「はなとゆめ」01  うその暮らし

 

きみはねむってるの
きみはいきをしているの

きみはいきているの

きみは
どこいったの

きみのやわらかい笑顔はどこにいったの
きみのかなしい瞳はどこにいったの
きみのおかしいあくびはどこにいったの

ちかくでみているの
ちかくからみているの

きみはあらゆる動性をゆっくりと停滞させて

ゆっくりとゆっくりと停滞させて
そしていなくなった

山百合の匂いを残していなくなった

山の斜面には白い道があった

霧がながれてきて
このままだと死ぬんだとおもった

でももういいんだともおもった

だからもういい
だからもういい

きみはあらゆる動性をゆっくりと停滞させてそしていなくなった
きみはあらゆる動性をゆっくりと停滞させてそしていなくなった

きみはねむっているの
きみはいきをしているの

きみはいきているの

きみは
どこへいったの

きみは真顔でじっとこちらをみていた

きみは草木の精霊となって透明なからだでベッドに横たわり
それからきみはゆっくりと浮遊して真顔でじっとこちらをみていた

 

 

※この作品は以前「句楽詩区」で発表した作品の改訂版です。

 

 

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