篤い人 *

 

女が
チケットを

買った

相撲を女と見ていた

台風の後で
見ていた

幕下以下の

裸の男たちが
土俵のうえで稽古をしていた

肉が肉にぶつかって
音をたてていた

土俵から叩きおとされている

裸で
擦り剥いたら

痛いだろう
鼻血を出している

裸の

幕下以下の
男たち

たまに笑ったりしている
汗を流している

裸の胸が光っている

花道を勝って帰る力士がいた

負けて
帰る

力士もいた

篤い人は
裸で

ひとり帰ってくる

 

* 工藤冬里の詩「ABOUND」からの引用

 

 

 

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