女とランチにいった

 

さとう三千魚

 
 

朝までに
リュビモフのフォルテピアノを聴いてた

“k280 adagio” を

繰り返し
聴いた

志郎康さんの

“眉宇の半球”について

朝までに
書きあげた

志郎康さんは物の傍らにいるのだった

それから
女と

車で出かけていった
銀行で

通帳をひとつ解約した

10,000円
入ってた

15年ほどで
52円の金利がついていた

女と
ランチにいった

レストランには女たちがいて

男は
わたしだけだった

女たちの男たちはどこにいるのか

最後に
女と

杏のシャーベットを食べた
シャーベットは

紅かった

舌にのせた
あまい液体が

暗い喉を降りていった

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

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