広瀬 勉
#photograph #photographer #concrete block wall
sunday
afternoon
I talked to my old sister in Akita on the phone
“already”
“the snow on the road has disappeared”
“it’s sunny today”
“ate lunch with my friends”
so
my old sister said
her husband is gone
the dog also died
her child went out to the city
she lives with a cat
she said she was up at 4am and shoveling snow
it was snowing
it is snowing
・
Snow is falling thick and fast *
日曜日
午後
秋田の姉と電話で話した
もう
道路は
雪が消えたよ
今日は晴れて
友達とランチを食べてきたの
そう
言った
義兄は逝き
犬も死んだ
子どもは都会に出た
姉は猫と暮らしている
朝4時に起きて雪かきをしていると言ってた
雪が降っていた
雪は降っている
・
雪がどんどん降っている *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
#poetry #no poetry,no life
祈りだけが現在である
呼吸は方便に過ぎない
口寄せのビルは更地にされ
ピンクの石板に引っ掻き傷が見える
大きなパブの中で
常に追われていないふりをしている
#poetry #rock musician
真っ黒に焼けた顔でにかっと笑うとき
少し黄ばんだ歯がのぞくのを覚えている
その口で
俺は学がないからねといつも口癖のように
学がないということの意味はそのうちにわかってきた
祖父母の意向で長男だけは上の学校に進めなかったこと
代々の土地を
畑作を守るためのひとだという理由で
さして年も変わらぬおばは女学校に
兄弟姉妹を親が働く間子守りまでしていたのはそのひとだというのに
にかっと笑うその笑顔はすこしさみしそうで
自嘲気味のことばも
意味がわかってくるたびにかなしくて
存分に与えられたのはお金だったろうか
本当に欲しいものは
ほんとうは
愛情だったのではないかと
気弱な父と姑に逆らえぬ母をそれでも慕う
そのおじが
旅立った
いつもかあさん、いるかい?
と裏口から入ってきて
人形遊びをしている姪にちらりと視線をくれるひと
親同士が仲違いをしてもうしばらくになった
会うこともかなわなかった
こうしてひとりひとりのおじやおばが
旅立っていく
わたしにすこしのさみしさと
温もりのある記憶をおいて
行かないでと幼ければ泣いたろう
いまは
行ってしまうことの安らぎを願う
またあたらしい日々が戻れば
週明けにはにかっと笑うのではないか
幼いわたしに残したおじの笑顔が
焼きついて消えない
丸ゴシック体の市報に囲まれ
医者にさえも穴が空く
二日酔いに似た抜けの無さがあゝ
つらい
つらい
つらい
冷たい雨
半端者にウォ―ムジェット
#poetry #rock musician
this morning too
you came
from morning
it was raining
I didn’t go for a walk
that man
what are you doing
are you looking at the tree and plants which died of the rainy garden
this morning too
you came
white-eye was beaking the tangerine at the tip of the driftwood branch on the windowsill
green body
the area around her eyes is white
cute
when I was 18
I was reading a poem by Junzaburo Nishiwaki at Sakurajosui’s apartment
it was the poem “eggplant”
“Apollon” **
“Silk tree”
“Human feces”
and
a few years later
I met “Puapua” in Higashi-Nakano
“Grotmantica” ***
“Grotmantica”
“Nipe Porto Pain”
“Good good good good”
・
I remember this poem in particular *
今朝も
来てくれた
朝から
雨は降っていた
散歩に行かなかった
あのヒト
どうしているのかな
雨の庭の枯れた草木を見ているのか
今朝も
来てくれた
窓辺の流木の枝の先の蜜柑をメジロは啄ばんでた
緑のからだで
眼のまわりを白くして
いて
可愛いな
18の頃
桜上水のアパートで西脇順三郎の詩を読んでた
“茄子”という詩だった
空0アポロンよ **
空0ネムノキよ
空0人糞よ
そして
数年後に
東中野で”プアプア”に会った
空0グロットマンティカ ***
空0グロットマンティカ
空0ニーぺポルトペイン
空0イイイイイイイイ
・
私は特にこの詩を覚えている *
* twitterの「楽しい例文」さんから引用させていただきました.
** 西脇順三郎「茄子」より引用しました. (新潮文庫 村野四郎編 西脇順三郎詩集)
*** 鈴木志郎康「口辺筋肉感覚説による抒情的作品抄」より引用しました. (思潮社現代詩文庫22 鈴木志郎康詩集)
#poetry #no poetry,no life