戦争が

 

廿楽順治

 
 

「戦争がおわったぞ」

その声に
会議室がふいにざわめいた

わたしはそのとき何か
顔を赤くして報告していたが

ああ
もうばかな死に方は世界からなくなるのだ
と涙が流れてしかたない

もう会議で
しょうべんをがまんしなくてよいのだ

「戦争がおわったぞ」

その声は どこから
くるのかもわからない

だれが
わたしたちのために 
戦っていたのかもしらされていない