さとう三千魚
雪の降る前に
行った
去年
だった
千曲の戸倉で茸鍋をつつき福寿草の温泉に入った
春になったら
また来ます
そう約束した
それで
この春に千曲に向かった
高速を走った
275kmをクルマで走った
眠くなり
何度か休んだ
八ヶ岳と諏訪湖のPAで休んだ
姨捨のスマートICで高速を降りた
根石さんを乗せ *
田沢温泉に向かった
やっと
ここに
ひとりの詩人がいた
富士屋の風呂に入った
夕食にビールを頼んだ
そこにいた
翌朝
根石さんは言った *
“吉本は喉の奥にひっかかった骨みたいだ” **
“吉本はひとりで荷なっているものがある” **
そう言った
そこにいた
* 根石さんとは、詩人の根石吉久のこと
** 吉本とは、詩人、評論家の吉本隆明のこと
#poetry #no poetry,no life