michio sato について

つり人です。 休みの日にはひとりで海にボートで浮かんでいます。 魚はたまに釣れますが、 糸を垂らしているのはもっとわけのわからないものを探しているのです。 ほぼ毎日、さとう三千魚の詩と毎月15日にゲストの作品を掲載します。

ねこ

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 24     kaho 様へ

さとう三千魚

 
 

どこに

いるの
どこに

いったの
きみの

きいろい
ガーベラ

まっすぐ
首を伸ばして

いたね

咲いて
いたね

 

 

memo.

2022年11月26日(土)、しずおか一箱古本市での水曜文庫で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第七回で作った詩です。

お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、詩の画像をメールでお送りしました。

タイトル ”ねこ”
花の名前 ”ガーベラ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

白昼夢

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 23     minami 様へ

さとう三千魚

 
 

夏の
終わりに

たくさん
実をつけてた

まるく
膨らんでた

夏の
午後

夢をみた

わたしの
ひまわり

膨らんで
実っていた

 

 

memo.

2022年11月26日(土)、しずおか一箱古本市での水曜文庫で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第七回で作った詩です。

お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、詩の画像をメールでお送りしました。

タイトル ”白昼夢”
花の名前 ”ひまわり”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

敵の前でフルコース

 

工藤冬里

 
 

脳を食べる。それで?それで?二世の悲しい鋭角の字体で 仰ぐ絶望
(瞼に気を取られている) よくない よくない

消し去るのではなく塗り潰す
迫るのではなく輪郭の外から浮き上がらせる
シニフィアンにニュー息吹
今まではそこには良いことをする人も悪いことをする人も居ると考えられていた
良いことや悪いことは過去形でしかない
悪人が存在しえない地もあるのだ

復興大臣秋葉けんや君に立憲源馬謙太郎君が詰め寄っている

悪人は塗り潰されるのではない
悪人の輪郭が浮き上がることで保護観察処分となるのだ
(そのためには)
愛されていないという偽り全てを退ける必要がある

人(ルーアハ・イーシュ)は病苦に耐えることができる
私の敵の前で、あなたは食卓を整えてくれる

 

 

 

#poetry #rock musician

冬の中の流れることばをとめて

 

ヒヨコブタ

 
 

好きな歌手の歌詞ばかりを集めた詩集のようなものを数冊パラパラとめくっては
この数十年を思っている

この歌が大好きだった頃は、と
あまりに輝かしいこととは無縁だと思っていた
その頃のじぶんの若さ
このまま這い上がれずに沈んだままなのかと怯えたいくつもの夜

通い慣れたカウンセラーは
昔精神科というものがコンビニのように立ち寄りやすく、奇異なばしょではなくなることを願っていたという

その数十年、這いつくばって生きてきたわたしは
あの頃のようには絶望もしない

世界では理不尽がまかりとおるのにも
憤慨することは変わらないのに
わたしじしんというのは
変わっていくものだとそれじたいは受け入れることができるような齢にはなったのかもしれなくて
それがあまりに残酷な裏表を持っていることもわかるから
時々は思いきり涙を流す
誰のための涙なのか
わたしじしんがまだ理不尽をゆるせず
人ではなく、人の中にたしかに感じる理不尽と戦っては涙する

年老いた人達と数少ない兄弟に
送った手紙は沈黙の返事しかない
もう大丈夫だよといっても意味がないことも
少しは、のみこまなければならないのだろう
のみこみ、咀嚼して強くなりたい

ああ寒い冬が
わたしのこころには優しい
寒い冬や雪はいつも味方だと思う
そこになんの汚れもなく、しんと冷え切って
わたしには静けさが残るから

ぱたりと倒れながら、涙しながら
今日も冷えた空気を受けて、少し歩く

 

 

 

陸橋を渡る

 

村岡由梨

 
 

【2022年11月15日 火曜日】
15:00頃、仕事の帰りに自転車で、
世田谷代田・宮上陸橋を渡る。

朝ポツポツと降っていた小雨は止んでいた。曇天。人も車もさほど多くない。

ふと、この陸橋を通る時の気持ちや日々のあれこれを
言葉にして記録してみようと思い立つ。

スマホでフェイスブックを見る習慣があったけれど、今は、なぜだかこわくて見られない。スマホのホーム画面にあるフェイスブックのアイコンの先に、とてつもなく巨大な、手に負えないほど深く黒い世界が広がっているような気がして、開くことができない。かろうじて、お知らせだけはチェックすることが出来る。今日は詩人の長田典子さんのお誕生日とのこと。お祝いのメッセージを送りたいけれど、出来ない。ごめんなさい。長田さん、お誕生日おめでとうございます。

