長すぎる朧の月の待ち時間

 

一条美由紀

 
 


ドアの呼び鈴は宅配業者以外押すものはいない
話したいことがガチャの中
行きたいところもガチャの中
今はこの四角い箱の中から出る理由を探してる
ブルーライトだけが自分を誘う。
ネットに溢れる遠い世界に、
会ったことない架空の友人たちに
歩き続けて
自分の夢を語る。
子供のはしゃぐ声や行き交う車の音は聞こえるけど、
だれも僕をしらないし、僕を必要ともしていない。
だから四角い箱は螺旋を描いてさらに深く潜っていく

 


自分しかこの世にいなかったら
きっと比べることもなく、
不満もないのかもしれない

 


あまつさえ、過去は折りたたみ、知らんぷりしているのに、、