ラストダンスはわたしに ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 48     jyun 様へ

さとう三千魚

 
 

赤や
黄色

白や
ピンク

むらさきいろ

ドレスは
いろいろ

箪笥にある

百日草だった
ダンスホールの花だった

遠いのか
近いのか

遅いのか
早いのか

青いのか
深緑か

わからない

最後に
踊りましょう

わたしと

 

 

***memo.

2023年7月24日(月)、自宅にて、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った48個めの詩です。

タイトル ”ラストダンスはわたしに”
好きな花 ”百日草”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

Strange Fruit

 

工藤冬里

 
 

いっぽんの名前のない木が言語を拒否して立っていた
その果実は味覚による命名を拒否して生っているのだった

去らせることに関する愛の定義はJ-POPでは言語化が難しかった
一滴も残さずに絞り出しても名前のない木がある以上それは伝わらなかった

腑に落ちることが目的ではないからだ
混ざらないことが言葉のやくわりだった

一部は逃れ出て安全な場所に置かれる
自然な話し方という誇張で画像は編集され
肌色のマスクを通して
言葉を拒否した木の周りを役立つ言葉が回る
その木いがいのすべての形容詞が総動員される
命名できない果実があるということが他の全てを成り立たせているのだ

すべての朗読で言語が使用されるが
夕陽の丘に翼が舞い
ひかりの束の源は沈む太陽ではなく名前の無い実だ
進んで従うためにもその実が必要だ

拡声器を使ったり黙り込んだりしてみても味は分からない
分からない味をベタな声で語ることが敬意なのだ
名前のない果実のアルペジオを受け入れ、捨ててはならない

不可能の木の周りを決意が回る
家の中の型に囚われない石の壁がいい感じだ
言葉を短くすることで解決する時期もある
話題を出してもらったり男女の役割を変えたりするのも有効だ
いったん始まればたのしくなるのは木に名前がないからだ
そこではあるものをないと言うシュミレーショニズムを逆手に取ることも許されるだろう

岩盤を削る努力とは言い換えによる更新を続けることである

 

 

 

#poetry #rock musician

You Light Up My Life…?(Goes Rock,愛のよろこびGoes To The Future, Fried Rice…!)

 

今井義行 2023©Cloudberry corporation

 
 

世界のすべてのをんなおとこは、“受精”(ジュセイ)を、めざして
在る、のです、か……?
性徴が悩ましく途絶えそうになり、わめいてしまった夜も、あります。
……どうしようもなく、抱かれてしまうことだけが、幸せでした。
僕には、おさない頃から、子どもを
つくる…能力がありません。
うあ、目の前に、嘗て一緒に暮らしたをとこである…建志(タケシ)サンが、居ます
「不死鳥なんて、見過ごそう。」と彼は今日、呟く。
アア…僕たちは…ずいぶん、歳をとってきました。
お互い、毛髪を朱く染めた。
一緒にながく歩いてきた。
「ドラムが巧くって、SEKAI NO OWARIって、良いバンドデスネ…!」と僕は言う。「義行(ヨシユキ)、お前の声、まだ声変わり前みたいな揺れ方ダネ。色めき立つような口づけを、?」
「幾つもの、聖夜のもとに…僕はふたたび身籠りましたよ。有り難う…!」
すると、建志(タケシ)サンは
ベッドでキラキラ身を震わせながら言うのです。「世界のすべてのをんなおとこは、“受精”(ジュセイ)を、めざして
在る、のです、か……?」
……………………
精子、どしゃぶり。
幾つもの性徴、幾つもの夜を辿っているとはいえ…僕たちは、衰えながら新鮮な、全裸です……。
愛し過ぎて苦しいと思うまもなく僕のぱんぱんに張り詰めた乳房の先から温かい母乳が零れ出す。You Light Up My Life…?(Goes Rock,愛のよろこびGoes To The Future, Fried Rice…!)
「建志(タケシ)サン、僕は柔らかいロックに行くし、未来にも行きます。」
「義行(ヨシユキ)、おなかが空いたからライスに行こう!ガーリックバターたっぷりのFried Rice…!」Fried Rice…!!あとで、お尻

の穴に塗りたいですね。

…………
そこからも時間は経ちました。お互いを愛おしみあいながら手を繋いで向かい合うとき…僕たちは、まだ綺麗だ。幾つもの性徴を過ぎて皮膚はたるんでいるかもしれないが、それでも、
世界のすべてのをんなおとこは、“受精”(ジュセイ)を、めざして
在る、のです、か……?

 
 

2023/06/13 アパートにて。