addict 2

 

工藤冬里

 
 

フェンタニルの中京は見下し合戦のショートムービーの拱手の中で身体性に按手する
切り立った石鎚に黄疸の月は隠れて
体の中に手を入れて隈なく探すメラニンの島
〈瀬戸内海は蟻がたかるくらい溶けていて〉
白い血管に声のデカい揖保乃糸を通して縫ってゆく
国語の問題じゃないんだ涙は
プチプチのADHDじゃないんだ煉瓦汚しは
名前じゃないんだ苗字は
衆院じゃないんだ産院は
遊びなはれ酒も飲みなはれ
しぐれじゃないんだ浪花は
日暮れじゃないんだマジックアワーは
変な雲

 

 

 

#poetry #rock musician

花たちへ

 

さとう三千魚

 
 

ここのところ
夏バテか

走らなかった

検診でバリウムを飲むから
今朝は

なにも
食べなかった

水も
飲まなかった

すこしだけ
身軽になって

河口まで走ってみた
ゆっくり走ってみた

河口には白い雲を被った不二がいた
鮎の稚魚たちか

群れて泳いでいた

燕たちが低い空を餌を求めて飛びまわっていた
子どもたちが待っているだろう

帰りは
歩いてきた

ゆっくり歩いて帰ってきた

義母の仏壇に女は花を供えていた
灯籠の蓮の花の絵がゆっくりまわっていた

庭のカサブランカの花弁の
地に落ちて

残った雌しべの

突きでていた
尖端が濡れて光っていた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life