部屋に入る

 

さとう三千魚

 
 

ワイングラスを探していた

背丈が10cmほどの
吹きガラスの

ワイングラスを
探してた

丸子の

匠宿にも
駅中の駿河楽市にも

なかった

デパートにも
なかった

車を走らせて
探し歩いた

厚く割れない吹きガラスのワイングラスを贈りたいと思った

帰ったらモコ
居間の絨毯に眠っていた

くの字で眠っていた

夏には弱って歩けなかった
傍にいないといけなかった

今日は

帰って
本のある部屋に入った

アルバート・アイラーの”Deep River”を聴いた *

繰り返し
聴いてた

 

 

* アルバート・アイラーのCD「GOIN’HOME」のなかの曲”Deep River”のこと

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

また詩を読む

 

さとう三千魚

 
 

一昨日かな

また
詩を読んでた

そのひとは
コーヒーに砂糖は入れない *

と書いていた

詩にはふたつの川が流れている
故郷の川だろう

遠賀川と
六郷川と

ふたつ流れていた

昨日
高円寺の寺には強く風が吹いていた

詩人の通夜だった

帰りの新幹線で
眠ってしまった

夕方

海浜公園で海を見ていた

看板に
雀たち一列に並んでいた

 

 

* 松下育男さんの詩集「コーヒーに砂糖は入れない」のこと

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

詩を読む

 

さとう三千魚

 
 

昨日は
市原さんと

望月さんと
会って

飲んだ

ずいぶんと
飲んだ

産む男 *
の反省会だった

反省はしなかった
飲みたかった

今朝
重い頭で

根石吉久さんの詩を読んでいた

浜風に書いてもらった **
詩だった

 こころがなくなって ***
 しまった ***

そう
根石さんは書いていた

根石さんは
ベッドで

こころがなくなってしまったことに気付いたのだ

午後に

痩せたモコを
美容院に連れて行く

シルキーのおじさんに爪と毛を切ってもらう

 

 

* 10月9日(月)に静岡フリーキーショウで開催した工藤冬里ライブ「産む男」のこと

** 浜風は、浜風文庫のこと

*** 根石吉久さんの詩「ベッドで」からの引用です

 「ベッドで」
 https://beachwind-lib.net/?p=11146

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

窓をあける

 

さとう三千魚

 
 

清澄白河で
ホックニーの *

母と
父の

絵をみた

若い頃
新宿のデパートで

ホックニーの水飛沫の上がるプールの絵を見たことがあった
時間が止まっていた

渋谷の街は
変容していた

地下広場で迷って
シドモトさんの写真展会場に着く **

ここにも
いない母たちはいた


高円寺の鳥渡で ***

千のナイフ

聴いた
ファーストアルバムだった ****

うねうね
していた

最終の新幹線には乗れなかった


窓をあける

ベランダに木の椅子がひとつ置いてある

 

 

* 東京都現代美術館で開催の「デイヴィッド・ホックニー展」(2023.07.15 sat ー 11.05 sun)

** ギャラリー・ルデコで開催の「Yoichi Shidomoto. IN MY GALAXY」写真展(2023.10.31 tue ー 11.05 sun)

*** 写真家広瀬勉の店「バー鳥渡」のこと

**** 坂本龍一のファーストアルバム「千のナイフ」をレコード盤で聴いた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

海浜公園から

 

さとう三千魚

 
 

千曲では
根石さんと

戸倉の温泉に入り
近所の居酒屋の

きのこ鍋で飲んだのだったか

千曲から
帰って

何日か
経った

何日か
経って

何をやったのか
覚えていない

海は見ただろう

今日も
午後に

海浜公園から海を見ていた

モコは
居間のソファーに眠っていた

根石さんは
千曲川の流れを見て

詩は
一瞬だよな

そういった

詩は
一瞬でも

まだ生きてるから
書こうと思います

そう

わたし
いった

海浜公園では風が吹いていた

海の向こうに
半島が青く横たわっていた

半島の上に白い雲がふたつ浮かんでいた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

姨捨にて

 

さとう三千魚

 
 

いつだったか

何年か
前だったか

根石さんと
姨捨の駅のホームから

千曲川の光るのを見たのだったか

根石さんは
母を

山の民だと
言ったのだったか

根石さんは

見ていると
詩だと

思える

山の人であり
詩人なんだと思える

なにも望んでいない
なにも望まない

あることのなかに
いる

いることのなかにある

千曲川が光っていたな
千曲川が流れていたな

その山は

姥捨ではなく
姨捨だった *

愛しいものたちを捨てたのだったろう

 
 

* 千曲市に実在するのは姥捨山ではなく姨捨(おばすて)山でした

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

さかなつり *

 

さとう三千魚

 
 

秋田から
帰った

帰って
2ヶ月が過ぎた

帰って

何度
海を見にきたのか

海には

塩辛い水が
打ち返していた

ボレロだと言った人も
もういない

岸辺の釣り人たちを見てた
岸辺の釣り人たちの背中を見ていた

いつも
見ていた

昨日の夜
電話で

戸塚さんが太刀魚釣りを誘ってきた

日曜は
千曲の根石さんに会いにいく

根石さんは千曲川で鯉を釣ったことがあると言っていた

 
 

* 高橋悠治のCD「サティ・ピアノ曲集 02 諧謔の時代」”スポーツとあそび” より

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

汚 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 53     tori さんへ

さとう三千魚

 
 

おととい
かな

朝の庭で
涼しくなったな

そう
思った

モコのウンチをティッシュでひろって
ポリバケツのゴミ箱に

捨てた

モコはこのところ
温かい
サーモンと
キャベツと人参のスープと
薬と
サプリしか

食べていないけど

ウンチは
ウンチだった

涼しかった
風が通っていた

ポリバケツの蓋には
茶色のナメクジがひとり角を伸ばしていた

蓋の上に
白い道が光っていた

 
 

***memo.

2023年10月9日(月)、自宅で、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った53個めの詩です。

工藤冬里ライブ「産む男」の日の朝に.

タイトル ”汚”
好きな花 ”サンカヨウ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

ヤブタビラコ ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 52     michio へ

さとう三千魚

 
 

点滴が
嫌だという

モコを

犬猫病院に
連れてゆく

先生は
点滴を

もいちど
教えてくれた

震えて
モコ

がまんしていた

帰って
海を見にいく

海浜公園の
駐車場の

ヤブタビラコの
黄色の

花の
揺れていた

遠い海で

客船が
白く光っていた

 

 

***memo.

2023年10月1日(日)、自宅で、
「 無一物野郎の詩、乃至 無詩!」として作った52個めの詩です。

犬のモコが体調が悪く、静岡駅北口地下広場での即興詩パフォーマンスができませんでした。

タイトル ”ヤブタビラコ”
好きな花 ”ヤブタビラコ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

蝶のように

 

さとう三千魚

 
 

犬猫病院から帰った

郵便局で
手紙を出して

海によってきた

秋の空
みてた

帰りにカナダビール屋で
缶ビールを

買ってきた

詩をひとつ作り
カレーも作るはずだったが

飲んでしまった

夏が終わり
犬のモコ

すこし元気になってくれた

うれしい

ビール
美味しい

夏は終わったのかな

ことし
庭に

羽黒蜻蛉はこなかったな

いつも
梅雨の終わりから

夏に

番いで
蝶のように

浮かんでいた
浮かんでいたな

 

 

 

#poetry #no poetry,no life