昔は葉を食べていた *

 

いちど
会った

品川のホテルの広い部屋で

雑誌の対談だった

その後で
そのひとは海で死んだ

仙台育英の頃
ボクシングの練習でランニングして

道端の草の葉を食べていた

本で読んで
知ってた

家で飼っていた牛が

売られていくのを見て
泣いた

それも
知ってた

ニーチェのようだ
ニーチェのようだ

色紙を
書いてもらった

あまり
話せなかった

昔は葉を食べていた *

 
 

* 工藤冬里の詩「高知」からの引用

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です