長谷川哲士
ケムリ模様の雨模様
雨ばっか降りやがって
どんどん雨激しくなりやがって
哭く喚く天の声なのかよ
ひゃっひゃっひゃっ
ああキノウの蝶々だなこれ
地に目を遣る
激しい雨に打たれ打ちひしがれて
飛ぶ事諦めさせられ
死んで行った美しい揚羽蝶
その美し過ぎる屍はヌルリ輝く
まるで嬉々として残酷シャワーに晒され
爆音警報鳴り止まぬ中
びしゃびしゃ飛翔しようという
抵抗の姿を見る
それは神々しく狂おしくも無残解体へと変容し
黒いアスファルトに貼り付けられる結局
その燻んだ翅模様、死んだ一昆虫の微々たる光
ぺたりと存在しています、ばらばらばら
ひとごとでも無かろうに、ククク笑いが込み上げる
死への面影だけは身綺麗にしておきたいものだ