つなぐ ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 127     tokihisa さんへ

さとう三千魚

 
 

つなげないだろう

なにも
つなげないだろう

ダリアは

佇んでいる
崩れている

なぜ殺すの
なぜ飢えさせるの

なぜ
見捨てるの

なぜ声にならないの

なぜ
声に

ならない声で言うの

なぜ
呻くの

なぜ
白いの

なぜダリア白いの
なぜダリア白いの

ダリア
咲いている

佇んでいる
崩れている
叫んでいる
呻いている

 
 

***memo.

2025年5月29日(木)、
自宅にて

“無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 127個めの即詩です。

タイトル ” つなぐ ”
好きな花 ” 白いダリア ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

冬 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 126     maiko さんへ

さとう三千魚

 
 

秋が終わり
冬の始まるころ

天辺が
白く

光るのを
見たことがある

あれが焼石岳と教えてくれたひとは
いない

もうみんな
いない

冬は
言葉がない

紅い椿を胸に抱いている

焼石岳の
天辺を

白く光らせ

紅い椿を
抱いて

雪の細道を行くひとがいる

 
 

***memo.

2025年5月28日(水)、
自宅にて

大磯 ” soui ” 詩をひらく、の後で

“無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 126個めの即詩です。

タイトル ” 冬 ”
好きな花 ” 椿、紅い花 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

初めて食べる

 

辻 和人

 
 

くん
この匂い、何?
ミルクみたいに甘くなく
でもかすかーに甘―い
とろっ
この感触、何?
流れていかない
でも粘らない
べろの上をにゅにゅん滑った
ごっく
飲み込めたぞ
ミルクじゃない
初めてだ
嫌じゃなかった
もうひと口、大丈夫

ミヤミヤがコミヤミヤに、ぼくがこかずとんに
2人同時にお口あーん
2人同時にぱくっ
2人同時ににゅにゅん
べろ動かして
ごっく
飲みこんじゃった
2人同時に何だか上向いて
2人同時に何だかちょっと笑った
お米のピューレ
食べ物って奴
初めて
初めて
そういやお尻に硬いベビーチェアで足ぶらぶらも初めてだ
とろっ
にゅにゅん
ぶらぶら
嫌じゃなかった
そうして
初めては
ちょっと笑って
いつのまにか通りすぎてね
いつのまにか初めてじゃなくなったんだよ

 

 

 

旅行記1989〜

 

工藤冬里

 
 

ミルクティーあると思えばある宇宙
リベラル左派生きているのか死んでいるのか分からない
マルタ何かの役に立ちたいと小枝を拾い
正義に咬まれた
旅行記1989〜
プノンペンで眼鏡は殺され
考えることをやめた光子が
生きているのか死んでいるのか分からない箱の中で
正義を咬まれた

 

 

 

#poetry #rock musician

会えた **

 

さとう三千魚

 
 

人がいた
猫もいた

猫は
本棚に飛びのった

人は
味噌汁の味がする

煮干しの味がする
藁を焼く匂いがする

しあわせを抱いていた

母と父が
笑っていた

 

・・・

 

** この詩は、
2025年5月23日 金曜日に、書肆「猫に縁側」にて開催された「やさしい詩のつどい」第17回で、参加された皆さんと一緒にさとうが即興で書いた詩です。

 

 

 

#poetry #no poetry,no life