あらゆるものを透過するジンの草いきれ *

 

モコを乗せて

そっと車に乗せて
いった

いってきた

街の犬猫病院に行ってきた

もう
11年は通っている

先生は

若くてボンヤリしてるが
頼りにしている

モコのことを好きでいてくれている

他の犬も猫も
好きなのだろう

モコもそのひとりだとわかる

その瞳と
笑顔でわかる

なにも代償はない
なにも代償はない

あらゆるものを透過するジンの草いきれ *
あらゆるものを透過するジンの草いきれ *

かつてはあったのだろう
それだけが杖となる

病院から帰ると

わたしの木蓮の

白く
白い

花たちがひらこうとしていた

 
 

* 工藤冬里の詩「マスク」からの引用

 

 

 

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