午後、ジョギングした

 

さとう三千魚

 
 

女はエアロビに行かなかった
誕生日だから

水曜文庫の近くの松柏堂で買ってきた
どら焼きと胡桃饅頭を

女に渡した

映画にも
温泉にも

行かないと言う

海へジョギングしようか
女に言った

すぐに
引き離され

遠く小川の傍を女が走って行くのが見えた

河口に
女はいなかった

白い富士が青空に浮かんでいた

海浜公園までゆっくり歩いた
公園では親子があげる凧が高い空で風に震えていた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

雨、浜辺に

 

さとう三千魚

 
 

朝には
女がクルマで出掛けるのを見送った

それから
浜風文庫を更新をした

何本か
メールを送った

それで午前は終わった
珈琲を

何杯か飲んだ
フジ子・ヘミングのピアノを聴いた

フジ子・ヘミングはあまり
聴かなかった

流行りすぎるものは
聴かなかった

亡くなって
いま

ハンガリー狂詩曲を聴いている
この正月は四国のクルマ旅が叶わなかった

用宗漁港で
初日の出を見た

浅間さんにお参りした

正月休みの終わりに
女と

三嶋大社にいった
いないモコのお守りを買った

函南で
お風呂に入った

今日は朝から雨が降っている

雨の
午後に

浜辺に出かけた
クルマのなかで憂歌団を聴いてた

憂歌団は
若い頃

明治大学の学祭に聴きに行ったことがあった

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

茜色の空をみる

 

さとう三千魚

 
 

遅く起きて
ぼんやりしていた

ソファから桑原正彦の岸辺の絵をみてた

それから
旅のクルマの蓄電池を確認して

女のクルマを洗った
玄関のドアまわりを掃除した

正月飾りを掛けた

午後の窓辺には
雀たちが来ていた

それから
海を見に行った

マリーナ横には釣り人たちがいた
笑っていた

帰ったら
山際の空が茜色に染まってた

茜色はすぐに消えて
空は灰色になっていった

西の空に金星が光っている
高橋アキの弾くケージのサティのための曲を繰り返し聴いている

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

いない **

 

さとう三千魚

 
 

会わなかった

どこにいるの
どこにいたの

いちど
川の淵で

くちづけたことがあった

鼻の
あたまの

濡れていた
冷たかった

どこにもいない


いない

 

・・・

 

** この詩は、
2024年12月20日 金曜日に、書肆「猫に縁側」にて開催された「やさしい詩のつどい」第12回で、参加された皆さんと一緒にさとうが即興で書いた詩です。

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

猫が消えた **

 

さとう三千魚

 
 

さっき
テーブルの横を通った

亡くなった

詩人や
絵本作家や

絵本屋のご主人のことを

ひとびとは
テーブルを囲んで話していた

猫は
消えた

しばらく玄関にいて消えた

 

・・・

 

** この詩は、
2024年11月22日 金曜日に、書肆「猫に縁側」にて開催された「やさしい詩のつどい」第11回で、参加された皆さんと一緒にさとうが即興で書いた詩です。

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

美しいバラがある ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 121     iku さんへ

さとう三千魚

 
 

バラが
ある

わたしのなかに
ある

赤いよ
赤いバラよ

咲いているよ
真っ赤だよ

いつか
おかあさんにも

バラを
あげたい

 
 

***memo.

2024年12月14日(土)、
静岡市健康文化交流館「き・て・こ」の”き・て・こ祭”での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第32回で作った122個めの即詩です。

タイトル ” 美しいバラがある ”
好きな花 ” 赤いバラ ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

家族 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 121     ayano さんへ

さとう三千魚

 
 

ゆれていたね

たくさん
時が

揺れていた

ピンクや
黄色や

白や

たくさん
たくさん

いつまでも
揺れていようね

 
 

***memo.

2024年12月14日(土)、
静岡市健康文化交流館「き・て・こ」の”き・て・こ祭”での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第32回で作った121個めの即詩です。

タイトル ” 家族 ”
好きな花 ” コスモス ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

弟好きの何が悪い ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 120     ayaha さんへ

さとう三千魚

 
 

弟は
坊主あたまで

かあいいよ

ほっぺを
たまに

ひっぱって
あげる

おもちみたいよ

彼岸のころ
彼岸花

咲いていたよ

 
 

***memo.

2024年12月14日(土)、
静岡市健康文化交流館「き・て・こ」の”き・て・こ祭”での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第32回で作った120個めの即詩です。

タイトル ” 弟好きの何が悪い ”
好きな花 ” 彼岸花 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

トーマスの歌 ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 119     aoto さんへ

さとう三千魚

 
 

トーマスの
機関車に

のったこと
あるよ

おとうさんと
おかあさんと

おねえちゃんと
ぼく

のったよ

たんぽぽの
わたげが

そらに
うかんでいたよ

ながれていたよ

 
 

***memo.

2024年12月14日(土)、
静岡市健康文化交流館「き・て・こ」の”き・て・こ祭”での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第32回で作った119個めの即詩です。

タイトル ” トーマスのうた ”
好きな花 ” たんぽぽ ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;

木の下でさくらと ***

 

無一物野郎の詩、乃至 無詩! 118     soichiro さんへ

さとう三千魚

 
 

木の

下に
いた

おじいちゃんと
おばあちゃんと

ぼくと
さくらが

いた

いつも
いる

ぼくと
いる

 
 

***memo.

2024年12月14日(土)、
静岡市健康文化交流館「き・て・こ」の”き・て・こ祭”での”無一物野郎の詩、乃至 無詩!” 第32回で作った118個めの即詩です。

タイトル ” 木の下でさくらと ”
好きな花 ” 桜 ”

 

 

 

#poetry #no poetry,no life;