海を見に行く

 

さとう三千魚

 
 

昼前に
銀行の

キャッシュコーナーで
現金を下ろした

それから
帰って

いくつか
浜風文庫を更新していた

辻さんの赤ちゃんの詩と
広瀬さんのブロック塀の写真を

公開した

午後に
海を

見に行く
クルマで行く

椅子を
すこし倒して

海を見てた
ポットのコーヒーを飲んだ

西の山がいた
灰色の空がいた

この空に
ドローンはいない

砲弾も
機銃掃射も

ない

ミサイルも飛んでこない

鳩たち
寄ってきた

海は
昨日の雨で濁っていた

波立って
いた

午後の海を見て帰ってきた

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

dégradé

 

工藤冬里

 
 

菓子は食べない
正しいところに逃げる
何がいけなかったのだろう
それぞれの魅力的な特性を併せ持っていたが
男女に分けた
どちらの特質も詰まった卵のようだ

持っているぜ
持っているわ

顔を覆え
限界を弁えるほうの慎み(humilityではなくてmodesty)
控え目だけではない蛍光緑
リズムの良いフォークのヒット曲のように
森恒夫のように怯えて
曲がった地層ごと重機は持ち上げた
葉脈の赤いアルト
マットな鉄の爆弾
読み書きできるようになる
思い付きで話さないと腰が痛い
鷹の飛ぶ青白い空
柄が見たことある
白いケチャップ状に溺れている
値切り方を教える
筆ペンの声
筆圧の変化は劇的だ
塩で消毒
勝手に映画を観ている

 

 

 

#poetry #rock musician

寝返り成功

 

辻 和人

 
 

ころっ
できた
ころっ
またできた
右肩浮いて
まあるいまあるく
ころっ
まあるい頭初めて持ち上がった
初めての
頭を上げた姿勢だ
きょろきょろ
周りを見渡す
でも真正面にいるぼくを見てない
ベビーサークルのシーツに落ちた小さな埃
ころっと発見
ガラス窓の外
雑草ぼうぼうのお庭のシダのそよぎ
ころっと発見
まだぼくの方見ないな
頭をまあるく横に動かして
上に伸びてくスケルトン階段とんとんとん
ころっと発見
あっとお隣過ぎて気づかなかった
仰向けで口ぽかんしてコミヤミヤを見上げてる
こかずとんのまあるい顔
ころっと発見
そしてようやく
真正面にいるぼくを発見
まあるいまあるく
見開いた目が
見上げることしかできなかったぼくの姿を
真正面から見ている
見えているんじゃなくて
見ている
ああ、そういうことなんだ
ぼくもコミヤミヤのまあるいまあるくな顔を
「見ている」んだな
顔起こした同士のコミヤミヤとぼく
右肩からころっと
発見
また発見

 

 

 

現れについて 13

 

狩野雅之

 
 


20221225-DSC_5946-Edit
Nikon D810, Nikon AF-S NIKKOR 24-120mm F4G ED VR
 

Description

 
写真は見ているときにだけこちこちと時を刻む。

未来へと進むのでもなく過去へと進むのでもなく、

いま現在・この時とでもいうべきものですら無い。

それでもなおこのタブローを見ているあいだだけ、

なにものかが、いま・ここに・ある。

意識は物そのものの容れものではない。

意識は現象のスクリーンでは無い。

見る意志のないところに像は結ばない。

見る意志のないところに意識は現れない。

見る意志のないところに時間は現れない。

時間は意識そのものなのだ。

写真とはそのようなことを指し示すタブローである。

 
Masayuki Kano