6時間で復活せよ

 

工藤冬里

 
 

死こそが最高のメンテであるような眠りを眠れ
眠りが最高のメンテであるような死を死ね
石膏はその力を失い混ぜても混ぜても反応を起こさない。学校で教わったような熱はでない。あれはただの体温だったのだ。いつまでもしんじつでげんじつでどろどろのままだ。A級は.73、特級は.64、正確に測ってもとろとろうたいだしてしまう。
ひしゃげた未來の天氣がいつも雹の混ざったst.ivesの強風
鉛筆を削るように亜墨利加人を削り
使えるようになった三味の糸巻
孔を穿つべく掘り進み
遂には裏側に至る乎
あゝ服の外は零度
零度のヴィジョンの温さ
終バスは南口を出
居ない妻君は出版し
モノクロのカモメはマナティの夫を見る
ナースコールのように波は来る
いつかのいつかの防波堤で
差別を溶かした葛湯の中に
せろせろと入れてみせた希望
出勤まであと6時間
6時間で復活せよ

 

 

 

#poetry #rock musician

座売り

 

廿楽順治

 
 

三越の少年音楽隊なんかに
入っちゃだめだよ

(死んぢゃうよ)

きみの眼の奥の
きいろい膿のたまったところ

おじさんはもうだめ あるけません
腰から下が地面なんだ

(売りてし止まん)

結局みんな
じぶんの夢が
なつかしいだけでなんですよ

(どいつもこいつも赤札だ)

だから三越の音楽隊だけには
ぜったい入っちゃだめ

しゃがんだ
戦争に
声を売られちゃうよ

 

 

 

水仙の花の、咲いてる

 

さとう三千魚

 
 

家の
まえの

道ばたの
隅の

水仙の


咲いている

雨の
朝の

咲いてる
濡れている

透明で
黄色い

一昨日か


曽根さんの

アパートの近くの
馬込の

地下鉄ホームのレールの

傍らの地下水の滲みでたコンクリートの水溜りに
緑のものの発芽をみた

竹橋では
画家の日々の花ひらくのをみた

画家がいた
人がいた

うれしかった
うれしかった

 

 

 

#poetry #no poetry,no life