そこ

 

塔島ひろみ

 
 

そこにあったそれがきょうはなくて
そこにべつのそれがある
そこにあったそれはどこにいったの?
それとも消えてなくなったの?
もうずっとないの?
そこにあったように
私の知らないどこかにあるの?
べつのそれはまるでずっとまえから
そこにあるみたいにそこにあるけど
ちがうよ 前はそこにはそれがあったんだ
そこにそれがないなら
そこはもうそこではない
そこはどこに そこはどこにも
青いかいじゅうが目にいっぱいなみだをためて
立っている あしもとに水たまりができている
そこがそこでないので
そこにはもう日はあたらない 影もできない
 

 

 

いない **

 
 

さとう三千魚

 

声が

きこえなかった
足音も

しない

縁側が
黯い

寒い夜の
道を

猫は歩いていった

ひとり
いった

 

・・・

 

** この詩は、
2026年1月30日 金曜日に、書肆「猫に縁側」にて開催された「やさしい詩のつどい」第25回で、参加された皆さんと一緒にさとうが即興で書いた詩です。

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

都心の方には滅多に行かネイバー ※

 

工藤冬里

 
 

来る年も来る年も一連の祭りを行い続けているが
言葉と心が離れるようになって
無駄が増えた
降りていっても
国で止まる輩が多く
エントロピーが増大するのに
限定的テクノファシズムに行き着くのは何故か・・・
守れぬ法を与えて教えた
夢には影がない

 

※ZORN

 

 

 

 

#poetry #rock musician

ラジオ体操

 

塔島ひろみ

 
 

ラジオ体操が聞こえてくるよ
お弁当作りながら 朝6時30分のAMラジオ
大根切る手を休め
煮干だしを弱火にして
私はラジオ体操の人となる
ラジオ体操 ラジオ体操
腕を折り 息を吐き
カエルのように飛び上がる
ラジオ体操

奥戸運動場のどっかから ラジオ体操が聞こえるよ
ラジオ体操の歌が聞こえるよ
ラジオ体操のリズムが聞こえるよ
ラジオ体操の叫びが聞こえるよ
ラジオ体操のサイレンが聞こえるよ
ラジオ体操の恫喝が聞こえるよ
胸を開けと 切り刻めと
首を折り 背中をつぶせと

ラジオ体操が呼んでいる
階段をのぼる
ラジオ体操が呼んでいる
長い階段をのぼっていく
ラジオ体操が呼んでいる
階段はどこまでも続いている
ラジオ体操
そしてようやく天頂に着いた
小さな小さなラジオから ラジオ体操が流れていた
白くて まわりには
だれもいない