原田淳子
書を焚く煙
燃える東の空の下に
あなたを見ました
あの子が塗った緑色
崩れ落ちた壁のなかに
あなたを見ました
オレンジが沈む河の底に
片足の猫が寄り添う隣に
並べられた白い布のひとつに
花柄のコーヒーカップの脇に
錆びた井戸の底に
引き裂かれたオリーブの枝に
向けられた銃の先に
あなたが愛したその土地から
あなたが去ってゆくのを見ました
*「あなたを見ました」韓龍雲への返詩として
野に
ゆけば
会えるのか
野の
きみに
会えるのか
待っている
ここに
いる
***memo.
2024年10月5日(土)、
京都 徳正寺 門前での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!”第29回で作った106個めの即詩です。
タイトル ” 動静 ”
好きな花 ” 野の花 ”
#poetry #no poetry,no life