電車の中で眠る

 

工藤冬里

 
 

夜になると石灰化する頚骨が鳴り始める
羽に埋もれ寒さの下を潜ろうとする
指の付け根のように谷は山に食い込む
藤色とライトグリーンは永絶には似合わない筈だ
賢い人も愚かな人も、人の記憶にいつまでも残ることはない
月日がたつと誰もが忘れ去られる
住んでいた場所でも忘れ去られる
電車の中で眠る
森の中ではない
先回りの死者として電車の中で眠る
内回りも外回りもなく泥になっている
深爪のように

 

 

 

#poetry #rock musician