帰って、風呂場やトイレ、水回りの掃除。

夕飯に、たらこスパゲティを作る。
他に、ブロッコリーのソテー、
アボカドとスモークサーモンのサラダ。
娘たちは、「おいしい」と言って完食。

私が台所に立っている隙に、花が私のスパゲティにたくさんのレモン汁をかけるというイタズラをする。

私は、花のそういうところが好き。

これから、久しぶりに自分で髪を洗おうと思う。
ここのところ、ひどい鬱で自分で洗うことが出来ず、野々歩さんが週1ペースで洗ってくれていた。

花は明日から期末テストで、懸命に勉強に励んでいる。

私のvimeoのアクセス解析をチェックするのが日課の野々歩さんから「新宿で『スキゾフレニア』が観られているよ」と聞き、絶縁状態の姉が観ているのかもしれないと、恐怖で体が震える。また見当違いのクレームをつけられて、しつこく上映妨害をされるかもしれない。

母屋でまた、母と弟が言い争っているのが聞こえた。

 

【2022年11月5日 土曜日】
上原で、旧知の仲の税理士さんや司法書士さん、草多さん、野々歩さん、私で、志郎康さんの相続の話や、今後どうするかなどの話をする。まりさんの在宅介護がこの先ずっと続くのかと思うと、絶望感で目の前が真っ暗になった。この日を境に、精神的にも身体的にも今まで以上に追い詰められ、食事も喉を通らず、まりさんの顔や話し声がずっと私の頭の中をぐるぐると回るようになった。そんな中、這いつくばるように仕事へは行く。

 

【2022年11月9日 水曜日】
12:30頃自転車で陸橋を渡る。
「自分が死んだら人に迷惑がかかる」
「自分が死んだら人に迷惑がかかる」
と念仏のように唱えながら、何とか渡りきる。

15:00頃、桜上水での仕事を終え、
駐輪場で遺書を書く。

眠と花へ
野々歩さんへ
母へ
弟へ
姉へ
鈴木真理子さんへ
後田彩乃さんへ
さとう三千魚さんへ
さとうさんのおかげで、画家の一条美由紀さんや、詩人の長田典子さんなど、素晴らしい才能を持った方々との交流がうまれた。さとうさん、ありがとうございました。

遺書を書き終え、やっとの思いで自転車を漕ぎ出す。涙が止まらず、嗚咽が止まらない。
近くの日大の学生たちがびっくりしてこちらを見る。

名前のない大通りに出る。
どこまでも一直線にのびた道路。
終点の見えない不安で、
足がすくむ。
人もいない。
車もない。

私ひとりだった。

自転車を漕ぎながら、
子供のように声をあげて泣いた。
もう1ミリも先に進めない。
何度も立ち止まり、嗚咽する。

それでも何とか経堂のクリニックに着いて、
野々歩さんと川畑先生の顔を見て
また涙が止まらなくなる。

野々歩さんが、その場でまりさんのケアマネに電話して、私の代わりに月・木・土の夜の排泄介助に行ける人を探してほしいと伝える。見つかるまでは、野々歩さんが毎回付き添ってくれることになった。

川畑先生に入院を勧められる。
仕事の都合もあり、
入院はひとまず保留。
寝る前の薬が1種類増える。

帰宅後、国保連へのレセプト請求の仕事をする。

 

【2022年11月10日 木曜日】
いちいち夜の上原へ付き添わなければならなくなった野々歩さんがイライラしている。

 

【2022年11月12日 土曜日】
午前中、花の中学校で学芸作品発表会。

3年生の合唱『大地讃頌』を聴いて胸が詰まる。

花がポスターコンクールで金賞をもらって、表彰される。

午後、体調の良くない眠に付き添って経堂のクリニックへ。

帰り、眠も私も少し気分が晴れて、
電車に乗って歩いて帰宅する。
時々、眠の手が私の手に触れる。
気持ちの良い天気だった。

多摩美の有志の方々が志郎康さんを偲ぶ会を企画して下さったが、どうしても参加する気分になれなかった。私が長年まりさんとの関係に苦しんでいることを知らない人達ばかりがいるところに行って、さらに苦しむ勇気などなかった。まだ髪の黒い若いまりさんが映った映像を観るだけで、まりさんが怖かった頃のことを思いだし、動悸が激しくなる。

19時からはzoomで詩の合評会。
今回提出した作品が思いの外ダメ出しを食らい、落ち込む。

その後、野々歩さんと上原へ。

突然まりさんに「志郎康さんが亡くなって、由梨さんにとってわたしはどうでもいい存在なんでしょ」と言われ、混乱し、返答に困り、精神的に追い詰められる。

 

【2022年11月13日 日曜日】
午前中東松原の仕事で行き帰り陸橋を渡る。

私がもし、今よりもっと、誰に対しても優しく思いやりの持てる人間だったなら、私の周りの人たちは(きっと私自身も)苦しまずにすんだのにと思う。

今日の夕飯は、眠のリクエストでカレイの煮付けを作った。私の隣に座っていた花は、一生懸命小骨を取って食べていた。猫たちは気ままに過ごしていた。昨日今日と、取り立てて何かあったわけではないけれど、家族4人で過ごしたという、ただそれだけの束の間の幸せを、私は死ぬまで忘れないと思う。

