藤生すゆ葉
暑さが滲む
身体が不明確になるように
道に映る影は鮮明さを増す
雲を色づける光は
地上の植物を振り向かせる
それは
誕生と別れ
扉をあけてくれたあなたは
夢のなかで最後の挨拶
人工物では表現できないその光は
ここの意識だけを残して
軽やかに旅立った
結末を教えてくれた朝
光の先端に 笑顔をのせて
ありがとう、と
残された意識がすべて旅立つように
願い続けた あなたの幸せを
片手の年月
ほほえむようになった「 」は
あなたの元へ戻れたかな
生命の切符を携えて降り立つときは
抱えきれない愛と共に 飛び跳ねて
忘れないで
降り注いでいる愛を
言葉の存在を
光へ