

Happiness consists in contentment.
幸福は満足にあり。 *

 

さとう三千魚

 
 

morning

when washing my face with lavender soap
when I smell the scent of soap

when the west mountains look gray
when the west mountains look blue
when ithe west mountains look ultramarine blue

when moco wakes up sleepy

when I see the woman brushing her teeth with a boring face

when I watering the princess apple and the fragrant olive the nandin at the entrance

when taking a walk on the beach with moco
when I see stray cats

when I see the sea water sway

in the blue sky
when I see the white clouds

when the wind blows

evening

when I take a bath with the mandarin orange peel

Happiness consists in contentment *

 
 

ラベンダーの石鹸で顔を洗うとき
石鹸の香りを嗅ぐ

そのとき

西の山の灰色に見えるとき
西の山の青く見えるとき
西の山の群青色に見えるとき

モコが眠そうに目覚めるとき

女が

ボーとした顔で
歯磨きするのを見るとき

玄関の姫林檎や
金木犀や南天に

水をやるとき

モコと浜辺を散歩するとき
野良たちを見るとき

海の水が揺れるのを見るとき
青空に

白い雲を見るとき

風が吹く
とき

夕方

お風呂にみかんの皮を浮かべて入るとき

幸福は満足にあり *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life