 

【2022年11月14日 月曜日】
午前中桜上水の仕事で行き帰り陸橋を渡る。

陸橋下の環七を
何台もの車が走っているのを
ぼんやりと見る。

野々歩さんが、
帰りが遅い私を心配して
何度も電話やメールをくれた。
その度に
「だいじょうぶだよ」
「もうすぐ家に着くよ」
とロボットのように繰り返した。

夕飯に、きつねそばを作った。
大根菜とお揚げと
ちくわの磯辺揚げをのせた。
ねむはな完食。

私の中の不穏を察知してか、
花が何度もハグしてくる。

私もその細くてやわらかい体をきつく抱き締める。

いつまでこうして抱き締めることが出来るのだろう。

冷蔵庫の野菜室にある、きゅうり・玉ねぎ・にんじん・ピーマン・大根・生姜。

今、私が死んだら、
野々歩さんはきっと料理をしないだろうから
この野菜たちは誰にも使われず、
腐っていくんだろうな。

 

【2022年11月16日 水曜日】
川畑先生のカウンセリング。
私にとって、自殺は唯一の逃げ道で、
そのおかげで今、
何とか自分を保っている、
精神病院に入れば
その自由を奪われてしまう
という話。

 

【2022年11月17日 木曜日】
9:07 陸橋通過 快晴
雪をかぶった白い富士山がきれいに見れた。

15:07 陸橋通過
くもっていたので、富士山は見えないかなと思ったけれど、振り返ってみたらはっきり見えた。若い女たちがスマホでお互いを撮りあっているのを見て、激しく気落ちする。

激しい希死念慮を抱えているのに、自転車の荷台に、その日の夕飯の食材をのっけているという矛盾。豆腐と根菜類をたっぷり入れたすまし汁とピーマンの肉詰めを作ろうとして。

あと、仕事用のカバンからヘアゴムが3つも見つかった。我が家は皆、髪の量がものすごく多いので、ヘアゴムをすぐにだめにしてしまう。

 

【2022年11月18日 金曜日】
17:07 陸橋通過。日が暮れて、汚れたオレンジ色の昼空の名残に富士山の稜線がくっきりと浮かび上がっている。心身の不調が著しい。心も体もまるで借り物のような感覚。けれど胃の痛みはおさまらない。私が生きているという証?これからまた陸橋を渡って帰る。

 

【2022年11月20日 日曜日】
深夜、母屋で母と弟が激しく言い争っているのが聞こえる。その後、母から私に電話があり、今度は私が怒声を浴びせられる。つらい時間を、ただただじっと耐えるしかなかった。

 

【2022年11月21日 月曜日】
午前中の仕事を休む。母からのメールに打ちのめされる。午後臨時で、すがるような気持ちで川畑先生のカウンセリングを受ける。

 

【2022年11月22日 火曜日】
ふと、近頃母ときちんと話してないな、と思い母屋へ。30分ほどおしゃべりする。重い悩みでも、母と話すといつのまにか大笑いしてしまう。いっぱい喋って、いっぱい笑った。胸に重くのしかかっていた不安が少し晴れた。

 

【2022年11月23日 水曜日】
雨。仕事で桜上水へ。ひどい目眩で吐き気もするけれど休むわけにはいかない。早めに時間を切り上げさせて頂いて、帰宅後倒れるようにベッドへ。目を閉じて、雨の音に耳を澄ます。ふと、家の屋根が、私達を雨から守ってくれている事に気が付く。そう、いつも私達は何かに守られている。

 

【2022年11月25日 金曜日】
18:00頃、自転車で陸橋を渡る。陸橋下の環七に連なる車のライトがきれいだった。立ち止まってスマホで写真か動画を撮ろうと思ったけれど、撮らなかった。今日は立ち止まりたくなかった。流れを止めたくなかった。今日はそんな気持ちだったことを、早く帰って大切な人達に伝えたかった。

 

【2022年11月27日 日曜日】
11:22、陸橋通過。苦しい日が続いている。晴れた空や楽しそうに行き交う人達を見て、一方的に孤独を募らせる。「今も昔も平気で人を傷付けて周りを不幸に巻き込みながら、 現在進行形で私は生きている。そう言いながら、『あなたは悪くない』という言葉をどこかで期待していた 狡い私」

 

 

 

けあらし

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 22     saki 様へ

さとう三千魚

 
 

佇った
まま

霜を
被ってた

きみは
秋桜

桃色の花
凍ってたね

霜を被って
けあらしのなか

こちらを見ていた

 

 

memo.

2022年11月26日(土)、しずおか一箱古本市での水曜文庫で行ったひとりイベント、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」第七回で作った詩です。

お客さまにお名前とタイトル、好きな花の名前を伺い、その場で詩を体現しプリント、押印し、詩の画像をメールでお送りしました。

タイトル ”けあらし”
花の名前 ”コスモス”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life