海浜公園から

 

さとう三千魚

 
 

千曲では
根石さんと

戸倉の温泉に入り
近所の居酒屋の

きのこ鍋で飲んだのだったか

千曲から
帰って

何日か
経った

何日か
経って

何をやったのか
覚えていない

海は見ただろう

今日も
午後に

海浜公園から海を見ていた

モコは
居間のソファーに眠っていた

根石さんは
千曲川の流れを見て

詩は
一瞬だよな

そういった

詩は
一瞬でも

まだ生きてるから
書こうと思います

そう

わたし
いった

海浜公園では風が吹いていた

海の向こうに
半島が青く横たわっていた

半島の上に白い雲がふたつ浮かんでいた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

雲を描く

 

工藤冬里

 
 

縫いぐるみの尻尾のニ線の切り結ぶ哺乳類の目付きに動く大皿小皿
複合的な大小のからくりが組み込まれた洗濯機のような構造を考えていると嘔吐せざるを得ない
歴史を定点で観測する百葉箱的な設え
アレウトAleut

火によって明らかになる
焼いてみたら分かる
土台があるのに焼け落ちた
弱い部分を補強
土は燃えない
雲を描く
土台の上に建てたものが燃えずに残るなら
ひと言の土壁
ひと言の土が塗られて
燃え残れば
雲を描く
雲を描くことを考えた
辛抱してくれていると思うと安心する
鳥の視界に 頭蓋の中を 置き換えて
風が強くて寒い
辛抱強さは過渡的な側面として強調されているのではない
それは元々全体の中に含まれていたのだ
風が少し冷た過ぎる
クラフトフェアで辛抱し
アートフェアには辛抱しない
農家の人はコントロールできないことがある限り辛抱する
待っている間 優先順位を守ると 辛抱が勝ってくることがある
待っている間 畑仕事よりも優先すると 辛抱が優ってくることがある
待っている間待つことよりも辛抱を優先させる

雲を描こうとしている
筆は使えない
ターナーとか絵筆だろうけど
滲ませるといいのかもしれない
白は輪郭がはっきりしている
鳥は相変わらず電線に止まっている
鳥の脳内に置き換えることは忘れていた
鳥は雲を見ている
風が 寒い
漫画のような雲は描きたくない
字体が空に浮いている
柱とポーチはローマを排したことによってさびしくなっている
彫り物のひとつもなくて末世かな
オレンジの酸化焼成の屋根の一帯
この無装飾も辛抱なのか

辛抱されている時間

すぐにキレない
あ、鳥はいない
それぞれが負っている
メタモルフォース
個人的に体験を通して当て嵌めることを待つしかない
待っている間は
チョッキを着て辛抱
疑わなかった
クラフトフェアはもう寒いだろう
試飲の紅茶を一杯貰い
辛抱は冥王星のように遠くて近い
もっと穏やかで幸せな気持ちになれるし、もっと健康になれる
自分では無理

引け目からからくる辛抱と雲との違い

 

 

 

#poetry #rock musician

露寒の指に触れるや小さき花

 

一条美由紀

 
 


ワタシハワタシノナカノ彼女デアル
彼女であるワタシはワタシの全てを知っている
でもワタシは彼女であるワタシを拒否し見ようとしない
彼女であるワタシはワタシの一番の味方であり友人でもある
彼女であるワタシは時に固く小さな実となる
そして待つ
ワタシをワタシが理解してくれる時まで

 


生まれた時から数字で考える機械と育ち、
この世は自分たちとは違う命の形があることを知っている
肉体だけに命が宿るわけではないの
私たちは浮遊する、肉の塊を超えて
私の実存は機械の中にもあり、あらゆる世界と繋がっている
私は我々で、我々は私
個人の肉体を超えて未来を見つめてる

 


言葉遊びの結果は二次元で終わる