According to the Bible, God made the world in six days.
聖書によれば、神は6日で世界を作った。 *

 

さとう三千魚

 
 

until a while ago

a horn that guides a truck for pier repair work on a highway
was ringing

already
I can’t hear

the construction workers may have returned

the west mountains
sinked into the darkness

with anyone
did not speak

in the toilet
the Bible and Pensee are placed

According to the Bible, God made the world in six days *

 
 

先ほどまで
高速道路の橋脚補修工事のトラックを誘導する

警笛が
鳴っていた

もう
聴こえないから

工事の人たちは
帰ったのだろう

西の山も
闇の中に沈んでいった

誰とも
話さなかった

トイレに
聖書とパンセが置いてある

聖書によれば、神は6日で世界を作った *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

今宵

 

薦田愛

 
 

来よ
今宵、
来よ
という
つよい声に
うながされ
鍵をあける
出かける
ひねもす
あしおともなく
おとないつづけていた
あめは
あがって
よるのしきつめられた
灯しひとつない道の
おうとつがこころなし
ゆるんで
いる
うるむくらがりへ
あおのく
ひたいにしたたる
一滴が
まぶたへはしる
ここ、から
来よ
という
声の
在り処へ
うすく
はがした
むきたての
はるの野辺の
やまぎわ
(ささめく)
かわべり
(ゆらめく)
よるの胎のうちがわ
湿るつちのにおいに
つつまれて
ゆく

 

 

 

Groundhog’s Day

 

工藤冬里

 
 

真っ昼間のビルの間(ルビは”ま”)にハープが置かれ
耐えかねて鳴り出すケシの未熟果の傷
みんな難民ギャー
カニグローバリズムギャー
ロ被虐ギャグ数珠メッセンジャーズ
フーチーグーチーとスーチンプーチン
チャイ南端のチャイナちゃいまんねん
ヤンミャーとマンミャー 南京錠で軟禁玉簾
民主主義の進展が愛国主義を生み出し独裁となる歴史は各国で実証済みであるが今回のこれは三寒四温下の春の分断である
立春分断党万歳
春に春に追われし花も散る
私たちは春から憎まれ分断されるべきである

 

 

 

#poetry #rock musician

カメラ

 

塔島ひろみ

 
 

カラスが羽を広げ飛行するその影が まだ見たことのない空と太陽の存在を教えてくれる

くらしをまもるために防犯カメラがまわっている
幸せをこわさないために防犯カメラがまわっている
悲しみをつくらないために防犯カメラがまわっている

高台にある静かな町で 私はS宅角から北へ延びる一本の道を見つめる
100度の広角で電柱に据り、動かない景色の中で私がまわる
犬の散歩、ウォーキング、
朝夕は連れだって中学生も通っていく
最近はみなマスクをして
24時間私が守る安全な道に現われ、小さくまたは大きくなり、ふっつりと、私の知らない世界に消え
次に少し違う様子で現われる人、
まったく違う様子で現われる人、
どこかしらきっと前のときと違っていて、
そのまま 永遠に消えてしまう人も時折いた

見慣れない地方ナンバーの車が停まり 大きな工具を抱えた男が下りた
道を見て 印をつけている そして
ズドドドドドド スイッチが入り激しい音とともに
電動ドリルが舗装をえぐる その下から 血がほとばしる
アスファルトがめくれ 肉塊がのぞく
黒々と光る肉にドリルの先端が突きたてられ
肉は叫びながら小さく砕かれ飛び散った
私はマスクをはずして呼吸をする
青空が見えた
穴の中に 天国の場所を見つけた気がした

車が去り
穿たれた道は平らにならされ あとかたもない
轟音は近隣の一人も呼び出さず
平和な風景に変わりはないが

道のへりに飛び散ったままの肉塊のひとつから 雑草が生えた
私のいない 私が映さないもう一つの世界では
くらしがこわれ、幸せがつぶれ、悲しみがこうして 草花を咲かせる

わたしは 何を守っているのだろう

Sが死んだ
不審な点があったらしく 私の記録が再生された
カメラには なにもうつっていなかったという

S宅は界隈でもっとも古い傾いた家で
まもなく解体工事が始まった
養生シートの隙間から コロンと一片のつちくれが道に転がる
つちくれからはじきに芽が出
春には花が咲くだろう

その小さな脆い固まりを 私は守りたい

 

( 1月某日、目黒区八雲で )

 

 

 

I have seen little of him of late.
近頃彼にほとんど会わない。 *

 

さとう三千魚

 
 

always

in gray upper and lower work clothes
he wore a gray work cap

I saw him at a fishing spot in the seaside park

the beard was growing white on the tanned face

old man

with a one rod
he was aiming for the blackfish

he didn’t even have a tamo net

the bait is a paste
he didn’t sprinkle

he deliberately made fishing difficult

I have seen little of him of late *

 
 

いつも

灰色の
上下の作業服に

灰色の作業帽を被っていた

海浜公園の釣り場で
見かけた

日焼けした顔に髭が白く伸びていた

じいさん

延べ竿一本で
メジナを狙ってた

タモ網も持たなかった

餌は
練り餌で

撒き餌はしなかった

わざと釣りを難しくしていた

近頃彼にほとんど会わない *

 

 

* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.

 

 

 

#poetry #no poetry,no life