一条美由紀
見たことのない誰かとだって
心を通わせられる
自分のウソを数えていけば、
他人の嘘も愛おしくなる
本当に大切なものを一つ持って
大地に立てば
みんなの存在を感じる
私のばあちゃんはいつも
誰にも迷惑かけずにぽっくり逝きたいと望んでいた
ボヤ騒ぎをおこし
料理の得意なばあちゃんが
調理の仕方がわからないと言い
今食べた食事を忘れ、飯をくれという
自分のウンチを家の小さな金庫に入れた
ばあちゃんは20年近く呆けて私の母の看護を受けた
そして母にはばあちゃんの看護は生き甲斐の一つだった