光だった

 

さとう三千魚

 
 

今朝も
モコに起こされた

一度
3時に起こされて

おしっこに
連れていった

庭に降ろすと
モコは

暗闇にしゃがんで

した

それで
ベッドに戻って眠った

次は
6時だった

もう
外は明るかった

大風が過ぎて空は晴れわたっていた

洗濯機をまわした
録画してあった中村哲さん追悼のアフガンのドキュメンタリーを見た

「武器ではなく 命の水を」
というタイトルの映像だった

“彼らには分からぬ幸せと喜びが、地上にはある。” *
“乾いた大地で水を得て、歓喜する者の気持ちを我々は知っている。” *

中村哲さんの手記が
テロップで流されていた

“彼ら”

とは
アメリカや日本や連合国の人たちだったろう

“長い戦乱の後の干ばつで喰うものもない者たちの上に爆弾を降らせるのか”と中村哲さんは語っていた

午後には
RC寺田の息子さんに電話して

クルマの切れたテールランプを交換してもらった
古いクルマだからランプカバーを固定するボルトが錆びて固まっていた

息子さんはクルマの下に潜り込んで
汗と埃にまみれて

ランプを交換してくれた

帰って
夕方に

モコと
散歩にいった

西の山の上の群青の空に星が光っていた

金星だった

いつだったか
桑原正彦が電話で”光だ”と言っていた

光だった
光っていた

 

 

* NHKドキュメンタリー「武器ではなく 命の水を」から引用しました

 

 

 

#poetry #no poetry,no life

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